アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

581 打上げパーティー

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 ワイワイガヤガヤ
 わいわいがやがや

 「「「滅多にない機会です。他校の生徒と交流を図りましょう」」」

 各校の先生たちがそう連呼している。

 パーティー会場は帝都学園競技場。
 帝都学園生はもちろん、フリージアの所属する帝都騎士団員養成校の生徒、ランディの所属する陸軍兵学校の生徒、ジャスティスの所属する帝都学校(アポロ校)の生徒、キキの所属する魔法軍学校の生徒、テアトルの所属するモンク僧養成学校の生徒。

 今言ったどの学校も帝都内にあるから、応援に来た多くの生徒はそのまま来てくれたんだよね。

 対して。遠方から数人から数10人程度の応援団。帝都に来たのは、ビリージーン(ジーン)の所属する自治領アブルサム学校 、カラスの所属する北の辺境コートのコート学園、メヒコの所属する東の辺境ティティカカのティティカカ学園、キザエモンの所属するティンギュー村のティンギュー学園の生徒たち。そんな遠方組も集まってくれたんだ。

 5,000人を超える学生ばかり。さすがにこれだけいると壮観だよね。

 「いつもは狂犬団の学外組ばかりが頑張ってるから、今日は学内組がやりますね」

 「学外組は団長と一緒に目いっぱい楽しんでくださいよ」

 パーティーの料理は学内調理クラブの生徒を中心に用意してくれたんだ。配膳等裏方のスタッフも学内狂犬団の生徒たちが率先して動いてくれたんだよね。

 差配するトンも含めて学内狂犬団の仲間にはとっても感謝だよ!

 「ヒッヒッヒッヒッ‥‥」

 1人仔ダヌキだけは儲かったってずっと笑ってたけど。


 立食パーティー形式。
 料理も簡単なものばかりにしてくれたんだ。といってもみんなで外で食べるものって何食べても美味しいんだけどね!


 「「「パンが固くないよ!」」」

 「「「なんだよ購買って?!卑怯だよ学園ばっかり!」」」

 柔らかいバゲット、サンドイッチ、アメリカンドッグ、焼きそばパン、カレーパン、揚げパン、ドーナツ、ホットドッグはパン工房をフル回転させてくれてたみたい。


 「「「うまっ!」」」

 「「「カレー?なにこれ?!めっちゃうまい!」」」

 カレーとバゲットの相性は言うまでもないよ。狂犬団はもちろんだけど、他校の生徒もみんな大喜びで夢中になって食べてたよ。


 「「「なんだこれ!焼きそばすげぇじゃん!」」」

 「「「お好み焼きウマし!」」」

 焼きそば、お好み焼きは鉄板を用意してガンガン焼いてるうちからどんどん食べられていってるよ。


 「「「肉の味が違う!塩だけじゃないよね?」」」

 「「「うまーーい!」」」

 定番の肉串もいつもとは一味も二味も違うんだよね。

 帝国風に肉と肉の間に赤や黄色のパプリカを挟んだ長めの肉串。それだけでも見た目がいいんだけど、最後に醤油をたらりとするだけで断然美味しくなるんだ。BBQも醤油の有無で全然違うんだよね。


 「「「こんな美味いもんタダで食えていいのかよ!?」」」

 「「「私たち学園生でもまだ食べたことないわよ!」」」」

 「「「うまい、うまい!」」」

 稼働し始めたばかりのソーセージ工房の売店は、連日大盛況なんだ。ソーセージはもちろんだけど、ラーメン屋の焼豚もここで作ってるんだよね。

 だいたい挽肉からツクネ(ハンバーグ)を作ったときでさえ、あっという間に中原中に広まったけど、ソーセージの止まることのない人気もすごいよね。


 「「「芋がこんなに美味しいなんて知らなかったわ!」」」

 「「「バター、神だわ!」」」

 蒸し芋もバター醤油だけでめちゃくちゃ旨いよね!


――――――――――


 「なぁ学園さんよ」

 「ん?なに?」

 「あれって‥‥優勝したあんたんとこの代表だよな?」

 「ねぇあの人って‥‥アレクさんだよね?」

 「「なんで鍋ふるってるんだ?」」

 「「なんで裏方やってるの?」」

 「「「なんで?」」」

 「ああ、あれは団長だよ」

 「うん、アレク君だよ」

 「「「だから、なんでだよ?(なぜ?)」」」

 「「「なぜって?」」」



















 「「「団長(アレク君)だからね」」」

 「団長があんなんだから、俺たちも適当にやれないんだよ。てかあんな姿見せられたら、適当にできないしゃん!」

 学園生に対する羨望の眼差しは、そのまま学園生にとっても自信と誇りに繋がったんだよね。








 「団長今日はダメですよ!」

 「よその学園さんとこ行って話してきてくださいよ!」

 「「「早く、早く!」」」

 料理を作ったりしてたら、団員のみんなから怒られたんだ。今日はダメだって。


 「「ヨォ!ランディ(アレク)」」

 お互い拳をぶつけ合って喜んだんだ。

 「ランディもういいみたいだな」

 「ああ。魔法様さまだよ。もうなんともねぇや」

 お腹のあたりを摩りながら笑顔のランディが言ったんだ。

 「アレクおめでとうな。やっぱお前は強いわ。
 忙しいだろうが体術はこれからも闘ろうぜ」

 「おお。ランディも強いから、俺もやっぱ週1、2はお前と闘りたいんだよな」

 「まぁ期待せずに待ってるわ。ところでなアレク、言ってたラーメンってあれのことか?」

 「そうそう。あれなんだよラーメン」

 トンやハチが気を利かせてくれたんだろうな。
 ラーメン屋の屋台も来てくれたんだ。オープン前にちょうどいい練習になるって、各店舗スタッフが大忙しでラーメン屋を切り盛りしてくれたよ。

 「「「うめー!」」」

 「「「めっちゃうまいな!」」」

 ただ、どの店にも長蛇の列ができてたけどね。

 「今度タダ券持ってくから陸軍のみんなも行ってみてくれよ」

 「「「ありがとなアレク!」」」

 「「「アレクごちそうさん!」」」

 陸軍の生徒たちにも顔見知りが増えたからうれしいよ。



 「キザエモンもありがとうな。食ってるか?」
 
 ティンギュー村は帝都からは比較的近いから生徒もたくさん来てたよ

 「モグモグモグ‥‥おぉアレク関!うまい食べものばかりでごわすな!」

 口いっぱいに食べながら笑顔のキザエモンが言った。

 「みんなアレク関でごわす」

 「「おぉアレク関!」」

 「「アレク関でごわす!」」

 「「「ごっつあんでごわす!」」」

 なんだよ関って!なんだよごっつあんって!
 しかも‥‥‥‥みんな相撲レスラーじゃねぇかよ!

 あっという間にティンギュー村の連中に囲まれたんだ。キザエモンによれば、村の人たちはみんな大柄で相撲レスラーみたいな体型が好まれるって言ってた。

 「体型は大型のスーモ型こそが漢でごわすよガハハハハハ」

 「そうなのね‥‥」

 なんかわけわかんなかったけど、ティンギュー村の連中はキザエモンと同じで表裏のない明るい連中だった。

 キザエモンやティンギュー村の連中とわいわいやってるとカラスもやってきたんだ。

 遠方のティンギュー村や、辺境同士先生たちが話す関係にあるからなのか、生徒たちもも近くにいたんだ。

 「よおカラス。よかったな」

 「アレク、エリクサーのおかげだよ」

 ギュッ
 ぎゅっ

 カラスと強く握手をしてハグしたんだ。

 「(アレク、老師様から聞いたぞ。メヒコがああなった理由)」

 「(そうか‥‥)」

 「(心配するなアレク。老師様と俺も契約魔法を済ましてるからな)」

 「(ああわかったよ)」







 「あの‥‥ア、アレク君‥‥カ、カラス君‥‥僕‥‥」

 そこにメヒコも現れたんだ。

 ざわざわざわざわ
 ザワザワザワザワ

 「(おい殺人鬼が来たぞ‥‥)」

 「(怖いわ‥‥)」


――――――――――


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