アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

546 夏休みの終わり〜3年夏

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 グランドではマル爺から契約魔法も習った。(まだまだ発現はできないけど)
 休憩もした。

 くんかくんかくんか‥‥


 コジローさんに大刀戦闘の相手をしてもらった。
 休憩もした。

 「ジャネットちゃん、アレクお兄ちゃんでちゅよー。くんかくんか‥‥」


 姫にレイピア戦闘の相手をしてもらった。
 休憩もした。

 「リアーナちゃん、アレクお兄ちゃんでちゅよー。くんかくんか‥‥」


 レベちゃんと体術の相手をしてもらった。
 休憩もした。

 「リアーナちゃん(ジャネットちゃん)、アレクお兄ちゃんでちゅよー。くんかくんか‥‥」


 夜にはジョングたち海人族も一緒に警らもした。
 休憩もした。

 「リアーナちゃん(ジャネットちゃん)、アレクお兄ちゃんでちゅよー。くんかくんか‥‥」



 休憩?
 うん。たまの息抜きに姫の妹やコジローさんの娘の匂いを嗅いだりもしたんだ。

 ああ、姫の妹はリアーナでコジローさんの娘はジャネットって言うんだ。


 「姫お帰りー」

 「き、狐ちゃん、もういたんだ‥‥」

 (お腹の匂い嗅がれてるリアーナはキャッキャ言って喜んでるのよね‥‥)


 「コジローさんお帰りー」

 「ア、アレク、もういたのか‥‥」

 (お腹の匂い嗅がれてるジャネットはキャッキャ言って喜んでるんだよな‥‥)



 楽しかった夏休みもそろそろ終わるんだよなぁ。

 「アレク、オメー幼児の匂い嗅いでばっかじゃねぇか?」

 「し、し、失礼だなシルフィさん!たまにだよ、たまに!」







 「ドン、今夜はお前も警らに出るか?」

 「はい団長」






 ダダダダッ‥‥

 あっ、盗人がまた逃げた。

 「アレクさんたちはあっちを捕まえてください!」

 「「はい!」」

 ダンッッ!

 コソ泥程度の男2、3人は余裕で対峙もできる。

 「ドン魔力の使い方すごく良くなったじゃん!」

 「そうですか!マル爺師匠のおかげですよ」

 そう。ドンの魔力の使い方が夏休み前と比べて格段に良くなったんだ。動きも俊敏だし、隠蔽もいいな。
 気配を消したドンは、集中してないと俺も気づかないよ!

 「めちゃくちゃ成果あったじゃん!ドン」

 「はい団長!」

 これ、ひょっとしたら来年以降学園首席がみえてきたんじゃないかな。アリサのいいライバルだよ。てか来年以降の狂犬団はドンに任せられるよ。

 それに引き換えデーツは‥‥
 まだまだだな。たぶん何かあれば一気に変わるんだろうけど、今はまだまだだ。

 それでも声は普通に出せるようになった。
 今までみたいに思いつくまま喋るんじゃなくって自身の言葉に責任を持つようにもなったんだ。レベちゃんのおかげだな。

 俺の契約魔法の習得はまだもう少しかかるかな。それでも来秋までには使えるようになりたいな。



 【  ドンside  】

 夏休みの終わり。夜の警らに同行したんだ。
 団長やデグー一族の最前線で働く草さんに必死に食らいついたんだ。

 移動も隠蔽も盗賊との戦闘もなんとかついていけたかな。団長からも褒められたし。

 「ドン握手しようぜ」

 警らの最後に団長と握手したんだ。

 「はい」

 ギュッッ

 「‥‥!!」

 マジか!?
 言葉もなかったよ。団長、本当に同級生かな?てか人族じゃないんじゃないかな?


―――――――――――――――


 【  6年10組side  】

 夏休みが始まるその前日。6年10組席次48位、49位、50位のあの3人組の保護者が担任教官と面談をしていた。学園に退学申請である。

 「お父さん、あと半年ですよ。少しもったいない気がするんですが」

 「いやね先生。恥ずかしい話だがあの3人は連絡もなく学校を休むだけならまだしも、あちこちに借金まで作って遊び呆けていたからね。もう私も匙を投げたんだよ。
 跡取り候補はまだ20人もいるからね。あいつらはもう知らんというかもう要らん」

 「そうですか‥‥」

 3人の親は同一。自由諸国連合有数の武官。自由諸国連合は風習として一夫多妻制である。
 実力主義。武官もまた然り。数多くの子どもの中から1番才に長けたものが跡取り候補となる。

 「先生には迷惑をかけたね。これは迷惑料ということで」

 担任の手に金銭を握らせる父親。

 「お父さん‥‥」

 「まあまあ先生、そういうことで頼みますよ」

 「‥‥仕方ないですなぁ」







 「あの3人辞めたらしいよー」

 「ふーん。そんなことよりさ、購買のパン‥」

 「あーそれそれ‥」


―――――――――――――――


 帝国への帰りの船。

巨大なタコとの格闘や海賊船の襲撃もなかった。もちろん司厨長が身体を壊すこともなかった。






 つまんねぇ……。


 「「「雨だぞー!」」」

 「アレクは絶対ダメ!後ろむいててよね!」

 「リリアーナ‥‥」








 「デーツ、お前2学期も絵描いて過ごすのか?」

 「いや。俺もこれからは毎日学校に通うよ」

 「そっか。がんばれよ」

 「うん」

 「じゃあ一緒に学校行くか」

 「いいよ。俺マリーと行くから」

 「くっ‥‥」

 「こういうときはアレだろ?『爆ぜろリア充!』」

 「やめてくれよシルフィ‥‥」


 「じゃあドンまた明日な」

 「はい団長。デーツさんもまた明日」

 「ドン君、夏休み中はありがとう。明日からもよろしくね」

 「はいデーツさん」

 「じゃあデーツは先に帰ってろよ。俺は土産の蟹を配ってくるから」

 「ああ」







 「ただいまー」

 「「デーツお兄ちゃん!お帰り!」」

 「お帰りデーツ」

 「お帰りなさいデーツ様」

 「「アレクお兄ちゃんは?」」

 「土産の蟹配ってから帰るって。
 家の分は俺が持ってきたから洗って準備しとくよ」

 「えっ?誰が?」

 「俺だよ」

 「「ふーん‥‥」」

 「デーツ?」

 「デーツ様?」

 「「デーツお兄ちゃん?」」

 「「「大きくなったな(ね/なりましたな)」」」

 「えっ?背は伸びてないよ」

 「クックック。デーツ、お前アレクに似てきたな‥‥」

 「そうかなぁ」

 「お兄ちゃん楽しかった?」

 「ああ。とっても楽しかった」

 「「なにしてたか話してよ」」

 「いいよ。まず家を出て‥‥」

 「海洋諸国人の速い船はどうだった?」

 「ピーちゃん号は‥」



―――――――――――――――


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