アレク・プランタン

かえるまる

文字の大きさ
上 下
541 / 722
第2章 幼年編

542 ドンの進化

しおりを挟む



 息つく隙もなくガタロと相対するドンを見て。マル爺からの声がかかる。

 「ドン君、自身の魔力を意識しつつ、ガタロの僅かな魔力も意識するんじゃよ。
 さすればまだまだ余裕も生まれるし、動きは早くなるよ。なにより無駄はなくなるよ」

 「はい師匠」

 ザスッッッ!

 「グギャーッ!」

 ザスッッッ!

 「グギャーッ!」

 「ハァハァハァハァ‥‥」



 【  ドンside  】

 ザスッッッ!

 「グギャーッ!」

 ザスッッッ!

 「グギャーッ!」

 「ハァハァハァハァ‥‥」

 師匠は魔力を意識しろと言うけど難しいな。ガタロは次から次へと襲ってくるから意識する暇がないんだよな。てかガタロと闘る時っていつもこんな感じでひたすら持久戦なんだもんな。


 「ドン君少し落ち着きなされ」

 「えっ?」

 ガタロとの戦闘中。マル爺師匠が手にした手鎚を突然下ろしたんだ。

 「師匠!」

 「ギャーーッッ!」

 もちろん近くにいたガタロがすぐに師匠の足に噛みついたんだ。

 「師匠早く!」

 だけどマル爺師匠は涼しい顔をして言ったんだ。

 「ホッホッホ。ガタロ1体に取りつかれてもすぐに生命は取られまいて」

 「あっ!」

 ああ、たしかにそうだ。ガタロの攻撃にやられたくらいですぐに生命を取られるわけじゃない。それこそ犬に噛まれた程度。一撃が致命傷になる強い魔獣や剣士じゃないんだ。

 「魔力操作じゃよ。落ち着いて自身の魔力を操作して風を読むんじゃよドン君。
 自分が生む風、ガタロが生む風、河の風、船の風。風はすべて違うじゃろ。
 さらに匂いのある風もあれば包み込む風、肌にピリピリとくる強者の風。風を読めば余裕ができる。戦闘はうんと楽になるわの」

 「!」

 マル爺師匠の言葉にハッとしたんだ。なるほど!って思ったんだ。

 風は匂いも温度も違う。風を察知できれば戦闘はずいぶん楽になるんだ。
 そういや団長は風の精霊が憑いているから察知も楽だって言ってたもんな。

 1歩先2歩先の風を読む。より早くより確実に。

 「師匠何かわかった気がします!」

 「さすがはドン君じゃ!」

 「はい!」

 マル爺師匠はいつも俺を褒めてくれる。褒めて伸ばすっていうのかな。
 へへっ。
 なんかうれしいな。魔力操作を意のままに操ること。やることは決まってるんだ。

 これができれば俺はもっと強くなれる。



 【  デーツside  】

 (ううっ。アレク早く帰ってきてくれよ)

 「デーツちゃん、お姉さんに引き寄せられる男たちを夢の世界に誘ってあげるのよん。
 2度と覚めない夢の世界にね。ほら、こうして」

 そう言いながらレベちゃん師匠が両手を胸の前で広げたんだ。

 「「「ギャッギャッギャッギャッギャ‥‥」」」

 吸い寄せられるようにレベちゃん師匠の胸に集まるガタロたち。
 そんなガタロたちが集まった胸板をぎゅっと抱き締めるレベちゃん師匠。

 ギユユユュュューーーッッッ!
 グシャグシャッッ!

 レベちゃん師匠の胸に緑色の血がドロドロと流れ落ちたんだ。

 「ナニコレ?」

 レベちゃん師匠のそんな胸の一部分、乳首から俺は目が離せなかったんだ。

 なんで乳首にピアスが付いているんだ?

 しかも緑色の体液に溢れたレベちゃん師匠の乳首が人の眼みたいに見えたんだ。

 キラキラキラキラ‥‥

レベちゃん師匠の眼(乳首)が喜んでるみたいに見えた……。

 「コワッ‥‥」

 「ほらデーツちゃん、また縮こまって。大きな声をだしなさい!自分自身を曝け出しなさい!ほら早く!」

 「ウオーッ!」

 「ダメよ!ぜんぜん小さいわ!」

 「ウォーッ!うおーっ!」

 「もっと大きく!」

 「うおーーーっ!」

 「もっと大きく!もっと太くよぉ!」

 「ウオオオォォーーッ!」

 「いいわよぉ!サイコーよぉっ!」

 「ウオオオオオォォォォォーーッッ!」

 叫んでるうちに力みっていうか、へんな力が抜けたんだ。レベちゃん師匠の変な指導のおかげかな。

 ギュッッ、ブーーンッ!

 ガタロを掴んではそのまま甲板に叩きつけた。もう怖くなくなったよ。手にしたガタロを鞭のように他のガタロにぶつける。

 グシャッ  グシャッ!

頭を掴んだガタロは握力で潰していくか叩きつけたんだ。だんだん緊張もなくなっていったよ。

 「デーツちゃん、お姉さんみたく胸で殿方を誘うのよぉ。ほらやってごらんなさい」


















 「絶対ヤダ!」

 レベちゃん師匠の性癖だけはわからないよ。

 「デーツちゃんにもお姉さんと同じピアスを‥‥」

 「絶対要らない!」


―――――――――――――――


 「ありがとうアレク」

 「「「ありがとうございますアレク様」」」

 「よかったね、子どもたちもみんな無事で」

 「アレク‥‥俺たち海人族はこれからどうしたらいい?」

 「えっ?ジョングたちは逆にどうしたいんだよ?」

 「どうしたいとはどういう意味だ?」

 「どういう意味もないよ。そのまんまだろ?どうしたいのか決めるのは自分たちじゃねぇのか?」

 「「「‥‥」」」

 「どっちにしろさ、姫たち海洋諸国人は一旦王都に行くと思うんだよね。俺もついていくし。
 だからさ、ジョングたちはとりあえずここで、2日3日休憩してろよ。メシとかも草さんに頼んでおくからさ」

 「いいのか!?」

 「そんなの当たり前じゃん。とりあえず家もいるよな。野営食堂でよかったらすぐに‥‥」



















 「「「えぇーーー!?
」」」


―――――――――――――――


いつもご覧いただき、ありがとうございます!
「☆」や「いいね」のご評価、フォローをいただけるとモチベーションにつながります。
どうかおひとつ、ポチッとお願いします!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。  そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!  気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?  するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。  だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──  でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!

どこかで見たような異世界物語

PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。 飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。 互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。 これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

異世界召喚されました……断る!

K1-M
ファンタジー
【第3巻 令和3年12月31日】 【第2巻 令和3年 8月25日】 【書籍化 令和3年 3月25日】 会社を辞めて絶賛無職中のおっさん。気が付いたら知らない空間に。空間の主、女神の説明によると、とある異世界の国の召喚魔法によりおっさんが喚ばれてしまったとの事。お約束通りチートをもらって若返ったおっさんの冒険が今始ま『断るっ!』 ※ステータスの毎回表記は序盤のみです。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...