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第2章 幼年編
532 海人族の願い
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532 海人族の願い
「スパーク!」
「「「あばばばばぁぁぁぁぁっっ!」」」
ザバーーンッッ!
ザバーーンッッ!
ザバーーンッッ!
ザバーーンッッ!
ザバーーンッッ!
手漕ぎボートから降り立ち、膝まで水に浸かった男たちが悲鳴を上げて飛び上がる。倒れる。卒倒する。
まっ、死なないだろうな。たぶん。
「「「グギャギャギャーーーッッ!」」」
ブクブクブクブクッッ‥‥
ブクブクブクブクッッ‥‥
ブクブクブクブクッッ‥‥
ブクブクブクブクッッ‥‥
ブクブクブクブクッッ‥‥
ブクブクブクブクッッ‥‥
水中に身体の半ば以上を浸した海人族?ガタロ?が悲鳴を上げて水中に没していく。
まっ、えら呼吸もできるからコイツらも大丈夫かな。
「「「痛っ!痛っ!痛っ!」」」
足裏から伝わる電流にぴょんぴょん飛び跳ねている猫仮面のお姉さんとデグーの草さんたち。
まっ、お姉さんたちも後から謝ればいっかな。
「ほんとテキトーよねー、アレクは」
「テキトー言うなシルフィ!」
でも、そんなことより。
「草さん、早く!もう1回吹き矢を!」
「「「あっ、そうだ!」」」
俺の声にあわせてすかさず吹き矢を番える草さんたち。
フッッ!
フッッ!
フッッ!
フッッ!
「ぐはっ!」
ザバーーンッッ!
「ガハッ!」
ザバーーンッッ!
「ぐはっ!」
ザバーーンッッ!
念には念を入れて。今度の吹き矢は男たちにことごとく命中していく。
これで麻袋を担いだ男たちは当分大人しいもんだろうな。
「あと2人いるよ!」
「逃げるわよ!」
そんな俺の注意喚起の声かけとシルフィの声かけが重なったんだ。
「やるじゃん!」
ダダダダダダダッッ‥‥
そう、男たちと海人族が倒れていくなか、全力の2人が逃げていく。即断即決の判断。
刀を持った2人の男は後ろを振り返りもせずに駆け戻っていったんだ。
「アレクもあの判断の早さは見習わなきゃね」
「さーせん、シルフィ先生。
でもコイツらは逃がさないよ」
「そりゃそうよ!」
シュッ!
シュッ!
「「ぐはっっ(ガハッッ)」」
20メルや30メル程度ではぜんぜん問題なしの射程距離だからね。
それでも。肩や腕に矢が刺さったまま逃げていく2人。
「早く出せ!早く!」
「逃げろ逃げろ!」
待機していた手漕ぎボートは飛び乗った2人を乗せて一気に沖合の船に戻っていく。
「これで2人ともゾンビ確定だよね。あと‥‥もう少し脅かしとくか。ゲイル(疾風)!」
ビユーーーーーンッッ!
50メル以上離れたボートが強風に煽れて高波の中、ぐらぐらと揺られている。
「猫のお姉さん、ひっくり返しとく?」
「いいわ。後で船から降ろせばいいんだから。てか狐君のおかげで助かったわ」
「「「ありがとう狐君!」」」
「まさか海人族を連れてきてるとは思わなかったわ。狐君の助けがなきゃ、正直危なかったのかもしれないわ」
「てかさ、海人族ってガタロじゃないの?で海洋諸国人の天敵ってなんなの?」
「あのね狐君、海人族ってのはね、ガタロにそっくりだけどガタロじゃないのよ。
なんていうか‥‥獣人の一種なのよね。文字どおり、海洋諸国人にとっては天敵の存在なのよ。海や河を自由に動き回れるし。しかもいきなり海の中から現れるでしょ。けっこう嫌な存在なのよ」
「へぇー海人族か。俺初めて聞いたよ」
「そうかもね。中原ではほとんど知られてない、ゴブリンと同じ魔獣っていうか、小さな獣人の扱いだからね」
「まぁそれはさておき。これからどうする?」
「そうね。まずはこの男たちの尋問からね。あの逃げた2人の男と船は明日の朝、臨検すればいいんだから」
「そっか。てことはもう俺はいいのかな?」
「ええ、もう十分よ。ありがとうね」
「うん。じゃあ猫のお姉さん、草さんたちお先に失礼しまーす」
「「「ありがとう狐仮面君」」」
「「「じゃあ、また明日ー」」」
ところが……。
「「「!!!」」」
「えっ!?」
「強い海洋諸国人‥‥どうか我ら海人族を助けてほしい」
目を覚ましたばかりなのか、いきなり1人の海人族が声をあげたんだ。
「どうか、どうか助けてくれ。頼む……」
見た目はガタロそっくりの海洋諸国人が唐突な頼みごとをしたんだ。
その必死の形相に、俺は思わず耳を傾けたんだ。
――――――――――
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「スパーク!」
「「「あばばばばぁぁぁぁぁっっ!」」」
ザバーーンッッ!
ザバーーンッッ!
ザバーーンッッ!
ザバーーンッッ!
ザバーーンッッ!
手漕ぎボートから降り立ち、膝まで水に浸かった男たちが悲鳴を上げて飛び上がる。倒れる。卒倒する。
まっ、死なないだろうな。たぶん。
「「「グギャギャギャーーーッッ!」」」
ブクブクブクブクッッ‥‥
ブクブクブクブクッッ‥‥
ブクブクブクブクッッ‥‥
ブクブクブクブクッッ‥‥
ブクブクブクブクッッ‥‥
ブクブクブクブクッッ‥‥
水中に身体の半ば以上を浸した海人族?ガタロ?が悲鳴を上げて水中に没していく。
まっ、えら呼吸もできるからコイツらも大丈夫かな。
「「「痛っ!痛っ!痛っ!」」」
足裏から伝わる電流にぴょんぴょん飛び跳ねている猫仮面のお姉さんとデグーの草さんたち。
まっ、お姉さんたちも後から謝ればいっかな。
「ほんとテキトーよねー、アレクは」
「テキトー言うなシルフィ!」
でも、そんなことより。
「草さん、早く!もう1回吹き矢を!」
「「「あっ、そうだ!」」」
俺の声にあわせてすかさず吹き矢を番える草さんたち。
フッッ!
フッッ!
フッッ!
フッッ!
「ぐはっ!」
ザバーーンッッ!
「ガハッ!」
ザバーーンッッ!
「ぐはっ!」
ザバーーンッッ!
念には念を入れて。今度の吹き矢は男たちにことごとく命中していく。
これで麻袋を担いだ男たちは当分大人しいもんだろうな。
「あと2人いるよ!」
「逃げるわよ!」
そんな俺の注意喚起の声かけとシルフィの声かけが重なったんだ。
「やるじゃん!」
ダダダダダダダッッ‥‥
そう、男たちと海人族が倒れていくなか、全力の2人が逃げていく。即断即決の判断。
刀を持った2人の男は後ろを振り返りもせずに駆け戻っていったんだ。
「アレクもあの判断の早さは見習わなきゃね」
「さーせん、シルフィ先生。
でもコイツらは逃がさないよ」
「そりゃそうよ!」
シュッ!
シュッ!
「「ぐはっっ(ガハッッ)」」
20メルや30メル程度ではぜんぜん問題なしの射程距離だからね。
それでも。肩や腕に矢が刺さったまま逃げていく2人。
「早く出せ!早く!」
「逃げろ逃げろ!」
待機していた手漕ぎボートは飛び乗った2人を乗せて一気に沖合の船に戻っていく。
「これで2人ともゾンビ確定だよね。あと‥‥もう少し脅かしとくか。ゲイル(疾風)!」
ビユーーーーーンッッ!
50メル以上離れたボートが強風に煽れて高波の中、ぐらぐらと揺られている。
「猫のお姉さん、ひっくり返しとく?」
「いいわ。後で船から降ろせばいいんだから。てか狐君のおかげで助かったわ」
「「「ありがとう狐君!」」」
「まさか海人族を連れてきてるとは思わなかったわ。狐君の助けがなきゃ、正直危なかったのかもしれないわ」
「てかさ、海人族ってガタロじゃないの?で海洋諸国人の天敵ってなんなの?」
「あのね狐君、海人族ってのはね、ガタロにそっくりだけどガタロじゃないのよ。
なんていうか‥‥獣人の一種なのよね。文字どおり、海洋諸国人にとっては天敵の存在なのよ。海や河を自由に動き回れるし。しかもいきなり海の中から現れるでしょ。けっこう嫌な存在なのよ」
「へぇー海人族か。俺初めて聞いたよ」
「そうかもね。中原ではほとんど知られてない、ゴブリンと同じ魔獣っていうか、小さな獣人の扱いだからね」
「まぁそれはさておき。これからどうする?」
「そうね。まずはこの男たちの尋問からね。あの逃げた2人の男と船は明日の朝、臨検すればいいんだから」
「そっか。てことはもう俺はいいのかな?」
「ええ、もう十分よ。ありがとうね」
「うん。じゃあ猫のお姉さん、草さんたちお先に失礼しまーす」
「「「ありがとう狐仮面君」」」
「「「じゃあ、また明日ー」」」
ところが……。
「「「!!!」」」
「えっ!?」
「強い海洋諸国人‥‥どうか我ら海人族を助けてほしい」
目を覚ましたばかりなのか、いきなり1人の海人族が声をあげたんだ。
「どうか、どうか助けてくれ。頼む……」
見た目はガタロそっくりの海洋諸国人が唐突な頼みごとをしたんだ。
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