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第2章 幼年編
448 2年冬〜帰郷 イジメ
しおりを挟む俺、春から行く帝国留学で気もそぞろだったのかな。
干ばつの被害も抑えられた。お米も豊作だった。
もう万々歳だよねって感じで浮かれてたんだろうな。
みんなの優しい嘘はシルカさんもそうだったんだ。
「アレク君のお父さんとこのお米もニールセン村ものんのん村もみんな豊作だったっスよ!
干ばつで領内どこもヒーヒー言ってるのにこのあたりの村だけは被害もほとんどないんっスよ」
「うん。よかったよ」
「来年の秋はお米を少しくらいサンデー商会にも売ってくださいよ!」
「あと2年待ってよ。そしたらどんどん売ってもらうからさ」
「来年は帝国からおもしろいものを中原中に出してくださいっス!」
「うん。ねぇシルカさん。カクサーンってどんな人なの?」
「スケエモーンさんと2人で『ミカサ商会をデカくした功労者』って認識でいいと思うっスよ」
「そっか。ちなみに強いの?」
「それはもう。並の盗賊なら歯が立たないっスよ」
「へぇー。
じゃあシルカさん。たぶん来年は帰れないか再来年にね。行ってきます」
「なんか‥‥ちょっぴり寂しいっスね。でもがんばるんスよ!いってらっしゃいっス!」
「あーあアレク君行っちゃったんですね」
「アレク君に報告しとかなくてよかったんですよね店長?」
「もちろんっス!
だって‥‥万引きが増えたってことアレク君には関係ないっスから」
それは師匠も同じたったんだ。
「よいかアレク。お前に手はいくつある?」
「えっ?2本です」
「2本の手で持てるものは2つしかないからの。忘れるでないぞ」
最初なに言ってるだろうって思ったんだ。
でもそのときの師匠の顔がすごく優しい顔をしてたから。
きっと何か深い意味があるんだろうなって思ったんだ。
【 ヴィンサンダー領都学校デニーホッパー村寮side 】
それはアレクの妹スザンヌが居ないときに限っておこる出来事だった。
「ここの寮の建物から食事、勉強の紙もぜーんぶスザンヌちゃんのお兄さん、アレク先輩が出してくれてるんだからね!
なんでアンタの家みたいに勝手な人たちが寮にいるのよ!」
「ホントよー!まただむを壊したみたいに寮も壊さないでよね!」
「どうせ親と一緒でやってないって嘘つくんでしょうけどね!」
「なんとか言いなさいよ!」
「あっ。スザンヌちゃんが帰って来たわ。行こっ」
「「「ええ」」」
【 村営温泉side 】
「あっ。獣人嫌いのお綺麗な農民様よ」
「私獣人だから温泉に入ってたらお湯が汚れるらしいからもう出るわ」
「私は人族だけど、ただのデニーホッパー村民だから私もね。お偉い農民様には邪魔でしょうから。私も出るわね」
「「「行こう行こう」」」
「「「ええ」」」
「ああだむを壊したご主人みたいに温泉も壊さないでね」
「「「ごゆっくり」」」
「もう学校になんか行きたくないよー。うっ‥‥うわぁーーんっ!」
「あなたが村長に逆らったりうそをつくからよ!」
「くっ‥‥」
それは村長や神父、ヨゼフ、マリア、ニャンタたちの知らないところで。
ジャンやアンナ、シャーリーたちの知らないところで。
陰湿なイジメが始まっていた。
王国中で話題のデニーホッパー村。
開拓村の成功事例デニーホッパー村。
村のだれもが1つに団結していたデニーホッパー村。
そんな村で。静かに村民の分断が始まっていた。
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