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第2章 幼年編
423 留学の誘い
しおりを挟むエルフの女王陛下ネビュラ様、ってかマリー先輩のお母さんが例え話のような話を始めたんだ。
「狐仮面君の前に4つの山があるとするでしょ」
「はい」
「1つは武の山。1つは魔法の山。1つは精霊魔法の山。1つは知恵の山。狐仮面君はどの山に上りたい?」
「全部上りたいです!」
もちろん即答したよ。だってそんな山なら間違いなく全部踏破したいからね。
「フフフフ。じゃあどれか1つだけならどの山に上りたい?」
「それなら‥‥武の山に上りたいです」
「なぜ?」
「ロジャーのおっさんもタイランドのおっさんも最近目が見えにくくなったとか腰が痛いとか言います。俺が剣を教わるディル師匠はいっつも腰が痛いとか疲れが取れんとか言います」
わははははは
ガハハハハハ
フフフフフフ
「でも逆にテンプル先生のようにすごい魔法を発現したり深い知恵のある高齢の人もいます。
だから俺は若いうちにもっと武を鍛えて強くなりたいんです」
「「「なるほど」」」
わははははは
ガハハハハハ
フフフフフフ
「では決まったな」
「わはははは。わしらの勝ちじゃの」
「大殿我らの勝ちです!」
「くそっ!じゃが気持ちの上では悔しくないのお。仕方あるまいか」
「はははは。はい大君」
「あーあ。負けちゃったわ。絶対精霊魔法を選ぶと思ったんだけどなぁ」
「残念です女王陛下フフフフ」
「これもまた女神様のお導きか」
「はい法皇様‥」
へっ?何がどうなってるの?なんか俺変な選択した?
すると帝国のアレクサンダー前皇帝陛下が
言ったんだ。
「狐仮面君、帝国へ修行に来んか?」
「えっ?!」
ペイズリー元騎士団長が補足して言ったんだ。
「来春から1年、狐仮面君が望むなら我がロイズ帝国へ留学生として来てもらう用意があるよ」
マジか!?いわゆる昨日の優勝のご褒美というやつかな?帝国かあ。強いやつがゴロゴロ‥‥
うん、めっちゃ行きたい。
でもサミュエル学園長にもモンデール神父様にも話してないし、師匠にもシスターナターシャにも相談してないからなあ。何よりデニーホッパー村の家族の許可ももらってないし。
「あの‥‥すごく魅力的なお話なんですけど。ヴィヨルドの学園長にも出身のヴィンサンダーの学校長にも許可をもらってません。
なので‥‥俺1人じゃ決められません。ご無理を言わせてもらえればしばらく考えさせていただけると幸いです」
「「ご歓談中のところ失礼します」」
えっ?!
なんでモンデール神父様がここに?
なんでサミュエル学園長がここに?
「ん?お主‥‥モンデールか!変わらんのぉモンデール」
「お久しうございますアレクサンダー皇帝陛下」
「サミュエル!お主も相変わらず飄々とした成りじゃのわははははは」
「レイモンド皇帝陛下もお変わりなく」
「あらあら狐仮面君の抱える事情もこれで一気に解決ね法皇様」
「そのようですな女王陛下」
「狐仮面君の出身学校長として此度のお誘い謹んでお受け致します」
「同じく狐仮面君現在在籍の学園長としても此度のお誘い謹んでお受け致します。
願わくば此度の武闘大会に参加の貴国1位のマルコ君の留学も招聘したく存じます」
「ふむ。なるほどな。どうじゃペイズリー」
「はい。交換留学は名案かと」
「ふむふむ。では学園長、後ほどペイズリーとその方向で話を詰めてくれんか」
「「承りました(かしこまりました)」」
そんなふうにあっという間というか、トントン拍子で俺の帝国留学の話が決まったんだ。そしてこのあと円卓の6番にも行ったんだ。
知らなかったなぁ。モンデール神父様、師匠、シスターナターシャ、ミカサ会長、サンデーさん、サミュエル学園長、テンプル先生のみんなが1つの円卓を囲んでいるなんて。
ロジャーのおっさんの結婚披露宴なのに、俺の話をみんなが聞いてくれたんだ。うれしかったな。
▼
「どうだった狐仮面?」
「うん。俺来年の春から帝国に留学することが決まった」
「なに!」
「ああ逆に帝国のマルコが来年の春から1年学園に交換留学生になるって」
「そうか‥‥」
「狐仮面それじゃあ俺も名高い学園ダンジョンに行けるのか?」
「うん。マルコ強いからいけるんじゃね?来年はもちろんモーリスもいるしな」
「よし狐仮面、お前が帝国に行ってる間に俺やマルコがダンジョンの記録を更新してやるよ!」
「ああ。頼むよモーリス」
「いいなぁお前ら楽しそうで。俺もダンジョンに行きたいなあ。あとで法皇様に頼んでみよ」
「俺も国に帰って聞いてみようかな。学園ダンジョンか。行きたいよなあ」
「私も行きたいの。でも里の許可は下りないだろうし‥‥」
「フッ。俺はこのままでいい。もう1度心も身体も鍛え直して狐仮面に挑むまではな」
「ナダルお前わずか1日2日ですごく変わったな。顔も穏やかになったし」
「ああライル。真摯に努力するお前らに会ったら俺も変わらざるを得んだろう。ましてこんな変態に負けたままでは俺のエルフとしてのプライドが許さないからな!」
「ああそれ俺もわかるぞ!獣人女子のブラを剥ぐような変態に負けたままでいられんよな!」
「クククッ。俺も表彰式の最中に出血多量で死にかけた変態に負け続けるわけにいかないよな」
「お前ら変態変態って言うなー!泣くぞ!」
わははははは
ワハハハハハ
アハハハハは
いい仲間と出会えたよ。コイツらも努力し続ける奴らだもんな。
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