アレク・プランタン

かえるまる

文字の大きさ
上 下
415 / 722
第2章 幼年編

416 引出物

しおりを挟む


 「こんなもんもらって喜ぶ奴がいるのか?」

 「ええ私は欲しいかも。だってカッコいいから‥」

 「ミランダ‥お前‥」

 「あなた‥‥」

 ぐはっっ。
 いい歳したおっさんとお◯さんのイチャイチャシーンなんか見たくもねぇわ!うへっってなるわ!

 「なんだとこのガキーー」

 「痛い痛い!頭ぐりぐりしないで!」

 なんでだよ!口に出してたのかよ俺!

 「わはははは。まあまあアレク君笑ってあげるなよ。ロジャー殿もようやく人生の伴侶が見つかったんだから嬉しくなるのも当然なんだよ」

 「いやいや。俺でさえ結婚できたんだからミョクマル殿も結婚してもらわねえと」

 「がははは。そうそうおらんよ。こんなおっさんと結婚してくれる女性などは。
 ロジャー殿はミランダさんに感謝せねばならんよ。何せ我らはいい歳したただのおっさんなんじゃからの」

 「うっ。たしかに……。ミランダ改めていいのか?こんなおっさんで」

 「何言ってるの!私はロジャーさんがいいの!ロジャーさんだけがいいの!」

 「ミランダ‥」

 「ロジャーさん‥」

 「あーもうやめてくれよー。腹いっぱいだよー」

 がははははは
 わははははは



 「アレク君、このふぃぎゅあは実によくできておるよ。ヴィヨルドの技術力の高さを他国や他領に宣伝できるわい」

 「まさかそれをこのくそガキが1人で作ってるとは誰も思わんわな」

 「あざーす」

 がはははは
 フフフフフ
 わはははは


 引出物が詰まった紙バッグの中には木箱に入った金ピカのロジャーフィギュアが入っているんだ。
 イメージはラ◯ウとオール毎度。どっちもガチムチのおっさんヒーロー。ロジャーのおっさんもそうなんだよね。

 厳しめの表情で両手を腰にあてて胸を張る1/12おっさん立像。
 不退転の決意をおっさんで表現したんだ。
 中原中に知られるロジャーのおっさん。2つ名も「救国の英雄」だもんね。

 鉄のガワに全体に薄く24金を伸ばして貼った、見た目金ピカの立像は全部で100体。俺が発現したんだよ。
 けっこういい感じじゃない?


 

 いよいよ明日は結婚式披露宴。
 ミョクマルさんを伴ってロジャーのおっさんとミランダさん夫妻に披露宴の引出物を1つ1つ説明していく。

 明日誰かに何を聞かれてもどうだっていうくらいには答えられるようにしとかないとね。

 引出物は紙製の手提げバッグにヴィヨルド産の銘品逸品を余すことなく入れてあるよ。もちろんメイプルシロップ(VIP用の高品質なやつ)やアレク袋のあれこれも。

 おもしろいところでは男女用一対の革ベルトかな。
 革はポンドリザード製。極悪魔獣なんだけどポンドリザードは滅多に捕獲できないんだ。
 幾何学的に生えた尻尾の突起物が美しいと王族や貴族層から装飾品として珍重されてる魔獣のポンドリザード。珍重されてる理由はとにかく捕獲が稀なことなんだ。何せ滅多に見かけられない上に、見つけても水の底に潜ったら最後1日や2日は平気で潜り続けられるんだ。
 だから年に1、2度ごく稀に市場に出たらすぐにすごい高値で売買されるんだよね。

 そんなポンドリザードの革がなんであるのかって?
 それはね簡単なんだ。雷魔法を水に流すとぷかーーって浮いてくるんだよね。ちょうどダンジョンでガタロに電撃を加えたみたいにね。

 VIP用引出物の革ベルト。この希少なポンドリザードの革ベルトに鍛冶屋街のドワーフの爺さんたちが作ってくれた精緻な飾りのついたバックルを装着してあるよ。
 男性用のバックルは精緻なデザインなんだけど武骨さもある造りなんだよね。
 理由?これは見る人にはわかる。平時はもちろん戦時でも使えるベルトなんだ。
 だから決して腑抜けてないよっていう意味も込められてるんだ。ヴィヨルド領らしいでしょ。



 披露宴に出される料理と夜の立食パーティーについての料理の説明と試食はさっき料理長からしてもらったはずだよ。


 「アレク君ありがとうね。想像以上、まったく申し分ないわ!」

 「ああミランダの言うとおりだ」

 「「ありがとう」」

 「わわわわっ。やめてくれよ!2人に喜んでもらえたらそれだけで俺も嬉しいんだから!」


 料理と引出物の細かな説明。
 ロジャーのおっさんはただ聞いてるだけだったけどミランダさんはちゃんとメモ帳に書いていたよ。ああ、紙のメモ帳と鉛筆、鉛筆削りはもちろん引出物の中に入ってるよ。どれも中原初の文房具だね。
 もちろんミカサ商会とサンデー商会で明日以降発売になるんだけどね。


 「フムフム」

 ミョクマルさんも一生懸命メモを取っていた。ミョクマルさんは明日の披露宴の司会をするんだ。
 商業ギルド長ということもあって元々話がうまいミョクマルさん。もちろんロジャーのおっさんが旧友ということもあるんだろうけど。

 でもミョクマルさんが一生懸命になるのももう1つ理由があるんだ。それは料理の材料も引出物も、明日以降の商業ギルドの売上に大いに繋がることになるから。


引出物の一覧あげとくね。(紙製の一覧表付だよ)


○  VIP用引出物

〈食品〉
・湯煎ですぐ食べられるシリーズ(常温60日保存可)
 ツクネ(ハンバーグ)
 キーサッキーのイカ飯
 コンソメスープ
 ポタージュスープ
 カレースープ
・お湯を入れるだけで食べられるシリーズ(常温90日保存可)
 金粉入VIP用粉芋
・水を入れて焼くだけシリーズ
 金粉入VIP用パンケーキ
・未開封で120日保存可のデザイン缶箱入焼菓子類
 クッキー、ビスコッティ、マドレーヌ等
 袋入シナモン焼き

・瓶入りマヨネーズ


〈記念品〉
・ロジャーフィギュア1/12
〈文房具〉
・メモ帳・鉛筆・鉛筆削り
・和紙の便せんまたは洋紙の引換券
 
この他、他国皇帝や国王用には絹の反物等


これらが中原初の紙製の手提げバッグに入ってるよ。

 ―――――――――――――――

いつもご覧いただき、ありがとうございます!
「☆」や「いいね」のご評価、フォローをいただけるとモチベーションにつながります。
どうかおひとつ、ポチッとお願いします! 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

なんか黄金とかいう馬鹿みたいなスキルを得たのでダラダラ欲望のままに金稼いで人生を楽しもうと思う

ちょす氏
ファンタジー
 今の時代においてもっとも平凡な大学生の一人の俺。 卒業を間近に控え、周りの学生たちは冒険者としてのキャリアを選ぶ中、俺の夢はただひとつ、「悠々自適な生活」を送ること。 金も欲しいし、時間も欲しい。 程々に働いて程々に寝る……そんな生活だ。 しかし、それも容易ではなかった。100年前の事件によって。 そのせいで現代の世界は冒険者が主役の時代となっていた。 ある日、半ば興味本位で冒険者登録をしてみた俺は、予想外のスキル「黄金」を手に入れる。 「はぁ?」 俺が望んだのは平和な日常を送るためだが!? 悠々自適な生活とは程遠い、忙しない日々を送ることになる。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...