アレク・プランタン

かえるまる

文字の大きさ
上 下
361 / 722
第2章 幼年編

362 お米最高!

しおりを挟む


 「「おはようアレク」」
 「「「おはよう」」」
 「「「おはよう」」」

結局朝から仲良し3家のみんなに集まってもらったんだ。
朝ごはん会。

 「みんな揃って朝からパーティーみたいだねお兄ちゃん!」
 「なんだよアレク!朝っぱらからみんなを集めやがって」
 「甘いものかにゃ?」
 「何かしらね」
 「何かしら」
 「私もわかんないのよ。昨日アレクが『明日の朝ごはんは俺が作る』って言っただけなの」

 「親方俺が居てもいいんですか?」
 「当たり前だろ。ガンツお前ももう家族みたいなもんだ」
 「親方‥‥」
 「ガンツ君何が食べられるか私もわからないけどいっぱい食べてってね」
 「はい‥ありがとうございます」

そんなジャンとガンツを微笑ましく見ていた3人が話す。

 「チャン、ニャンタ。あのな、これから食う作物を育ててくれってアレクが言ってたんだ」
 「なんじゃろうな」
 「ああなんだろうな」
 「麦レベル。ひょっとしたら麦を超える作物だってアレクが言ってたよ」
 「麦を超えるか‥‥なんかわかんないけどまた新しい村の名物になるんだよなニャンタ」
 「クククッ。ああ、そんでお前がますます忙しくなるんだよ」
 「あーそうか!そうなるのか!そうなるよな!俺はただの鍛冶屋の親父になりたいんだよ!クソっ!」
 「もうお前の出番はないよ。なあヨゼフ」
 「ああ。ジャン君にはガンツ君という弟子もできたしな」


今日の朝ごはんは俺にすれば最強の朝ごはんラインナップといえる。それは白ご飯に干物、野菜の一夜漬けに始まるジャパニーズスタイルの朝ごはんだからだ。

 「えーっとね、今朝食べてもらうのは米っていう植物なんだ。米はヴィヨルドのダンジョンで見つけたんだ。文献によればね(もちろんウソだけど)、麦と同等、もしくはそれ以上の可能性を秘めた植物なんだよ。まあとにかく食べてみて。そしてうまかったら父さんたち3家族でまずは作ってほしいんだ」
 「「「‥‥」」」

みんな微妙な顔をしてる。そりゃそうだ。米なんか食ったことないんだから。

 「まずはそのままの形。これはお水から米を炊いたものだね。お米からこの形になったものをご飯っていうんだ。
朝ごはん、夜ごはんっていう言い方はたぶんだけどね、昔の人がこの米をメインに食べてたことからついたんだよね。

じゃあさっそく焼き魚と一緒に、あるいは野菜のピクルスと一緒に食べてみて」
 「い、いただきます‥」
 「「「いただきます‥」」」

みんな微妙な表情でスプーンを動かしだした。

 もぐもぐもぐもぐ‥

 もぐもぐもぐもぐ‥

 もぐもぐもぐもぐ‥


 「うまっ!」
 「ああ、たしかにうまいな‥」
 「やわらかくてモチモチっとした適度な歯ごたえ。じんわりと甘くて‥‥ああ美味しいわ」
 「ああこりゃいつまでも噛んでたいわね」

 「「「うまーい」」」

 「「「おいしーい」」」

白ご飯はおおむね好評だ。

 「次は今の白ご飯を手で握ったおにぎりだよ。おにぎりの中には海魚の鮭を焼いた身が入ってるからね。これは手で掴んで食べてみて」

学園の先輩たちにもおにぎりは大好評だったからな。それは具なしの塩むすびでさえ大好評だった。白ご飯は淡白なところがおかずをひきたてるんだけど、おむすびは塩を手にまぶして握ってるからお米自体のおいしさも引き立つんだよね。しかも具は鉄板の鮭の干物を焼いたものだから‥‥。俺の目論みどおりとなるはずだ。

 「「「いただきます」」」

白ご飯を食べてから、みんなからは微妙な感じがなくなったみたい。躊躇なくみんながぱくぱくとおにぎりを口にした。

 もぐもぐもぐもぐ‥

 もぐもぐもぐもぐ‥

 もぐもぐもぐもぐ‥

速攻のハモり。
そこからは大合唱が生まれたんだ。

 「「「うまい!」」」

 「「おいしーい!」」

 「「うまっ!うまっ!」」



 「「「おにぎりサイコー!」」」


 「このおにぎりはね、朝作って持っていくと農作業中のお昼ごはんにもいい感じになるんだよね」
 「そうか!これはスープとパンにしなくてもこのおにぎり?だけで充分だよな」
 「しかしうまいなぁ」
 「おいしいにゃ」

みんな手についた米粒まで食べるくらい気に入ってるよ。うん、やっぱおにぎりは最強だよな。
で、おにぎりと並ぶもう1つの最強格を用意したんだ。
最初は白ご飯で米そのもののおいしさを味わってもらった。次はおにぎりで米の可能性を理解してもらった。
最後は米と合わせた最強のおかずとのハーモニーだ。このハーモニーが1番米を消費するんだ。今は無理だけどね。
ただこのハーモニー、最強を最強たらしめる調味料がないのだけは残念なんだけどね。最強たらしめる調味料はもちろん醤油だよ。だから醤油は秋には登場させたいよな。
今日は塩とごま油で食べてもらう。そう、アツアツ白ご飯に生卵。卵かけご飯だよ。

 「今日は最初におかずと食べる白ご飯を食べてもらったよね。次はおかずを中に入れたおにぎりにして食べてもらった。で、最後は白ご飯にのっけるものなんだ」
 「「「うんうん」」」

いーねー。みんなの集中力。

 「みんなの前にあるのはコッケーの生卵。朝アンナが採ってきてくれたやつ。みんな俺の真似をして食べてね。先ずはコッケーの生卵、こいつを炊きたての白ご飯にのっける。そして塩とごま油を少しかけるんだ。あとは混ぜる、混ぜる、混ぜる。そんだけだよ。じゃあ俺先に食べるね」





 ハフハフハフハフ‥










 「旨~っ!!」

そう言ったきり、ガツガツとスプーンで卵かけご飯を掻きこんだ俺。本当は丼にお箸でいきたいんだけどね。醤油はないけど‥‥うまい!







うまい!












うま~~~いっ!





無言で掻きこむ俺の姿に触発されたみんなも同じようにし始めた。
アツアツ白ご飯にコッケーの生卵を割り入れて塩を少々。ごま油をたらり。あとはかき混ぜて‥‥。

 カツカツ  カツカツ  カツカツ

 ガツガツ  ガツガツ  ガツガツ  

 ガツガツガツガツガツガツガツ‥


誰もがみんな言葉を失くしたまんまただ卵かけご飯を掻き込んだんだ。ははは、大成功だぜ!

 「どう父さん?」
 「ああ俺はつくるぞ!」
 「どうチャンおじさん?」
 「ああワシも町長なんてどうでもいいぞ!」
 「馬鹿かアンタは!」

速攻でおばさんに頭を叩かれていたチャンおじさんだ……。

 「ワシは町長の合間に米作りをするぞ!」

 「どうニャンタおじさん?」
 「うん、ぜったいに作るよ!」



 「「「うおおおーーーーー米作るぞーーーーーーー!」」」



こうしてデニーホッパー村のお米栽培が決定した。
今回俺が米の栽培を予定してるのはデニーホッパー村の3家族、俺自身が栽培する学園、隣のニールセン村、ノッカ村(のんのん村)の仲良し3村。
これだけの場所でどこがどうなるのかを検証していきたいと思っている。確実に言えることはパンの麦と並んでいずれは米も中原の2大穀物になるだろうということだ。

 「じゃあ栽培方法とかはあと20日くらいの間にみんなにお願いしていくからね」
 「アレク次はお米はいつ食べられるのかにゃ?」

一気に米の大ファンになったアンナが聞く。

 「そうだなあ。うまく栽培できれば9月から10月かな。今度は腹いっぱい食べられるはずだよ」
 「「早く食べたいにゃ」」

 うん、秋には豊作になるといいな。


 「じゃあ俺サウザニアに行って友だちを迎えに行ってくるよ」
 「わかったにゃ」
 「アンナ、仲良くしてやってくれよ」
 「もちろんにゃ」

ミリアのお父さんの状況はみんなにも伝えてある。そしてその苦境は明日はデニーホッパー村にも及ぶかもしれないってことも。

 「じゃあ母さん。夕方までには帰るから」
 「アレクお兄ちゃん。メイメイシロップの甘いオヤツはどうなったにゃ?」
 「デイジーごめんな。おやつ、本当は昼のつもりだったから。今日の夜、またみんなでご飯を食べような。そのときメイプルシロップのパンケーキを作るから」
 「わかったにゃ」



朝8点鐘。
教会ではシャーリーがシスターナターシャと話しながら待っていた。
俺もシスターに事情を説明した。そして夕方にはミリアを連れて戻ってくるって。

 「「じゃあシスター行ってきます」」
 「いってらっしゃい」




 ―――――――――――――――



いつもご覧いただき、ありがとうございます!
「☆」や「いいね」のご評価、フォローをいただけるとモチベーションにつながります。
どうかおひとつ、ポチッとお願いします! 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どこかで見たような異世界物語

PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。 飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。 互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。 これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

俺のスキルが無だった件

しょうわな人
ファンタジー
 会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。  攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。  気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。  偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。  若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。  いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。 【お知らせ】 カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。

異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。

ファンタスティック小説家
ファンタジー
 科学者・伊介天成(いかい てんせい)はある日、自分の勤める巨大企業『イセカイテック』が、転移装置開発プロジェクトの遅延を世間にたいして隠蔽していたことを知る。モルモットですら実験をしてないのに「有人転移成功!」とうそぶいていたのだ。急進的にすすむ異世界開発事業において、優位性を保つために、『イセカイテック』は計画を無理に進めようとしていた。たとえ、試験段階の転移装置にいきなり人間を乗せようとも──。  実験の無謀さを指摘した伊介天成は『イセカイテック』に邪魔者とみなされ、転移装置の実験という名目でこの世界から追放されてしまう。  無茶すぎる転移をさせられ死を覚悟する伊介天成。だが、次に目が覚めた時──彼は剣と魔法の異世界に転生していた。  辺境貴族アルドレア家の長男アーカムとして生まれかわった伊介天成は、異世界での二度目の人生をゼロからスタートさせる。

異世界召喚されました……断る!

K1-M
ファンタジー
【第3巻 令和3年12月31日】 【第2巻 令和3年 8月25日】 【書籍化 令和3年 3月25日】 会社を辞めて絶賛無職中のおっさん。気が付いたら知らない空間に。空間の主、女神の説明によると、とある異世界の国の召喚魔法によりおっさんが喚ばれてしまったとの事。お約束通りチートをもらって若返ったおっさんの冒険が今始ま『断るっ!』 ※ステータスの毎回表記は序盤のみです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

処理中です...