アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

312 45階層ナイトメア⑥

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 「みんな45階層攻略おめでとう!」

ナイトメア(白馬のあおちゃん)が言った。

 「「「ありがとうナイトメアさん(あおちゃん)」」」
 「「「あおちゃん?」」」
 「ああ、俺の田舎では白馬を『アオ』って言うからつい‥‥」
 「「アレク君‥‥」」
 「アレク‥‥」
 「「フッ」」
 「「「ないわー」」」


 「ほんとアレクったらセンスがないのよねー」
 「ねー」

シルフィとシンディまで揃ってそんなことを言う。俺のどこがセンスがないんだ?う~ん?

 「アレク君、そんな名前じゃきれいな白馬さんがかわいそうだよ!」
 「シャンク先輩の言うとおりです!」
 「あら、熊の子に教会の女の子。私は『あおちゃん』でもいいわよ。親しみ易いんじゃない」
 「「「えー、でも‥ないわー」」」

どうやらあおちゃんも俺と同じようにセンスが無い認定をされたみたいだ……。

 「はい、エルフのお嬢さんと人族の男の子、えーと?」
 「アレクって言います」
 「はい、アレクも目を覚ましたから、45階の階層主戦はあなたたちの勝ちよ。ここから先に行ってもいいわよ」
 「「「やったー!」」」

階層主のあおちゃんが話してる先から扉が出現した。

 「この奥が休憩室だからね。それと休憩室には地上に戻れる魔法陣もあるからね」
 「あの‥‥あおちゃんさん、聞きたいことがあるんです」
 「なあにエルフのお嬢さん?」
 「前回ここを通ったときの学園生を覚えてますか?」
 「もちろんよ。あななたたちと同じでここまで来れたのは2回め。選ばれた学園生の中でも10年20年に1度なのよね。特に総隊長の子がすごかったわね。うん‥‥?!
そういやあなた、あのときのエルフの男の子にどことなく似てるわね。どことなくどころか‥‥」
 「私デューク叔父さんの姪なんです」
 「あーなるほどねー。メッチャクリソツダワー‥‥」
 「めっちゃくりそつ?」
 「あっ!いいのよ、気にしなくて‥‥」
 (あおちゃん‥‥)
 「それで?」
 「叔父さんは今どこにいるんですか?生きているんですか?」
 「‥‥うーん、ごめんね。それには答えられない」
 「‥‥」
 「でもね、ここは学園生のみに解放されたダンジョンよ。これまでのダンジョン探索の歴史を考えたらその答えは出るんじゃなくって」
 「やっぱり!でも‥‥」
 「そんな顔をしないでエルフのお嬢さん。うーん、ただね‥‥」

少し間をおいてあおちゃんが話を続ける。

 「このまま探索し続けることができたら何か良いことがあるわ」
 「じゃあ俺からも1つ1だけ聞いていい?」
 「アレクなーに?」
 「ドロップ品にまともな物ってあるの?」
 「あるわよ!」
 「「「あるんだ!」」」
 「失礼ね、あんたたち!」
 「じゃあさ、マジックバッグは?」
 「具体的な物までは答えられないわ。だけど、ちゃんと良い物はあるわ。壊れた物や使いかけで錆びた物ばかりじゃないわよ」
 「「「へぇー」」」
 「現にね‥‥はい熊の子、そこから殴りかかるポーズをとる」
 「えっ!?ぼく?はい。えーい」
 「ぐはっ!やられたあぁぁぁーーーー」

そんな小芝居をしたあおちゃん。

 ドロンっ!

パッと煙が出てあおちゃんが消えた。そのあとには小さな宝箱と大きな宝箱が現れた。大きな宝箱はその大きさたるやリアカーにやっと載せられるくらいの大きさだ。

 「はい。45階層主からのプレゼントよ」

消えたあおちゃんの声だけが頭上から聞こえてきた。

 「デカっ!」
 「小さいのもあるよ」
 「ねーすごいでしょ~」
 「何かな何かな?」

ウキウキしたセーラが言った。あおちゃんの威厳ある神さまっぽい雰囲気を出した声が響く。

 「あ、あー、ゴホンゴホン。教会の子。どちらかを選びなさい。小さな葛籠(つづら)と大きな葛籠です」

ここであおちゃんの独り言が俺の脳内に響いく。

 (あっ!しまったわ。金色と銀色に塗っとくんだったわ‥)

「帰ったら宝箱を開けてくださいね。あなたは煙にまかれておばーさんになるのじゃあぁぁぁ。ヒーッヒッヒッヒッ!」

 (判るアレク?)
 (判るも何も前半は乙姫さまで後半は白雪姫の魔女のおばーさんのリミックス日本昔ばなしだろ)
 (さすがねー、よっ日本人!)

 「えっ!?間違えたらおばあさん?そんなの嫌です!」
 「もう冗談よ」

そう言ったあおちゃんの言葉にあわせるように小さな宝箱は消えた。

 「なんかあおちゃんってアレクと同じ匂いがする‥‥」
 ((ギクっ!))
 「本当ね。アレク君と同じでセンスがちょっぴり‥‥」
 「「あはははは‥‥」」


 「じゃあ宝箱もあげたからねー。あとで休憩室であけなさい」
 「「「あおちゃんありがとう」」」
 「どういたしまして。じゃあねー」


そして俺だけに聞こえる声が頭に聞こえてきた。

 「アレク、またね」
 「あおちゃん、また会えるの?」
 「だって来年も来てくれるんでしょ?」
 「うん‥‥もちろんだよ!」
 「楽しみに待ってるわ。じゃあ、本当にまたね」
 「またねあおちゃん」


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