311 / 722
第2章 幼年編
312 45階層ナイトメア⑥
しおりを挟む「みんな45階層攻略おめでとう!」
ナイトメア(白馬のあおちゃん)が言った。
「「「ありがとうナイトメアさん(あおちゃん)」」」
「「「あおちゃん?」」」
「ああ、俺の田舎では白馬を『アオ』って言うからつい‥‥」
「「アレク君‥‥」」
「アレク‥‥」
「「フッ」」
「「「ないわー」」」
「ほんとアレクったらセンスがないのよねー」
「ねー」
シルフィとシンディまで揃ってそんなことを言う。俺のどこがセンスがないんだ?う~ん?
「アレク君、そんな名前じゃきれいな白馬さんがかわいそうだよ!」
「シャンク先輩の言うとおりです!」
「あら、熊の子に教会の女の子。私は『あおちゃん』でもいいわよ。親しみ易いんじゃない」
「「「えー、でも‥ないわー」」」
どうやらあおちゃんも俺と同じようにセンスが無い認定をされたみたいだ……。
「はい、エルフのお嬢さんと人族の男の子、えーと?」
「アレクって言います」
「はい、アレクも目を覚ましたから、45階の階層主戦はあなたたちの勝ちよ。ここから先に行ってもいいわよ」
「「「やったー!」」」
階層主のあおちゃんが話してる先から扉が出現した。
「この奥が休憩室だからね。それと休憩室には地上に戻れる魔法陣もあるからね」
「あの‥‥あおちゃんさん、聞きたいことがあるんです」
「なあにエルフのお嬢さん?」
「前回ここを通ったときの学園生を覚えてますか?」
「もちろんよ。あななたたちと同じでここまで来れたのは2回め。選ばれた学園生の中でも10年20年に1度なのよね。特に総隊長の子がすごかったわね。うん‥‥?!
そういやあなた、あのときのエルフの男の子にどことなく似てるわね。どことなくどころか‥‥」
「私デューク叔父さんの姪なんです」
「あーなるほどねー。メッチャクリソツダワー‥‥」
「めっちゃくりそつ?」
「あっ!いいのよ、気にしなくて‥‥」
(あおちゃん‥‥)
「それで?」
「叔父さんは今どこにいるんですか?生きているんですか?」
「‥‥うーん、ごめんね。それには答えられない」
「‥‥」
「でもね、ここは学園生のみに解放されたダンジョンよ。これまでのダンジョン探索の歴史を考えたらその答えは出るんじゃなくって」
「やっぱり!でも‥‥」
「そんな顔をしないでエルフのお嬢さん。うーん、ただね‥‥」
少し間をおいてあおちゃんが話を続ける。
「このまま探索し続けることができたら何か良いことがあるわ」
「じゃあ俺からも1つ1だけ聞いていい?」
「アレクなーに?」
「ドロップ品にまともな物ってあるの?」
「あるわよ!」
「「「あるんだ!」」」
「失礼ね、あんたたち!」
「じゃあさ、マジックバッグは?」
「具体的な物までは答えられないわ。だけど、ちゃんと良い物はあるわ。壊れた物や使いかけで錆びた物ばかりじゃないわよ」
「「「へぇー」」」
「現にね‥‥はい熊の子、そこから殴りかかるポーズをとる」
「えっ!?ぼく?はい。えーい」
「ぐはっ!やられたあぁぁぁーーーー」
そんな小芝居をしたあおちゃん。
ドロンっ!
パッと煙が出てあおちゃんが消えた。そのあとには小さな宝箱と大きな宝箱が現れた。大きな宝箱はその大きさたるやリアカーにやっと載せられるくらいの大きさだ。
「はい。45階層主からのプレゼントよ」
消えたあおちゃんの声だけが頭上から聞こえてきた。
「デカっ!」
「小さいのもあるよ」
「ねーすごいでしょ~」
「何かな何かな?」
ウキウキしたセーラが言った。あおちゃんの威厳ある神さまっぽい雰囲気を出した声が響く。
「あ、あー、ゴホンゴホン。教会の子。どちらかを選びなさい。小さな葛籠(つづら)と大きな葛籠です」
ここであおちゃんの独り言が俺の脳内に響いく。
(あっ!しまったわ。金色と銀色に塗っとくんだったわ‥)
「帰ったら宝箱を開けてくださいね。あなたは煙にまかれておばーさんになるのじゃあぁぁぁ。ヒーッヒッヒッヒッ!」
(判るアレク?)
(判るも何も前半は乙姫さまで後半は白雪姫の魔女のおばーさんのリミックス日本昔ばなしだろ)
(さすがねー、よっ日本人!)
「えっ!?間違えたらおばあさん?そんなの嫌です!」
「もう冗談よ」
そう言ったあおちゃんの言葉にあわせるように小さな宝箱は消えた。
「なんかあおちゃんってアレクと同じ匂いがする‥‥」
((ギクっ!))
「本当ね。アレク君と同じでセンスがちょっぴり‥‥」
「「あはははは‥‥」」
「じゃあ宝箱もあげたからねー。あとで休憩室であけなさい」
「「「あおちゃんありがとう」」」
「どういたしまして。じゃあねー」
そして俺だけに聞こえる声が頭に聞こえてきた。
「アレク、またね」
「あおちゃん、また会えるの?」
「だって来年も来てくれるんでしょ?」
「うん‥‥もちろんだよ!」
「楽しみに待ってるわ。じゃあ、本当にまたね」
「またねあおちゃん」
――――――――――――――
いつもご覧いただき、ありがとうございます!
「☆」や「いいね」のご評価、フォローをいただけるとモチベーションにつながります。
どうかおひとつ、ポチッとお願いします!
10
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説

どこかで見たような異世界物語
PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。
飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。
互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。
これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

俺のスキルが無だった件
しょうわな人
ファンタジー
会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。
攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。
気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。
偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。
若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。
いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。
【お知らせ】
カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。

異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。
ファンタスティック小説家
ファンタジー
科学者・伊介天成(いかい てんせい)はある日、自分の勤める巨大企業『イセカイテック』が、転移装置開発プロジェクトの遅延を世間にたいして隠蔽していたことを知る。モルモットですら実験をしてないのに「有人転移成功!」とうそぶいていたのだ。急進的にすすむ異世界開発事業において、優位性を保つために、『イセカイテック』は計画を無理に進めようとしていた。たとえ、試験段階の転移装置にいきなり人間を乗せようとも──。
実験の無謀さを指摘した伊介天成は『イセカイテック』に邪魔者とみなされ、転移装置の実験という名目でこの世界から追放されてしまう。
無茶すぎる転移をさせられ死を覚悟する伊介天成。だが、次に目が覚めた時──彼は剣と魔法の異世界に転生していた。
辺境貴族アルドレア家の長男アーカムとして生まれかわった伊介天成は、異世界での二度目の人生をゼロからスタートさせる。
異世界召喚されました……断る!
K1-M
ファンタジー
【第3巻 令和3年12月31日】
【第2巻 令和3年 8月25日】
【書籍化 令和3年 3月25日】
会社を辞めて絶賛無職中のおっさん。気が付いたら知らない空間に。空間の主、女神の説明によると、とある異世界の国の召喚魔法によりおっさんが喚ばれてしまったとの事。お約束通りチートをもらって若返ったおっさんの冒険が今始ま『断るっ!』
※ステータスの毎回表記は序盤のみです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜
大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。
広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。
ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。
彼の名はレッド=カーマイン。
最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。
※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる