アレク・プランタン

かえるまる

文字の大きさ
上 下
259 / 722
第2章 幼年編

260 お米最強!

しおりを挟む


 「「「お帰りー」」」

 「「「ただいまー」」」

いつものあいさつで始まった会話。本来なら、ここで階層主戦の模様を後の隊に話すのだが……。

 「メシ、メシ、アレク早く最高のコメのメシを食わせてくれよー!!」

オニールの絶叫が休憩室に響いた。

 「メシ、メシ、コメのメシ♪メシ、メシ、コメのメシ♪」

即興でリズムをつけて歌いだすオニール。

 「「メシ、メシ、コメのメシ♪‥‥」」

なんでセーラも一緒になって歌ってんだよ!しかも不思議な踊りまで加えてるし!

 「本当にオニールは!でもダメよ、最初にリッチ戦の内容を聞くわ。これはシャンク君やアレク君、セーラさんたち後輩のためにもよ。
それとアレク君、悪いけどまたちょっとした軽食だけ用意してくれる?」

 「はい!」


何にしような。
お米のお菓子はたくさんある。お煎餅、パンケーキ、ケーキ、ようかん、おこし、ポン菓子、お餅、お団子‥‥ん!?そうだよお団子だよ!串に刺さったお団子を作ろう!


米粉を練ってビー玉くらいのお団子にする。これを茹であげて浮いてきたらお団子の完成。
あとは串に刺してタレをつけて‥‥ああ、これならセーラでもできるよな。


 「セーラ、ちょっと手伝ってくれ」

 「えっ!?いいの?」

戸惑いつつも喜色満面のセーラ。だが‥‥

 「おいおいおい、アレク‥‥」

キムが懐疑的な見方を示す。

 「アレク君、あなた‥‥」

思わず絶句するマリー。

こくんこくん。マリーとキムに向けて大丈夫だと言わんばかりに頷くアレク。

 (ヒソヒソ。アレクを信じるが‥‥シャンク、ヤバかったらすぐにセーラを退場させろよ)

 (ヒソヒソ。はい、もちろんですキム先輩)

 ごくん
 ヒソヒソ
 ごくん
 ひそひそ

生唾を飲む音が聞こえる。固唾を飲んで見守るパーティのメンバーたち。


 「セーラ、お団子をこの串に5個刺してくれ」

 「はい!」

アレクの手本どおりに串に団子を5個ずつ刺していくセーラ。

 「できた!これでいい?」

 「ああ、いいよ」

 「アレク、私にもできたよ!」

 「あ、ああセーラ。上手くできたな‥‥」

 「シャンク先輩、私もお料理のお手伝いができました!」

 「う、うん。セーラさんよくできたね‥‥」

それくらい誰でもできるだろうとは思っていても口にしないシャンクであり、アレクであった……。そして。

 「チキショウなの」

なぜかセーラを睨むリズだった。


出来上がったお団子を燃料用に取っておいた炭火で軽く焼いていく。
少し香ばしいとさらに美味しいからね。
タレは甘めのメイプルシロップのみと、胡桃や胡麻、アーモンドを砕いたものの2種。

オーソドックスなタイプの甘いお団子に、中部地方でよくみる五平餅風のタレのお団子。



 「お待たせしました。米のお団子です」

 「串焼きの肉みたい」

 「へぇーコメはメシ以外もできるのか?」

 「ですです。応用できるのは麦と変わらずか、それ以上ですね」


そうなんだよな。米粉で作った麺も美味しいんだよな。あと、米味噌も。これも今度作らなきゃな。



 「「「うま~い」」」

 「弾力があるんだね」

 「タレも甘~い」

 「どっちも美味いなぁ」

 「こっちの木の実も美味しいなぁ~」

 「焦げめも香ばしくて美味いな」

 「「「美味い、ウマイ、うま~い!」」」

 米粉から作ったお団子はみんなからも大好評だった。


 「これで私もリズ先輩と一緒じゃないです!」

ふんすと胸を張るセーラ。

 「アレク、シャンク先輩、今度から私もお料理の手伝いを‥」

 「「ないない!それは絶対ない!」」

 「チキショウ‥」

 「ふんなの」







ブーリ隊の先輩たちから、リッチ戦の模様を聞く。俺が考案した石化仕様の矢や、聖水仕様の矢も効果があったみたいで嬉しいな。そんなことよりも、やっぱりビリー先輩がよく観察していたからの結果なんだよな。頭をつかってきちんと予習と復習もすることが大事なんだと改めて思ったよ。



 「去年、前回の私たちはこの35階層からはずーっと崖っぷちの探索だったわ」

そんな話ぶりでマリー先輩が話を続ける。
マリー先輩たちの前回40階層到達の記録は、学園2位の記録だ。そんな先輩たちも満身創痍で辿り着いた40階層。とてもじゃないがその先を進むことは躊躇ったという。
結果、40階層の休憩室にある帰還用の魔法陣に乗って帰還したという。


 「ここからはますます情報も少ないわ。それでも、食糧も含めてここまで万全の状態で辿り着けたのは幸運以外の何物でもないわ。探索の速度もかなり速いしね。だから、ここでも2日はゆっくりしてから進むわ。約3人からお腹の音も聞こえてきたから‥‥アレク君、食事をお願いね」

 「はい!」

ぐーぐーぐー
ぐーぐーぐー
ぐーぐーぐー

オニール先輩、ゲージ先輩、そしてセーラのお腹からぐーぐーと音が聞こえてきた……。


では米の初披露といきますか!



――――――――――――――



いつもご覧いただき、ありがとうございます!
「☆」や「いいね」のご評価、フォローをいただけるとモチベーションにつながります。
どうかおひとつ、ポチッとお願いします!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どこかで見たような異世界物語

PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。 飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。 互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。 これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

俺のスキルが無だった件

しょうわな人
ファンタジー
 会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。  攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。  気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。  偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。  若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。  いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。 【お知らせ】 カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。

異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。

ファンタスティック小説家
ファンタジー
 科学者・伊介天成(いかい てんせい)はある日、自分の勤める巨大企業『イセカイテック』が、転移装置開発プロジェクトの遅延を世間にたいして隠蔽していたことを知る。モルモットですら実験をしてないのに「有人転移成功!」とうそぶいていたのだ。急進的にすすむ異世界開発事業において、優位性を保つために、『イセカイテック』は計画を無理に進めようとしていた。たとえ、試験段階の転移装置にいきなり人間を乗せようとも──。  実験の無謀さを指摘した伊介天成は『イセカイテック』に邪魔者とみなされ、転移装置の実験という名目でこの世界から追放されてしまう。  無茶すぎる転移をさせられ死を覚悟する伊介天成。だが、次に目が覚めた時──彼は剣と魔法の異世界に転生していた。  辺境貴族アルドレア家の長男アーカムとして生まれかわった伊介天成は、異世界での二度目の人生をゼロからスタートさせる。

異世界召喚されました……断る!

K1-M
ファンタジー
【第3巻 令和3年12月31日】 【第2巻 令和3年 8月25日】 【書籍化 令和3年 3月25日】 会社を辞めて絶賛無職中のおっさん。気が付いたら知らない空間に。空間の主、女神の説明によると、とある異世界の国の召喚魔法によりおっさんが喚ばれてしまったとの事。お約束通りチートをもらって若返ったおっさんの冒険が今始ま『断るっ!』 ※ステータスの毎回表記は序盤のみです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

処理中です...