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第2章 幼年編
256 稲発見!
しおりを挟む「スパーク!」
ぷかーーっ
ぷかーーっ
ぷかーーっ
ぷかーーっ
真っ白な腹をみせてガタロがぷかぷか浮かび上がった。
再びの無双状態。
鰐魔獣と同じ。湖沼地帯の水が俺の雷電気をよく通すことといったらもう‥‥。発現してる俺でさえ、笑うしかないくらい無双しているのである。
ガタロの魔石は100個はあるからもう充分だ。(解体もキモいし)
一緒に浮いてきた魚もゲットできた。
そういや、ブーリ隊ではゲージ先輩がやっぱり無双だったらしい。そりゃ河童と鰐獣人だもんな。比べるまでもないよな。
俺の雷の電気はかなり遠くまで通電していたみたいだよ。
「しもしもー、セーラ、アレクいる?」
「しもしもー、セーラです。いますよリズ先輩」
「しもしもー。ゲージと代わるの。アレクと代わってほしいの」
「しもしもー。わかりました。アレクー」
「しもしも。ギャハハハ、俺だゲージだ」
「しもしも。アレクです。どうかしました?ゲージ先輩」
「しもしも。アレク、オメーの雷魔法、もう少し弱くできないか?ピリピリして痛いぞギャハハ」
「しもしも。わかりましたゲージ先輩」
ゲージ先輩がガタロみたいにぷかぷかしたらダメだもんな。うん、もう少し弱めの電流にしよう。
どんどん進む湖沼地帯。だんだん水嵩が引いてるよなと思ってたら、ついには水がひいた田んぼみたいになった。それも秋の収穫期を迎えて水をきった稲田に。
これ、絶対水田の設定だよな。誰が作ったんだよ。設定細か過ぎだろ!
そんなことを思いながら歩いていたら‥‥。
「おいおい!ま、まさか‥‥本当に‥‥本物かよ?!」
水田には、本当にあれがあったのである。喉から手が出るくらいに欲しかったあれが。
それは黄金色に輝く稲穂。
たわわに実り、自然と頭を垂れている稲穂だ。それも見渡す一面大豊作の稲田。
!!
思わず、自身の頬を本気でつねるアレク。
痛い。痛い。痛い。痛いけど……嬉しい!
「本物だよ‥‥」
立ちどまり、呆然とその光景を見続けるアレクにマリーがこともなげに言葉を発した。
「あー綺麗よね、この景色」
「マリー先輩、これなんだかわかります?」
「麦っぽいけど違うよね。ただの枯れ草でしょ」
マリー先輩は草だと言って笑った。マリー先輩曰く、昨年もダンジョン内では数少ない心が和む光景がここだったんだと言う。
そりゃ和むでしょう。マリー先輩にもDNAに白いお米伝説が刻まれているはずなんですよ、きっと。
さーーっと流れる風に揺れる稲穂が延々と続く。先々まで続く稲穂の海。風に揺れる黄金の海だ。
「セーラ、これ何かわかる?」
「何かって‥‥草だよね?」
「だよなー、そうなるよなー」
「変なアレク」
あーこれはずーっと見てられるなぁ。
「アレク君?行くよ?」
「あっ、ごめんなさい。ちょっと待っててくださいね」
えーっと、村でベンは風魔法を使って木の実や麦を収穫してたよな。稲も収穫できるな。エアカッターで刈り取って集めてから脱穀すればいいな。コンバインを作れたらもっと楽だろうけど。とりあえずローラーを発現して玄米にしよう。
「エアカッター!」
ここの田んぼで100㎏くらいは収穫しようかな。
もちろん種籾は持って帰ろう。
植えたら来年が楽しみだよ。
「シルフィ、向こうからこっちに風吹かせてくれる?刈り取った稲を集めるから」
「いいけど?」
何かわからないまま、シルフィが風を吹かせて向こうから刈り取った稲を集めてくれる。
「セーラも手伝ってくれる?」
「いいけど何を?」
「稲を脱穀するんだよ。フライでこのローラーの中に稲をどんどん入れてくれるかな?」
「うん、わかった」
ガガガガガガガガガガガガーーーッ!
稲穂から脱穀してどんどん玄米にしていく。
あー、これ土魔法の発現したものの中で1番楽しいかも。
こうして玄米が100㎏ちょい収獲できた。精米したら90㎏にはなると思う。すぐ食べる分はもちろんだけど、ご飯を乾燥させた「乾飯」も作っておかなきゃな。水を入れてアレク袋の中で湯煎すれば白ごはんがカンタンに作れるよ。野営のご飯もレパートリーが一気に増えるよ。
白ご飯、おにぎり、炒飯、丼もの、カレー、お餅etc。楽しみだなあ。
「セーラ楽しみにしてろよ。この米は本当に美味しいんだから!」
「へー、こめ?そんなに美味しいものなの?ヴィンサンダー領の特産なの?」
「あはは、えーと村の特産‥かな。まぁ楽しみにしてて」
「シャンク先輩、重くてしてごめんなさい」
「大丈夫だよ。だってリアカーだからぜんぜん楽だからね」
ついに、ついにお米を手に入れた!
お米があれば今後は米味噌も作れる。暇な時間ができたら麦から醤油も作りたい。
炊き立て白ご飯にコッケーの生卵と醤油‥‥考えただけでよだれがでるよ。
お米のあれこれを考えているうちにあっという間に35階層の扉前に来た。
後続のブーリ隊もすぐに到着だ。
――――――――――――――
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