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第2章 幼年編
231 リアカー
しおりを挟む「これは速いわねー」
「下り坂は楽しいな」
元々運動神経の良いマリー先輩とキム先輩はものの1時間もかからずにクロスカントリースキーを満喫していた。キム先輩なんか、ちょっとした下り坂はスラロームっぽい動きまでできるようになっていた。
「アレク君は上手に滑るね」
「はは、まぐれです」
スキーは何年経っても身体が覚えてるって昔聞いたことがあるけど、転生した俺でもスキーの動きは身体が覚えていたよ。病気で倒れる前、小さいころ爺ちゃんに教えてもらったんだ、スキー。
「セーラ、そうそう右、左、右、左…」
あんまり運動神経の良くないセーラでさえも雪上を歩くことはすぐにできるようになってたからな。
ただ、ちょっとした下り坂はへっぴり腰になってたけど。
そうそう、板をハの字にって意味はわからないよな。
「そう、板の先をひっつけるようにしたらスピードは出ないよ」
「わかった……キャー、あははは」
何度も何度も転んでいたけど、サラサラのパウダースノーだから怪我もしないし、楽しいみたいだ。転びつつも楽しく滑るセーラだった。
「アレク君ありがとうね。このそりのおかげで僕はまた楽をさせてもらってるよ」
そりを曳きながらシャンク先輩が言った。
クロスカントリースキーもすぐに覚えたシャンク先輩。
山ほどあった荷物もそりで曳けば楽々みたいだ。
「あー回廊が見えてきたよーアレク」
結果、昨年は雪の中で野営をしながら、雪中行軍をする2日間の28階層を、わずか3点鐘ほどで楽しく踏破した。
クロスカントリーさまさまだ。
「いでよ野営食堂!」
男子寮食堂ではスキー板やそりを作った残りの木で滑車2個と長い持ち手を作った。
回廊をそりのまま進めるように、滑車を付けたリアカーみたいにな物を作ったんだ。
リアカー on the そりみたいな感じ?
これさえあればシャンク先輩もポーターとして回廊も楽になるだろうし、考えようによっては今後の学園ダンジョンもさらに多くの荷物を運べるからね。
それとね、有事の際にはセーラにリアカーと障壁に入ってもらい、シャンク先輩も俺たちと一緒に参戦してもらうこともできるんだ。
リアカー構想がうまくできたら、学園ダンジョンでのポーターの概念そのものが大きく変わると思う。
基本形は旧街道の道筋を歩く学園ダンジョン探索。
だからこのリアカーをうまく活用できるのは学園ダンジョンだけかな。
そういや昔から読んだ西遊記もののアニメに、ジープに乗って旅するお坊さんと仲間たちがいたよな。
今のこの世界でも多少の悪路はジープで走破できるのかな。
まあ、俺が学園生してる間は関係ないかな。
野営中に、これから回廊を動くリアカーは簡単にできた。
高低差のあるダンジョン探索も可能な着脱のできる組立タイプだ。
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