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第2章 幼年編
154 武闘祭ルール
しおりを挟む武闘祭はそのルールも独特だ。
対戦者は魔法着(魔法衣)を着用して対戦する。
これは火、水、風、土、金の攻撃魔法術から身を守ると同時に打突からもそのダメージを軽減する魔法着(衣)だそうだ。身を守りつつ、受けた魔法術の強度によって発色をするらしい。
これにより特に発現力の高い攻撃魔法の事故を防ぐという。
どういう原理かわからないが、Level3を発現できる子が撃ったファイアボールでは魔法着が瞬時に赤色になるが、Level1やLevel2を発現する子が撃ったファイアボールでは魔法着は発色しないか、発色してもピンク色なんだという。なんかすごいね。
たしかにカーマンのファイアボールではたとえ受けても軽い火傷くらいなんだろうけど、アリシアのファイアボールなら下手すりゃあ大怪我になるもんな。
またクラス分け試験のときと同様に、剣や槍、獣人の爪などの武器には、特殊塗料が塗られている。
魔法着(魔法衣)、武器ともに発色はピンクから赤色、紫色までの3段階。
武闘祭での勝敗は対戦者に紫色を付けた場合、もしくは体術等により直接魔法衣を剥がした場合に勝利となる。
このほか、戦闘エリアからの離脱、戦闘不能、口頭で負けを認める等で勝敗は決する。
武闘祭の日程は3週間とかなり長い。
1学年300人の生徒が6学年、総数1800人の生徒から最終10傑を選びつつ、学年内での序列も決めていく武闘祭。
凡そ3週間に渡って続くイベントなのだ。
これは疲労等による事故を防止する意図もある。
1日に対戦できるのは午前午後の各1戦のみだ。
初日。
ランダムに選ばれた午前の第1戦で1800人が半分の900人に絞られ、午後の第2戦でさらにその半分の450人に。
同様の流れは2日めにも続く。午前の第3戦でさらに半分の225人に。午後の第4戦でさらに半分の112人に絞られる。
3日めの第5戦では午前に半分の56人になり、午後の第6戦ではさらにその半分の28人に絞られる。
学園生1800人の上位28人(負傷、棄権等により1、2人程度の若干の誤差はあるらしい)は、各学年の1組入りがほぼ決定となる。
尚、ユニークなのはこのトーナメント参加者数が奇数となった場合だ。
この場合、次戦に1人を不戦勝とし、偶数として対戦相手をマッチメイクして次に進むのだ。
この場合の不戦勝はくじ引きによるラッキーナンバー(ラッキーカード)制が導入される。このラッキーナンバーに当たった者1人が不戦勝となり先に進めるのだ。奇数となった各予選でラッキーナンバーを引き当てるのはわずか1人であることから、まさに幸運なナンバー(カード)である。
また座学のみで1組となった生徒の武闘祭参加は自由だ。年度中のクラスは固定となるが翌年以降は当年度末の座学試験1発診査になるという。座学のみなので1組でなければ10組となるのはほぼ確定である。
(実際、座学のみの生徒は初年度から卒業まで移動は無いという。彼等はいわゆる天才や秀才の頭脳であるらしい)
武闘祭独特のトーナメント予選形式はこれ以外も続くことになる。
3日間第6戦までの上位者29人程度はしばし休息となる。
その後4日め、5日め、6日めには残った敗者により、再度同じようなトーナメントが行われる。
さらに7日め、8日め、9日めにも再び同じ流れで敗者によるトーナメントが行われる。
ここまでの対戦成績に座学成績を加味したものが数値化され、最終的にクラス分けの序列となるそうだ。
10日めの午前には2度めと3度めの敗者トーナメントの28人程度がそれぞれ半分の14人に。午後にはそれぞれ7人に絞られる。
ここで変則ルールはさらに続き11日めから15日めの5日間は残った7人の総当たり戦となる。
結果、2回めと3回めの敗者トーナメントのそれぞれの1位に、最初の28人を加えた31人程度から最終トーナメントに移る。
こうして最終序列までの10傑を決する凡そ3週間にも及ぶイベントが武闘祭なのだ。
「なぁハイル、やっぱり前期初級学校くらいの勉強をしとかないと1組は厳しくないか?」
「あー大丈夫だよアレク。30位までに入ればいいんだから」
結局、ハイルと同じ1組クラスになるのは6年生の最終学年だった‥。
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