153 / 722
第2章 幼年編
154 武闘祭ルール
しおりを挟む武闘祭はそのルールも独特だ。
対戦者は魔法着(魔法衣)を着用して対戦する。
これは火、水、風、土、金の攻撃魔法術から身を守ると同時に打突からもそのダメージを軽減する魔法着(衣)だそうだ。身を守りつつ、受けた魔法術の強度によって発色をするらしい。
これにより特に発現力の高い攻撃魔法の事故を防ぐという。
どういう原理かわからないが、Level3を発現できる子が撃ったファイアボールでは魔法着が瞬時に赤色になるが、Level1やLevel2を発現する子が撃ったファイアボールでは魔法着は発色しないか、発色してもピンク色なんだという。なんかすごいね。
たしかにカーマンのファイアボールではたとえ受けても軽い火傷くらいなんだろうけど、アリシアのファイアボールなら下手すりゃあ大怪我になるもんな。
またクラス分け試験のときと同様に、剣や槍、獣人の爪などの武器には、特殊塗料が塗られている。
魔法着(魔法衣)、武器ともに発色はピンクから赤色、紫色までの3段階。
武闘祭での勝敗は対戦者に紫色を付けた場合、もしくは体術等により直接魔法衣を剥がした場合に勝利となる。
このほか、戦闘エリアからの離脱、戦闘不能、口頭で負けを認める等で勝敗は決する。
武闘祭の日程は3週間とかなり長い。
1学年300人の生徒が6学年、総数1800人の生徒から最終10傑を選びつつ、学年内での序列も決めていく武闘祭。
凡そ3週間に渡って続くイベントなのだ。
これは疲労等による事故を防止する意図もある。
1日に対戦できるのは午前午後の各1戦のみだ。
初日。
ランダムに選ばれた午前の第1戦で1800人が半分の900人に絞られ、午後の第2戦でさらにその半分の450人に。
同様の流れは2日めにも続く。午前の第3戦でさらに半分の225人に。午後の第4戦でさらに半分の112人に絞られる。
3日めの第5戦では午前に半分の56人になり、午後の第6戦ではさらにその半分の28人に絞られる。
学園生1800人の上位28人(負傷、棄権等により1、2人程度の若干の誤差はあるらしい)は、各学年の1組入りがほぼ決定となる。
尚、ユニークなのはこのトーナメント参加者数が奇数となった場合だ。
この場合、次戦に1人を不戦勝とし、偶数として対戦相手をマッチメイクして次に進むのだ。
この場合の不戦勝はくじ引きによるラッキーナンバー(ラッキーカード)制が導入される。このラッキーナンバーに当たった者1人が不戦勝となり先に進めるのだ。奇数となった各予選でラッキーナンバーを引き当てるのはわずか1人であることから、まさに幸運なナンバー(カード)である。
また座学のみで1組となった生徒の武闘祭参加は自由だ。年度中のクラスは固定となるが翌年以降は当年度末の座学試験1発診査になるという。座学のみなので1組でなければ10組となるのはほぼ確定である。
(実際、座学のみの生徒は初年度から卒業まで移動は無いという。彼等はいわゆる天才や秀才の頭脳であるらしい)
武闘祭独特のトーナメント予選形式はこれ以外も続くことになる。
3日間第6戦までの上位者29人程度はしばし休息となる。
その後4日め、5日め、6日めには残った敗者により、再度同じようなトーナメントが行われる。
さらに7日め、8日め、9日めにも再び同じ流れで敗者によるトーナメントが行われる。
ここまでの対戦成績に座学成績を加味したものが数値化され、最終的にクラス分けの序列となるそうだ。
10日めの午前には2度めと3度めの敗者トーナメントの28人程度がそれぞれ半分の14人に。午後にはそれぞれ7人に絞られる。
ここで変則ルールはさらに続き11日めから15日めの5日間は残った7人の総当たり戦となる。
結果、2回めと3回めの敗者トーナメントのそれぞれの1位に、最初の28人を加えた31人程度から最終トーナメントに移る。
こうして最終序列までの10傑を決する凡そ3週間にも及ぶイベントが武闘祭なのだ。
「なぁハイル、やっぱり前期初級学校くらいの勉強をしとかないと1組は厳しくないか?」
「あー大丈夫だよアレク。30位までに入ればいいんだから」
結局、ハイルと同じ1組クラスになるのは6年生の最終学年だった‥。
10
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説

どこかで見たような異世界物語
PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。
飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。
互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。
これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

俺のスキルが無だった件
しょうわな人
ファンタジー
会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。
攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。
気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。
偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。
若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。
いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。
【お知らせ】
カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。

異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。
ファンタスティック小説家
ファンタジー
科学者・伊介天成(いかい てんせい)はある日、自分の勤める巨大企業『イセカイテック』が、転移装置開発プロジェクトの遅延を世間にたいして隠蔽していたことを知る。モルモットですら実験をしてないのに「有人転移成功!」とうそぶいていたのだ。急進的にすすむ異世界開発事業において、優位性を保つために、『イセカイテック』は計画を無理に進めようとしていた。たとえ、試験段階の転移装置にいきなり人間を乗せようとも──。
実験の無謀さを指摘した伊介天成は『イセカイテック』に邪魔者とみなされ、転移装置の実験という名目でこの世界から追放されてしまう。
無茶すぎる転移をさせられ死を覚悟する伊介天成。だが、次に目が覚めた時──彼は剣と魔法の異世界に転生していた。
辺境貴族アルドレア家の長男アーカムとして生まれかわった伊介天成は、異世界での二度目の人生をゼロからスタートさせる。
異世界召喚されました……断る!
K1-M
ファンタジー
【第3巻 令和3年12月31日】
【第2巻 令和3年 8月25日】
【書籍化 令和3年 3月25日】
会社を辞めて絶賛無職中のおっさん。気が付いたら知らない空間に。空間の主、女神の説明によると、とある異世界の国の召喚魔法によりおっさんが喚ばれてしまったとの事。お約束通りチートをもらって若返ったおっさんの冒険が今始ま『断るっ!』
※ステータスの毎回表記は序盤のみです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる