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第2章 幼年編
101 奮戦
しおりを挟む「母さん、皆んなを連れて早く地下室へ」
「ええ」
3軒の家族皆んなが急ぎ地下室へ向かった。
「じゃあ行くよ。俺が先頭に立つ。ニャンタおじさんは後ろをお願い」
「ああアレク君」
悲鳴がすぐに大きく聞こえてくる。
村は大きくなったとはいえ、100戸足らずの小さな村だ。
(しかし、どうして盗賊が?)
そこへ盗賊が刀を振りかざして向かってきた。
おらおらおらー
盗賊が2人刀を振り回してむかってくる。
俺は突貫でこれに接近。相次いで斬り伏せる。
ゴフッ
ゴフッ
「「アレク(君)‥」」
父さんとチャンおじさんの息を飲む気配が判る。
後ろではニャンタおじさんが盗賊と切り結んでいる。
大丈夫、さすがニャンタおじさんだ。
キャー
1メル(100m)先。
子どもを庇って背を向ける女性に刀を振りかざそうとする盗賊に、俺は弓矢を番る。
シュッ
弓矢は盗賊の男を撃ち抜いた。
シルフィが頷く。
しばらく進むと、一際大きな剣戟が聞こえてきた。
そこには師匠とシスターナターシャがいた。
「師匠!」
「シスター!」
盗賊と戦う師匠。さすがは俺の剣の師匠だ。師匠が斬れない者は盗賊なんかに居ない。王国最強の騎士団元副団長。二つ名は不断の剣。
流れるような剣捌きは優美に流れるように盗賊を斬り伏せていく。
文人として、知恵のナターシャの二つ名を持ちながらも、シスターの槍術もすごかった。
長身にしっかりと似合う槍。
複数の盗賊を相手にまるで揺るがない。
俺もいくぞと思っていると、シスターから声がかかった。
「こっちは大丈夫よ。お父さんたち3人は任せて。アレク君は東門へ向かって!」
「はい!」
俺は東門に駆けだす。
途中に出会う盗賊は切り伏せ、騎馬の盗賊は矢で射ながら東門に向かう。
「神父様!」
東門近くではモンデール神父様の圧倒的な強さを見た。
刀を使ってはもちろんだが、その足技がすごい。すっくと立ったモンデール神父様が鬼神のように見えた。冒険者時代の神父様は、盾役として決して倒れず、不倒の二つ名があったというがその意味を知った。
これぞ無双!
時間にして30分にも満たない時間で。
かなりの盗賊を倒したと思う。
だんだんと悲鳴も少なくなってきた。
「アレク君、刀に塗った毒には気をつけろ」
「はい」
毒というワードにトラウマがあるのか、俺は一瞬身体がこわばった。
と、西門方面から東門へ向けて疾走する騎馬が2騎現れた。
「引けー!撤退、撤退ー!」
見るからに盗賊のリーダーたちらしい人物からの声だ。
逃げる2騎を前にシルフィが叫ぶ。
「逃すわけないじゃん!」
俺は矢を番え、すかさず一騎を弓矢で射る。
風の精霊シルフィの加護を受けた矢が一直線に盗賊を捉える。
ドウッ
射られた盗賊の男が倒れた。
もう一騎。
次いで弓矢を番る。が、急に飛び跳ねた馬に、矢は馬の尻に刺さる。
咄嗟に落馬する男。
俺はすかさず刀を手に男に接近した。
すぐに立ち上がった盗賊の男が言う。
「やられたよ。まさかこんな村にとんでもない化け物が何人もいたとはな」
盗賊の男はヨハン父さん並の偉丈夫だった。
「せめて冥土の土産に坊主を連れていくか」
刺突の構えを前に、男が俺に向け瞬時の走りを見せた。
突貫!?
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