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第2章 幼年編
086 経営者
しおりを挟むサンデー商会のサンデーさんが村に来た。俺にも会いに来てくれたようだ。
俺は早速、先般あった話をする。
「アレク君、それは難しい問題よ。例えばね、あなたが作ったミートチョッパー。王都でも大人気よ。スライム袋なんて、王国だけじゃなく中原中に広がるのも時間の問題くらい流行っているのよ。アレク袋っていう名前で定着するくらいにね。成功しても失敗してもそれはアレク君の、つまりはあなた自身の結果に落ち着くでしょ。でも村のカウカウ牧場は違うわ。
私からみてもおそらくうまくいくけどね。
でもね、うまくいったらいったでその利益に与かろうとする人も出てくる。聞いてると思うけど、ヴィンサンダー領の若い領主とその家族、あまり良い噂を聞かないからね。さらに村民の中でも、利益配分で不満が起こることもあるわ。うちの家族は大家族だからもっとほしいって言う人とかね。
逆に失敗したら失敗したで、直接関わっていないからその責任をとることは嫌だという人もでるわ。残念だけどね‥」
シスターナターシャの話。
サンデー商会のサンデーさんの話。
どちらも正鵠を得ている。
「サンデーさんはどうやってるの?」
「だから私のところは商会なの。成功したら働いている人に成功報酬として多く与えて、失敗したらそれは私が責任をとるわ」
「わかります。そうなりますよね」
「そう。アレク君なら分かると思うけど、他人と一緒にやるって難しいわ。家族でも難しいんだから」
「はい‥」
「だからね、まずは自分自身がちゃんとしていることよ。誰に見られても恥ずかしくない行動をすることね」
「はい」
「そうしていれば自然に組織はまとまるわ」
「サンデーさん、ありがとうございます」
「それとね、この先も誰が何を言ってきても、サンデー商会とお爺さまのミカサ商会はアレク君の味方だからね!」
「ありがとうございます」
「あとね、大人の話になるけど‥」
今度から村で何かをするときはちゃんとした契約書を交わすことを勧められた。なんか味気ない気もするがこれも仕方ないんだろうな。
みんなが仲良く楽しく生きていける場所。今のデニーホッパー村が理想的なんだけどね。
俺が大人になってヴィンサンダー領を取り戻せたら、誰もが楽しく生きていける領にしたいと思った。まだぜんぜん絵も描けないんだけどね。
次回 ジャンの改心
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