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第2章 幼年編
083 ランクアップ
しおりを挟む「アレク君なんか久しぶりねー。そうそうおめでとう!ランクが上がったわよ。赤銅ランクよ」
久しぶりの冒険者ギルドで、受付嬢のマリナさんが言った。
「本当ですか!やったー!ついに青銅ランクとおさらばだー!」
やったぜー!これで魔獣狩りもできる。
と言っても俺が倒せる魔獣はまだまだ最弱レベルの一角うさぎしかいないんですけど。
これは近々ニャンタおじさんに魔獣狩りに連れて行ってもらわなきゃな。
◎ ギルドランク
最底辺の青銅ランク(5級)は薬草狩りか掃除などのお手伝い、郵便配達などが主体。初心者の致死率を下げるため一切の魔獣狩りは禁止されている。
赤銅ランク(4級)からは魔獣狩りもできる。と言っても弱いモンスターのみだが。もちろん自己責任で。大怪我や死ぬリスクもここからは一気に跳ね上がる
冒険者ギルドの受付へ行くと、初めて見る猫耳の女性が出てきた。
(猫耳だよ…。しかもかわいい‥)
「いらっしゃいにゃ、冒険者ギルドに何かようですかにゃ?」
(お約束の「にゃ」だよ!テンプレばんざーい!)
「あ、あのー俺アレクって‥」
「ああ、アレク君」
「ちょっとマリナお姉さん‥」
という前段があったのがこの1、2分前のことだ。
そんな猫耳女性失意な俺に希望を与えてくれたのが、ランクアップの話だった。
「マリナお姉さん、改めて魔獣狩りについて教えてください」
「まず、ゴブリンなど低レベルの魔獣は基本的に討伐の証として右耳を持って来てね」
「アレク君はしないだろうけど、右と左の違いはすぐにわかるからズルしちゃダメよ。最初はレベルの低い魔獣からにしなさいね。調子に乗ってオークやオーガにやられる若い冒険者はいくらでもいるんだからね」
「はいマリナお姉さん。気をつけます」
「ここで2、3年頑張ったらランクも鉄級(3級)になるわ。アレク君の歳で鉄級はいないんじゃないかしら。頑張ってね」
「はい、がんばります!」
そんな赤銅ランクの俺が倒すことができる弱い魔獣と報酬はこんな感じである。
◎対象魔獣(報酬/1G=1円)
・スライム(報酬なし)
・チューラット、アルマジロー(10体毎/100G)
・一角うさぎ(100G)
・ゴブリン(100G)
・ゴブリン亜種(300G~)
・ワイルドボア(500G)
・ワーウルフ(500G)
・ファイアフォックス(800G)
・オーク(1000G)
・ブラッディドッグ(1500G)
・ワイルドディア(2000G)
おなじみ且つ最弱と定評のあるゴブリンが1体100G(100円)。
底辺ランクでは魔獣狩だけで食べていくには厳しそうだ。
ただそれぞれの亜種は倍から数10倍の金額がつくこともある。
もちろ金額に応じて危険度は跳ねあがるが。
ようやく俺も魔獣狩りができる。がんばるぞ!
▼
「ニャンタおじさーん、今度魔獣狩りに連れてってくださーい!」
「アレク君どうした?」
「はい、俺ようやく4級になれたんです」
「おお、それはおめでとう!じゃあ魔獣狩りができるな。でも気をつけないと、最初が危ないからな」
ニャンタおじさんと狩りに行く。
「うん、上手になったね」
解体の仕方も慣れてきた。
「アレク君、今日から少しずつ魔獣のランクをあげていくよ」
「はい!」
ニャンタおじさんは身近な狩りの先生だった。
「伏せて」
急にニャンタおじさんが言う。
「あそこにいるのがゴブリン 単体はたいしたことはないけど複数体は気をつけてな」
ゴブリンは緑色をした120㎝前後の人型魔獣。単体では弱いが集団化すると危険。稀に集落を作り、亜種のホブゴブリン、キングゴブリンなど知能の高い者の下で統率力を持つと危険である。
定番のオークやウルフも狩れるようになった。
いいぞ。ようやく冒険者らしくなってきたよ。
次回 悪意
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2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
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