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第2章 幼年編
081 最終学年
しおりを挟む「シャーリー、ミリアおっすー」
「デニーもおっすー」
「イギーもマイケルもおっすー」
「「アレクおっすー」」
「なんかみんな久しぶりだね」
「てかアレク、お前がいないだけだろ!」
「そうかも‥」
1年が経った。
俺はこの春休みもホーク師匠の元で1か月ほどを過ごした。
村のディル師匠同等に、あるいはそれ以上にキツくて厳しい修行だが、俺自身の成長になっている。
6年生。
これからいよいよ後期教会学校の最終学年だ。
▼
領都の教会学校の入学式にはデニーホッパー村の後輩が5人も入学してきた。
「「アレクせんぱーい!」」
後輩の女の子たちが走り寄ってニコニコと話しかけてきた。
(せ、先輩って!なんて素敵な響きなんだ!)
「やあみんな!」
(うぉー、このスカした台詞、1回言って見たかったんだよねー)
「アレク先輩ー久しぶりでーす!アレク先輩って領都学園のワルの親玉なんですってねー!」
・・・ギャハハー
周りのみんなが大爆笑となる。
「デニー!てめぇー!」
「俺じゃないって!」
「イギー!てめぇー!」
「俺じゃないって!」
「マイケルてめぇー!」
マイケルが肩をすくめて首を振った。
(あっ、マイケルめ!大人がよく俺にやるみたいに呆れやがって)
「えっ!?誰がそんなこと?まさかシャーリー?ミリア?」
「「5年の人たちも4年の人たちもみんなが言ってましたよー。先輩は領都学園の狂犬だって」」
・・・ギャハハ~
なぜ?
3馬鹿が大笑いしている。シャーリーとミリアなんか腹を抱えて泣きながら笑っている。
他のクラスの女の子たちもみんながそうだ。
(‥ホントにぐれてやる!)
最終学年だ。クラスのみんなとも、後輩たちともみんなで仲良く楽しく過ごしたい。
▼
学校帰り。
ヴァルカンさんのところへ遊びに行った。初めて行った2年前の春休み以降、今も時間があればちょくちょく手伝いに行っているのだ。
鍛治の手伝いは俺に合っていると思う。
楽しいし。
今では工房にいるトカゲ(サラマンダー)がふつうに見える。そういや、初めてヴァルカンさんのお店に入ったときもトカゲがいたよなぁとトカゲを見ていたら‥目が合った瞬間、トカゲがニヤッと笑った。
「よおサラマンダー!」
「よおアレク!しかしお前も暇なヒューマンだな」
わはは
あはは
笑うトカゲに自然と俺も笑い返していた。
▼
「ヴァルカンさん、俺来年の春からは隣のヴィヨルド領の学校に行くつもりなんだ」
「そうか。ヴィヨルド領か」
「うん」
「あそこは尚武の気風が高い風土だからな、お前の剣の修行にも合うだろう。ヴィヨルドの鍛冶屋街にワシの妹がいるから、困ったら頼るがいい」
「はい」
またこうして人の縁が結ばれるんだな。ありがたい。
次回 転校生
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