アレク・プランタン

第2章 幼年編

062 のんのん村へ(前)

｢グレンさん、こんにちはー｣

ギルド解体場のグレンフラーさんと仲良くなった。

｢おおーアレク！今日は納品か、それとも暇だから解体手伝ってくれるのか？｣

｢俺そんなに毎日暇じゃないですよ｣

｢ガハハ冗談だよ｣

｢で、今日は何持ってきたんだ？｣

｢はい、今日も薬草持ってきました｣

｢よーし。アレクの持ってくるやつは薬草もちゃんとしてるからいーな｣

｢ありがとうございます｣

｢今日はちょっとおまけして1,000G(1G1円くらい/転生前の日本と同じ金額)ってとこだな。受付に言っておくなー｣

｢あざーす｣

｢そうだ。こないだのお礼しなきゃな。これ、もってけ！｣

グレンさんからオーク肉の大きな塊をもらった。オーク肉は輸入牛に近い味と食感で人気のある魔獣肉である。
軽く5㎏はある大きさだ。

｢えーこんなにたくさんもらっちゃっていいんですか？｣

｢いいってことよ。こないだのお礼だからな。お前らもこいつに礼いっとけよ｣

｢｢坊主手伝ってくれてありがとなー｣｣

｢はーい｣

オーク肉をもらったのでシャーリーが世話になっているという親戚の家へ持っていくことにした。食堂って聞いてたからな。領都の庶民に人気の食堂らしい。
お店の名前を教えてもらっていたが、すぐにわかった。けっこう有名な食堂みたいだ。

｢いらっしゃーい！ってあれ、アレクじゃん｣

｢シャーリーおっすー｣

｢いらっしゃーい。シャーリーお友だち？｣

｢こんにちはおばさん。俺デニーホッパー村のアレクって言います。学校ではいつもシャーリーにお世話になってます。はい、これお土産｣

｢あらあらご丁寧に。ありがとうねー。さっそく今夜にでもいただくわねー。シャーリー、アレク君は彼氏？｣

｢ち、違うわよ！たっ、ただの友だちよ！｣

シャーリーは真っ赤になって否定していた。｢真っ赤になって｣と俺は思いたい‥。
モテたことなんて人生に一度もなかったから俺。

｢アレク君シャーリーをよろしくね。何か食べてくかい？｣

｢おばさんありがとー。俺もう村に帰らないと行けないからまた今度寄らせてもらいます。じゃあシャーリー明日学校で。ばいばーい｣

｢もう帰っちゃうんだ‥うん、ばいばーい｣

｢坊主、ありがとなー｣

店の中からおじさんの声がした。

｢シャーリー、アレク君いい子じゃないか｣

｢でも今からデニーホッパー村へ帰るのかい！？何時になるんだい？危ないだろう｣

｢大丈夫だよー。アレクは足も速いから1時間30分くらいだって言ってたから｣

｢サウザニアからデニーホッパー村が1時間ちょっとだって！？｣

｢うん｣

｢そりゃすごいね！なんかスキルでもあるのかい？｣

｢アレクはすごいんだよ。魔法も私よりもずっと…｣

｢こりゃ恋する乙女の顔だな。ワハハ｣

｢もーっ！おじさん違うってー！｣

▼

シャーリーの親戚ん家にオーク肉を届けた帰り、師匠から言われていた隣村のニールセン村教会に立ち寄た。なにか相談があるから聞いてこいって言ってたもんな。

｢神父様いますかー？デニーホッパー村のアレクでーす｣

｢おおアレク君。いつも郵便ありがとうな。実は相談があってな‥｣

ニールセン村教会のマモル神父様から相談を受ける。
領都サウザニアの北西にあるノッカ村で魔獣チューラットが増え過ぎて困っているというのだ。
チューラットは最も弱い魔獣である。一角うさぎよりも弱い。直接的な危険性は少ないのだが繁殖率の高さは半端ない。
ノッカ村のシスターサリーはマモル神父様の姪らしい。彼女から相談されたマモル神父様はなんとかしたいとディル神父様に相談をしたそうだ。そしてディル神父様が俺を紹介したらしい。俺はデニーホッパー村の改良案で害獣のチューラットを美味しく食べる方法を考案してたし。今はさらにその進化ver.(チューラットハンバーグ養成マシーンと自分では呼んでいる)も考えてるし。
そういや村のチューラットが減ったのはうれしいんだけど気に入らないことがある。
村のジャンとアンナのことだ。
奴らはしばらく俺のことを｢チューラット王が来たーギャハハ～｣なんてふざけたことを言いやがったもんな。
ついでながらマモル神父様から聞いたがノッカ村のシスターサリーは、わが村のシスターナターシャの親友とも言ってた。

｢わかりましたマモル神父様。俺、明日にでもノッカ村に行ってきます｣

｢アレク君頼んだよ｣

｢はい。任せてください｣


ノッカ村。別名のんのん村。
今度はチューラット退治だ！