39 / 722
第2章 幼年編
039 剣の修行
しおりを挟む
楽しかったバザーも終わり、日常生活が戻ってきた。
そんな中、俺はシスターナターシャに相談をした。
「シスター、俺剣を覚えたいんだけど、誰から習えばいい?」
「剣?たしかにそろそろ学んでもいいころね。え~っと‥アレク君は知らなかったのよねー。あなたのすぐ近くにすごい剣の先生がいるわよ」
「えっ、誰?」
「ほら、あそこよ」
シスターナターシャが指さした先には、草むしりをしているディル神父様(俺たち男の子は親しみをこめて陰で爺さんと呼んでいる)がいた。
(まさかじーさんが‥)
「そのまさかよ」
「え~っ!?(しかも独り言がバレた?)」
シスターナターシャがこっそり教えてくれた。実はディル神父様は若かりし頃王都騎士団に所属していたんだそうだ。しかも副団長として。
王都騎士団。陛下直属、王国の武のエリート集団じゃないか。
「爺さ‥神父様」
「おおアレク君」
「俺に剣を教えてください」
「ふん。教えるのは構わんが、わしの指導はキツいぞ?一切の泣き言も認めん。それでよかったら教えてやるぞ?」
「神父‥師匠、お願いします!俺ぜったいやり遂げますから!」
「よし、その意気やよし!」
「師匠!よろしくお願いします!」
こうして俺はディル神父様から剣を習うことになった。ディル神父様が爺さんから剣の師匠になった。
▼
「「アレクばいばーい」」
「2人ともばいばーい」
教会学校はだいたい午後1時には終わる。今までの俺は、授業が終わったらジャンとアンナの3人で遊びながらのんびり帰っていた。が、この日から帰りは2人と別行動になった。ディル神父様(師匠)から剣の指導を受けるためだ。
「まずは両手剣からじゃ。基本の型が身体にしみこむまで剣を振るんじゃよ」
「はい師匠!」
型はひたすらに反復練習からという。いついかなる時も、攻めも受けも無意識のうちに身体が動くよう、身体が覚えるまで何千回何万回と同じ動作を続けよと師匠は言う。
「たわけ!雑念だらけじゃ。ダラダラした剣は何千回振っても変わらんわ!」
「痛っ!」
小枝で肩をピシッと叩かれる。
「痛っ!」
「もっと腰を落とせ!」
尻を小枝で叩かれる。
ディル神父様は誰にでも優しく穏やかだったが、剣の師匠になると豹変した。
容赦なく鋭い指導だった。
「この広い世界に剣の天才は一握りもおらん。あとの優劣は努力をした者だけじゃ。振った数の多さで強さが決まると思うがよい」
「一振り一振り集中しての。さすれば無我の境地となる。ここからが振った数じゃ」
師匠がいうには型何万回という振りは、この無我の境地になってからのことだと言う。雑念だらけの俺にはまだまだ遥か先だ。
師匠から家での修行用に木刀を貰う。
これからは家でもひたすら剣を振るぞ。
努力あるのみ。
これは魔法(魔力)と同じだ。
▼
起きてすぐ。ドラゴンの魔石の欠けらに魔力を流しこんだあと。外に出てゆっくりと剣を振る。固まっている筋肉が少しずつ解れるのを感じる。
しばらくするとじんわりと汗をかいてくる。
俺は無心に剣を振る。
「アレクちゃん、ごはんよー。アレクちゃーん」
いつのまにかマリア母さんが何度も俺を呼ぶようになった。その何度めかに俺が気づく。少しずつだが集中できている俺がいる。
そんな中、俺はシスターナターシャに相談をした。
「シスター、俺剣を覚えたいんだけど、誰から習えばいい?」
「剣?たしかにそろそろ学んでもいいころね。え~っと‥アレク君は知らなかったのよねー。あなたのすぐ近くにすごい剣の先生がいるわよ」
「えっ、誰?」
「ほら、あそこよ」
シスターナターシャが指さした先には、草むしりをしているディル神父様(俺たち男の子は親しみをこめて陰で爺さんと呼んでいる)がいた。
(まさかじーさんが‥)
「そのまさかよ」
「え~っ!?(しかも独り言がバレた?)」
シスターナターシャがこっそり教えてくれた。実はディル神父様は若かりし頃王都騎士団に所属していたんだそうだ。しかも副団長として。
王都騎士団。陛下直属、王国の武のエリート集団じゃないか。
「爺さ‥神父様」
「おおアレク君」
「俺に剣を教えてください」
「ふん。教えるのは構わんが、わしの指導はキツいぞ?一切の泣き言も認めん。それでよかったら教えてやるぞ?」
「神父‥師匠、お願いします!俺ぜったいやり遂げますから!」
「よし、その意気やよし!」
「師匠!よろしくお願いします!」
こうして俺はディル神父様から剣を習うことになった。ディル神父様が爺さんから剣の師匠になった。
▼
「「アレクばいばーい」」
「2人ともばいばーい」
教会学校はだいたい午後1時には終わる。今までの俺は、授業が終わったらジャンとアンナの3人で遊びながらのんびり帰っていた。が、この日から帰りは2人と別行動になった。ディル神父様(師匠)から剣の指導を受けるためだ。
「まずは両手剣からじゃ。基本の型が身体にしみこむまで剣を振るんじゃよ」
「はい師匠!」
型はひたすらに反復練習からという。いついかなる時も、攻めも受けも無意識のうちに身体が動くよう、身体が覚えるまで何千回何万回と同じ動作を続けよと師匠は言う。
「たわけ!雑念だらけじゃ。ダラダラした剣は何千回振っても変わらんわ!」
「痛っ!」
小枝で肩をピシッと叩かれる。
「痛っ!」
「もっと腰を落とせ!」
尻を小枝で叩かれる。
ディル神父様は誰にでも優しく穏やかだったが、剣の師匠になると豹変した。
容赦なく鋭い指導だった。
「この広い世界に剣の天才は一握りもおらん。あとの優劣は努力をした者だけじゃ。振った数の多さで強さが決まると思うがよい」
「一振り一振り集中しての。さすれば無我の境地となる。ここからが振った数じゃ」
師匠がいうには型何万回という振りは、この無我の境地になってからのことだと言う。雑念だらけの俺にはまだまだ遥か先だ。
師匠から家での修行用に木刀を貰う。
これからは家でもひたすら剣を振るぞ。
努力あるのみ。
これは魔法(魔力)と同じだ。
▼
起きてすぐ。ドラゴンの魔石の欠けらに魔力を流しこんだあと。外に出てゆっくりと剣を振る。固まっている筋肉が少しずつ解れるのを感じる。
しばらくするとじんわりと汗をかいてくる。
俺は無心に剣を振る。
「アレクちゃん、ごはんよー。アレクちゃーん」
いつのまにかマリア母さんが何度も俺を呼ぶようになった。その何度めかに俺が気づく。少しずつだが集中できている俺がいる。
20
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
ダンジョン世界で俺は無双出来ない。いや、無双しない
鐘成
ファンタジー
世界中にランダムで出現するダンジョン
都心のど真ん中で発生したり空き家が変質してダンジョン化したりする。
今までにない鉱石や金属が存在していて、1番低いランクのダンジョンでさえ平均的なサラリーマンの給料以上
レベルを上げればより危険なダンジョンに挑める。
危険な高ランクダンジョンに挑めばそれ相応の見返りが約束されている。
そんな中両親がいない荒鐘真(あらかねしん)は自身初のレベルあげをする事を決意する。
妹の大学まで通えるお金、妹の夢の為に命懸けでダンジョンに挑むが……
どこかで見たような異世界物語
PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。
飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。
互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。
これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる