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第2章 幼年編
038 バザーの当日
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ドーン ドーン
Level2の火魔法を持つ村の大人が大きな音のするファイアボールを空に打ち上げ、バザー開催を知らせている。
「じゃあ父さん、母さん。俺先行くわ。あとで教会で」
「「あとでな(ね)」」
「お兄ちゃんあとでねー」
俺は準備のため少し早めに家を先に出る。
「「アレク君あの子まだ寝てるから待っててね」」
「はーい」
ジャンとアンナは平常運転である。
▼
年に一度のバザーの日。デニーホッパー村の教会は、ふだんとは違う賑わいである。隣村も含めて村中の人が集まってくる「お祭り」だからだ。
閑かな空間が尊ばれる教会もこの日ばかりは
多くの笑顔に溢れている。
「みんな今日は頑張っていこう、でも楽しもうなー!」
「「「おおー!!!」」」
俺たち10人の団結力も万全である。
「おおーこれは女神様の石像か。なんと美しい!」
「こっちには女神様のペンダントがあるわ!」
教会では、この日だけ限定販売の女神様像や女神様を象ったペンダント類が販売されていたり、稀少な作品が売られていたりとなかなかの賑わいだ。アンナのお父さんのニャンタおじさんが狩ってきた珍しい魔獣の肉の販売もあった。
普段見ない領都や王都からの行商人の、初めて見るような商品もいろいろある。
俺たち教会学校の子どものたちの出し物もある。勇者劇や合唱もある。
合唱。俺もクラスみんなで歌った。
「ぷっ。アレク、おまえにもできないことがあったんだな‥」
「アレクちゃん、歌えなくても大丈夫よ!」
「お兄ちゃんだけみんなと違う歌だったよー」
みんなが俺を慰めた。
なぜだろう?
ジャンのお母さんが言った。
「神童って言われるアレク君でも苦手なことがあるんだねー」
と言いながら頭を撫でられた。
う~ん解せん。
あっ、そういやアンナの歌がびっくりするくらいうまかった。独りで歌っていたが、歌い終わりに観客のみんなから拍手喝采もあったし。
▼
さて、俺たち子どもたちの屋台は、ひときわ多くの人に囲まれて大賑わいだった。
「甘くて美味しいわ!」
「これならいくらでも食べられるわ!」
「これは王都でも売れるな!」
雑穀に木の実やドライフルーツを押し固めたシリアルバーは特に女性に大人気だった。
「こりゃ酒がすすむなぁ」
「うまい!あの厄介者のチューラットやアルマジローがこんなに変わるのね」
「こんな料理法があるなんてな。これも王都で売れるぞ」
肉団子(つくね)も村のみんなから大好評だった。とくに男性人気が高かった。
ただ肉団子を一生懸命焼いていたはずのアンナの足元にはなぜかたくさんの串が落ちていた‥。
「これは驚きですなあ」
「美味いですぞ」
「これも間違いなく王都で売れるぞ。商会長にも伝えねば」
領都や王都から来ていた行商人からも好評だった。
俺的には今日の目玉が、俺とジャンで作った悪魔焼き(たこ焼き)だったのだが‥‥
最初は予想以上に敬遠された。
(デビルフッターだろ?)
(あんなの食えるのか?)
(ちょっとないよなー)
アンナのお母さんがいたので、試食で一個食べてもらう。
「なにこれ?あの悪魔の足なのー。え~っと‥私ちょっといらないかなー」
「おばさん、騙されたと思って一口食べてくださーい」
「もー仕方ないわねー。せっかくアレク君が勧めてくれるからじゃあ一口‥」
「えっ⁉︎うまっ!!」
「美味ーーいっ!!」
「「なんだ?なんだ?」」
ここからはニャンタおじさんとおばさんの2人がサクラ以上の宣伝効果を発揮してくれる。
「ハフハフ、サイコー!でも口の中が火傷するぜー!」
「これがホントにあのデビルフッターなの!?」
「「うま~いっ!!」」
こうして最初こそ半信半疑だったたこ焼きだったが、村の人も食べれば納得、うまいうまいと絶叫する人が続出した。
結果、焼き方にも慣れたはずのジャンと俺の2人だったが、休憩する暇もないくらいに大行列の大繁盛だった。
「ハフハフ。外はカリッとして中がジュワっとして。悪魔焼き、すばらしいわ!アレク君これはすごいわよー!」
シスターナターシャの褒め言葉がとくにうれしかった。
俺的には塩味のみってところはまだ残念だ。いずれは青海苔に醤油やソース、マヨネーズなどの調味料も作ってみたい。
ソースにマヨをかけたたこ焼きなんか最高だもんな。
▼
そんなわけで教会のバザーは大盛況のうちに終わった。
献金も含めて教会にお金もたくさん集まった。
しばらく後。
雨漏りのひどかった教会の屋根が直った。
みんなとの絆もさらに強くなった。
俺は生活魔法のレパートリーも広がった。
実りの多いバザーだった。
Level2の火魔法を持つ村の大人が大きな音のするファイアボールを空に打ち上げ、バザー開催を知らせている。
「じゃあ父さん、母さん。俺先行くわ。あとで教会で」
「「あとでな(ね)」」
「お兄ちゃんあとでねー」
俺は準備のため少し早めに家を先に出る。
「「アレク君あの子まだ寝てるから待っててね」」
「はーい」
ジャンとアンナは平常運転である。
▼
年に一度のバザーの日。デニーホッパー村の教会は、ふだんとは違う賑わいである。隣村も含めて村中の人が集まってくる「お祭り」だからだ。
閑かな空間が尊ばれる教会もこの日ばかりは
多くの笑顔に溢れている。
「みんな今日は頑張っていこう、でも楽しもうなー!」
「「「おおー!!!」」」
俺たち10人の団結力も万全である。
「おおーこれは女神様の石像か。なんと美しい!」
「こっちには女神様のペンダントがあるわ!」
教会では、この日だけ限定販売の女神様像や女神様を象ったペンダント類が販売されていたり、稀少な作品が売られていたりとなかなかの賑わいだ。アンナのお父さんのニャンタおじさんが狩ってきた珍しい魔獣の肉の販売もあった。
普段見ない領都や王都からの行商人の、初めて見るような商品もいろいろある。
俺たち教会学校の子どものたちの出し物もある。勇者劇や合唱もある。
合唱。俺もクラスみんなで歌った。
「ぷっ。アレク、おまえにもできないことがあったんだな‥」
「アレクちゃん、歌えなくても大丈夫よ!」
「お兄ちゃんだけみんなと違う歌だったよー」
みんなが俺を慰めた。
なぜだろう?
ジャンのお母さんが言った。
「神童って言われるアレク君でも苦手なことがあるんだねー」
と言いながら頭を撫でられた。
う~ん解せん。
あっ、そういやアンナの歌がびっくりするくらいうまかった。独りで歌っていたが、歌い終わりに観客のみんなから拍手喝采もあったし。
▼
さて、俺たち子どもたちの屋台は、ひときわ多くの人に囲まれて大賑わいだった。
「甘くて美味しいわ!」
「これならいくらでも食べられるわ!」
「これは王都でも売れるな!」
雑穀に木の実やドライフルーツを押し固めたシリアルバーは特に女性に大人気だった。
「こりゃ酒がすすむなぁ」
「うまい!あの厄介者のチューラットやアルマジローがこんなに変わるのね」
「こんな料理法があるなんてな。これも王都で売れるぞ」
肉団子(つくね)も村のみんなから大好評だった。とくに男性人気が高かった。
ただ肉団子を一生懸命焼いていたはずのアンナの足元にはなぜかたくさんの串が落ちていた‥。
「これは驚きですなあ」
「美味いですぞ」
「これも間違いなく王都で売れるぞ。商会長にも伝えねば」
領都や王都から来ていた行商人からも好評だった。
俺的には今日の目玉が、俺とジャンで作った悪魔焼き(たこ焼き)だったのだが‥‥
最初は予想以上に敬遠された。
(デビルフッターだろ?)
(あんなの食えるのか?)
(ちょっとないよなー)
アンナのお母さんがいたので、試食で一個食べてもらう。
「なにこれ?あの悪魔の足なのー。え~っと‥私ちょっといらないかなー」
「おばさん、騙されたと思って一口食べてくださーい」
「もー仕方ないわねー。せっかくアレク君が勧めてくれるからじゃあ一口‥」
「えっ⁉︎うまっ!!」
「美味ーーいっ!!」
「「なんだ?なんだ?」」
ここからはニャンタおじさんとおばさんの2人がサクラ以上の宣伝効果を発揮してくれる。
「ハフハフ、サイコー!でも口の中が火傷するぜー!」
「これがホントにあのデビルフッターなの!?」
「「うま~いっ!!」」
こうして最初こそ半信半疑だったたこ焼きだったが、村の人も食べれば納得、うまいうまいと絶叫する人が続出した。
結果、焼き方にも慣れたはずのジャンと俺の2人だったが、休憩する暇もないくらいに大行列の大繁盛だった。
「ハフハフ。外はカリッとして中がジュワっとして。悪魔焼き、すばらしいわ!アレク君これはすごいわよー!」
シスターナターシャの褒め言葉がとくにうれしかった。
俺的には塩味のみってところはまだ残念だ。いずれは青海苔に醤油やソース、マヨネーズなどの調味料も作ってみたい。
ソースにマヨをかけたたこ焼きなんか最高だもんな。
▼
そんなわけで教会のバザーは大盛況のうちに終わった。
献金も含めて教会にお金もたくさん集まった。
しばらく後。
雨漏りのひどかった教会の屋根が直った。
みんなとの絆もさらに強くなった。
俺は生活魔法のレパートリーも広がった。
実りの多いバザーだった。
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