アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

030 ファイア

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「やった、やったー!魔法だよ!ついに俺に魔法ができた!」

初めて習得できた魔力の発現、突貫。
任意の場所へ瞬時に移動できる「技」だ。
(この当時の俺は魔法もスキルも魔力も一切合切のすべてを同じものとして捉えていた)

これに気を良くした俺は毎日突貫の練習を続けた。
どんなこともその練習をやればやるほどより慣れていくからだ。魔法も然りだと思う。
かけ声(=詠唱)は「よーい、どん」でも「突貫」でもどちらでも変わらなかった。呟くような小さな声で言った「とっかん」でも発動した。
歌うようにリズムをつけた「よーい、どん♪」でも発現した。
ということは、詠唱する言葉の内容の正確さがキーワードではないと判る。魔法発現のキーワードは、その魔法を発現したいという明確な意志であろう。ならばいずれは無詠唱でも発現できるだろう。厨二病的なコマンド詠唱よりも、無詠唱で発現できるようになりたい。
今はこの発展形として、連続で突貫ができれば移動も速くなるんじゃなかろうかと考えている。
(そりゃ時空間魔法なんてものが発現できたらカッコいいとは思うけどね)
だがその前に、突貫中転けずに走り続ける足腰の強さも大事だとも思う。
何事もひたすら練習あるのみだ。


▼ 


次の俺の目標は生活魔法を使えることだ。
まずはマリア母さんが使える火の生活魔法を覚えたい。

「母さん、ファイアを見せて」

「アレクちゃん、いきなり変なことを言うのねー」

そうは言いつつマリア母さんは「ファイア」と小さく唱えつつ右手人差し指の先を胸の前あたりに掲げた。

シュボッ!

すると、いつも台所で灯すような火が指先から点される。まさに指先チャッ◯マンだ。

マリア母さんの指先をマジマジと見つめる俺。

「母さん、俺もファイアを使いたい。どうすればいい?」

「うーん。本来はスキルがある人にしか発現しないんだけどねー。アレクちゃんは努力家だからやり続けたらできるかもよ。とにかくイメージが大事よ。竈門に火を焚べるイメージでファイアって唱えるの」

「わかった。やってみる」

(ライターのチャッ◯マンをイメージしてっと‥)

「ファイア」

シュボッ!

指先から火が出た。

「「‥‥ええ~っ!!」」

「ア、アレクちゃん‥」

「できちゃった‥」

なんと、一発チャッ◯マンだった。これには俺も驚いた。
マリア母さんも絶句していた。

「やったー!マリア母さんありがとーう!」

「よ、よかったわ‥」

これでどこでも火がお起こせる。冒険者への道にも一歩近づいたと喜んでいたが‥。

「アレク、母さんから聞いたぞ。ファイアができるようになったんだってな。すごいなアレクは!でもな‥」

「そうよアレクちゃん、スキルが無くて発現できるって本当にすごいことよ!でもね‥」

両親からは室内での使用をきつく禁止された。
やはり子供の火遊びは危険なんだろうな。
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