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第1章 転生
015 会合(前)
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「それでは聴こうか」
モンデール神父が言った。
「まずは私から」
薬師ルキアが語り出す。
「やはりお館様の死因はノクマリ草の毒殺じゃ。ノクマリ草は中原では採れんから、タマちゃんは聞いたこともないじゃろ」
「はい」
「王国から遥かに遠い海洋諸国では自生しとる毒草じゃよ。有効度の高い毒薬としてその筋にも重宝されておるんじゃ。
この毒は弛緩した効果を持つ毒物での。苦みも少ないから茶や酒に入れても気づき難い。ゆっくりゆっくりと効果を発揮していく。だいたい1年から2年くらいかの。その間に腹に溜まった毒が牙を剥いていくわけじゃな。途中本人にはまずバレん。で、1年ほどして大きな体調の異変を来す。そのころではもう薬は効かん。ハイポーションでもな。それこそエリクサーのような手に入らん稀少な薬でしか助からんのじゃな。
倒れてからは数日で確実に死に至る毒薬じゃ。
なので中原の真っ当な商売の薬師や医師では原因もわからない厄介なものなんじゃ。
領都のサイラスには、証拠品となるお館様の臓物を預けておいた。
出どころは不明だが、おそらくは家宰のルートであろうな。
ルートが判明した暁には、お館様殺害に関与した愚か者には今回の償いをきっちりと果たしてもらう」
「ルキア様。サイラス様って、ひょっとしてあの賢者サイラス様のことですか?」
「そうじゃよ。我ら3人とサイラス…あと2名おるが、含めて鷹の爪。
お館様の若かりしころサポートをしておった冒険者じゃ」
「鷹の爪?私でも聞いたことあります!伝説の冒険者チーム鷹の爪ですよね!す、すごい…」
獣人メイドのタマがその愛くるしい瞳を大きく広げて呟く。
「次はワシじゃの」
厩のマシューが語る。
「お館様の玉璽(ぎょくじ)は見つからなんだ。遺言とされるものはもちろん偽造じゃ。だいたいお館様がご自身を辺境伯なぞとは絶対に語らん。あのお方はこの北の地を辺境などとは認めなんだからな。
家宰のアダム、彼奴の経歴は未だ不明じゃ。そして彼奴はいろいろと私服を肥やしておったみたいじゃからの。
今後はその証拠を見つけることが大事になろう。時間はかかろうがの…」
「さて、最後は私の番だ。タマちゃんに協力をお願いするために来てもらったのも、今後のことについてだ」
「はい!」
モンデール神父の語りに獣人メイドのタマが勢いよくうなづいた。
「葬儀で明らかにされたようにお館様の跡継ぎは次男のシリウス君だ」
「嘘に決まっとるわ!」
厩の爺マシューが吐き捨てる。
「わたしも違うと思います!」
「ああ我らの誰もがそう思っとろう。だがの…」
モンデール神父が続けて口にする。
「お館様の遺言書とされるものが偽造だと証明せねばならぬ。あわせてお館様の毒殺の犯人も。
でなければお家騒動とみなされ、最悪王家から廃爵となろう。
家宰の不正を暴き、お館様暗殺の犯人を見つけ、そして最後にショーン坊っちゃんの安全の確保と復権だ。
証拠が見つかるまでには相当な時間がかかるだろう。危険もあろう」
モンデール神父はここで一旦言葉を止める。
「場合によっては我らがショーン坊っちゃんを殺すという選択肢もあろう」
「その可能性は大いにな」
「だな」
薬師ルキアと厩の爺マシューがうなづいた。
「何ですか、それ!坊っちゃんを殺すなんて、あり得ません!!」
獣人メイドのタマが、椅子より立ち上がって怒り、抗議の声を上げた。
モンデール神父が言った。
「まずは私から」
薬師ルキアが語り出す。
「やはりお館様の死因はノクマリ草の毒殺じゃ。ノクマリ草は中原では採れんから、タマちゃんは聞いたこともないじゃろ」
「はい」
「王国から遥かに遠い海洋諸国では自生しとる毒草じゃよ。有効度の高い毒薬としてその筋にも重宝されておるんじゃ。
この毒は弛緩した効果を持つ毒物での。苦みも少ないから茶や酒に入れても気づき難い。ゆっくりゆっくりと効果を発揮していく。だいたい1年から2年くらいかの。その間に腹に溜まった毒が牙を剥いていくわけじゃな。途中本人にはまずバレん。で、1年ほどして大きな体調の異変を来す。そのころではもう薬は効かん。ハイポーションでもな。それこそエリクサーのような手に入らん稀少な薬でしか助からんのじゃな。
倒れてからは数日で確実に死に至る毒薬じゃ。
なので中原の真っ当な商売の薬師や医師では原因もわからない厄介なものなんじゃ。
領都のサイラスには、証拠品となるお館様の臓物を預けておいた。
出どころは不明だが、おそらくは家宰のルートであろうな。
ルートが判明した暁には、お館様殺害に関与した愚か者には今回の償いをきっちりと果たしてもらう」
「ルキア様。サイラス様って、ひょっとしてあの賢者サイラス様のことですか?」
「そうじゃよ。我ら3人とサイラス…あと2名おるが、含めて鷹の爪。
お館様の若かりしころサポートをしておった冒険者じゃ」
「鷹の爪?私でも聞いたことあります!伝説の冒険者チーム鷹の爪ですよね!す、すごい…」
獣人メイドのタマがその愛くるしい瞳を大きく広げて呟く。
「次はワシじゃの」
厩のマシューが語る。
「お館様の玉璽(ぎょくじ)は見つからなんだ。遺言とされるものはもちろん偽造じゃ。だいたいお館様がご自身を辺境伯なぞとは絶対に語らん。あのお方はこの北の地を辺境などとは認めなんだからな。
家宰のアダム、彼奴の経歴は未だ不明じゃ。そして彼奴はいろいろと私服を肥やしておったみたいじゃからの。
今後はその証拠を見つけることが大事になろう。時間はかかろうがの…」
「さて、最後は私の番だ。タマちゃんに協力をお願いするために来てもらったのも、今後のことについてだ」
「はい!」
モンデール神父の語りに獣人メイドのタマが勢いよくうなづいた。
「葬儀で明らかにされたようにお館様の跡継ぎは次男のシリウス君だ」
「嘘に決まっとるわ!」
厩の爺マシューが吐き捨てる。
「わたしも違うと思います!」
「ああ我らの誰もがそう思っとろう。だがの…」
モンデール神父が続けて口にする。
「お館様の遺言書とされるものが偽造だと証明せねばならぬ。あわせてお館様の毒殺の犯人も。
でなければお家騒動とみなされ、最悪王家から廃爵となろう。
家宰の不正を暴き、お館様暗殺の犯人を見つけ、そして最後にショーン坊っちゃんの安全の確保と復権だ。
証拠が見つかるまでには相当な時間がかかるだろう。危険もあろう」
モンデール神父はここで一旦言葉を止める。
「場合によっては我らがショーン坊っちゃんを殺すという選択肢もあろう」
「その可能性は大いにな」
「だな」
薬師ルキアと厩の爺マシューがうなづいた。
「何ですか、それ!坊っちゃんを殺すなんて、あり得ません!!」
獣人メイドのタマが、椅子より立ち上がって怒り、抗議の声を上げた。
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