上 下
10 / 16

部活の帰り道

しおりを挟む
とある日の部活の帰り道。

ニイクラ先輩とに同級生1人と歩いていると後ろからサッカーボールの音が聞こえてきた。歩いてきたのは星名とサッカー部2人。


「よう。部活終わったのか?おつかれ!」
「うん、帰るところだよ。どこ行くの?」

聞くところ、クラブハウスなどの寮生は、敷地内の学生食堂で朝食や夕飯を食べるらしい。学食行くのにもサッカーボール持って行くとか、キャプテン翼かよ。

僕と星名が偶然出会ったことを気遣ってか、星名の連れも、ニイクラ先輩たちも、少し距離をあけてそれぞれ話しながら歩き始めた。

「途中まで一緒に行くか?」

「うん、いいよ」

「部活って何曜日が休み?」

「月曜日。休みってことになってるけど、やりたかったら勝手に自主練みたいに遊んじゃってるけどね。サッカー部は?」

「俺らも同じかな。月曜だけど軽く練習したりすることある」

「そっか、一緒だね」

「あのさ、休みが一緒なら今度どっか一緒に行くか?」

「うん、いいけど、どこ行くの?」

「ホント?じゃあさ、仁科がよく行く所に行こうぜ」

「学校帰りに駅前のモスバーガーはよく行くかな」

「マックじゃねぇの?」

「マクドナルドはポテトしか食べれない...」

「何だよそれ。ま、いっか。じゃあ今度行こうぜ」

「大野くんとか誘ってくれてもいいよ~」

「何で?大野ちゃんのこと好きなの?」

「好きとかそんなのじゃなくて、話してみたいなぁっていうのと、2人より大人数の方がいいのかなって思って」

「アイツはいいの!俺は仁科とふ...」

「僕と?なに? ていうか、さっきもだけど名前で呼んだの初めてじゃない?」

「初めてじゃねぇよ」

「いや、初めてだよ!だって名前で呼ばれたの記憶にないもん」

「いや、ある!」

「ない!」

「ある!」

「絶対ない!!」

「...いや、あのな。確かに普段は呼んだことないよ。でもな、心ん中ではいつも呼んでんだよ。『仁科~、仁科~』って」

「何それ、なんか怖い!!(笑)」

「だからさ、お前が目の前に現れた時に『仁科!』って呼ぼうとするんだけど、周りに誰かいると急に恥ずかしくなって、つい『お前』って呼んじゃうんだよ」

「今『お前』って言ったよね?」

「それは言葉のあやだよ」

「そんなこと言って、本当は星名が俺様だから、僕のことお前って呼んでるだけじゃないの~?」

「俺様っていうかさ、お前って呼ばないと他の奴にとられるような気がするんだよ。いや、仁科が物じゃないのは分かってんだけどさ」

「『とられる』って何?自分の物にしたいの?」

「あ、いや、オレ何言ってんだろ...だからさ、ほら...」



「おい、太聖~、行くぞ?」

サッカー部員のアヅマくんが、星名を連れに横に来て肩を組んだ。話している内にとっくに学食付近まで来ていたようだ。

「あのな、お前は俺のオモチャなの!だから俺の物になんのが当たり前だろ!じゃあな!」


すっごく消化不良な会話...
アヅマくんが真横に来たから手のひら返したのか、それともオモチャが本音なのか...


その場で立ち尽くしたままあれこれ考えていると
「仁科~!!気を付けて帰れよ!!また明日な!!」

遠くから星名が叫んでいた。


...そんな大きな声で名前呼んで、その行為自体は恥ずかくないのかよ...変な奴。


「アイツ、話に聞いてるほど嫌な奴じゃないじゃん。見てて思ったけど、アイツ結構優しいんじゃないかな」

横に来たニイクラ先輩がふとつぶやく。


「先輩~、なんかアイツのことがよく分かりません!!」
「ま、色々と駄々漏れだったけどね」
「何がですか??ねぇ、教えて下さいよぉぉ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【ショートショート】おやすみ

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。 声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

道理恋慕

華子
恋愛
『ボロボロな青春を生きる中で、君だけが唯一光り輝いていた』 犯罪組織のトップである父親を持つ大和は、自身の将来歩む道を知らずに同級生の芽衣と恋仲になるが、父親から強いられる数々の違法な仕事が、そんなふたりの恋路の邪魔をした。 良心の呵責に苛まれながらも、屈強な父親の頼みを断りきれない大和は、仕方なしに犯罪に手を染めるが、もちろんそれは芽衣に内緒。次第に耐えきれなくなり、別れる決意を固めた。

あの雨のように

浅村 英字
恋愛
 生まれつき心臓の弱い主人公(稲垣 辰矢)は高校生活の中で犬駒 響空に思いを寄せる。  限られた辰矢の時間。終わりまでのカウントダウンが目と鼻の先である中、生徒達がひとつの命の為に日々を過ごしていく。

二十歳の同人女子と十七歳の女装男子

クナリ
恋愛
同人誌でマンガを描いている三織は、二十歳の大学生。 ある日、一人の男子高校生と出会い、危ないところを助けられる。 後日、友人と一緒にある女装コンカフェに行ってみると、そこにはあの男子高校生、壮弥が女装して働いていた。 しかも彼は、三織のマンガのファンだという。 思わぬ出会いをした同人作家と読者だったが、三織を大切にしながら世話を焼いてくれる壮弥に、「女装していても男は男。安全のため、警戒を緩めてはいけません」と忠告されつつも、だんだんと三織は心を惹かれていく。 自己評価の低い三織は、壮弥の迷惑になるからと具体的な行動まではなかなか起こせずにいたが、やがて二人の関係はただの作家と読者のものとは変わっていった。

優秀リケジョは化学教師に溺愛される

りり
恋愛
「だから……こうってこと」 他人よりちょ〜っと化学のできるJK、若葉。彼女はその化け物級の知能からクラスメイトと距離を取られていた。誰も理解してくれないと思った若葉だが 「知らんけどさ…」 適当に説明するくせに化学への熱意は人一倍な教師、瀬田に出会う。最初は普通の先生だった印象が困ってるのを助けてくれたことを機に好きと言う感情が芽生え始めて…… 「秀才リケジョ×適当化学教師」が繰り広げるラブコメディ! 【登場人物】 不宮若葉 化学ができる女子高生!化学基礎は常に学年トップ。 瀬田裕也 化学教師。生徒会の顧問でもあり、人気な先生。 ユズ 若葉と中学から親友。2人の変化を見守る。 見崎なみ 生徒会長。実は特殊能力があったり……?二人を応援してる。

美少女幼馴染が火照って喘いでいる

サドラ
恋愛
高校生の主人公。ある日、風でも引いてそうな幼馴染の姿を見るがその後、彼女の家から変な喘ぎ声が聞こえてくるー

公爵令嬢の立場を捨てたお姫様

羽衣 狐火
恋愛
公爵令嬢は暇なんてないわ 舞踏会 お茶会 正妃になるための勉強 …何もかもうんざりですわ!もう公爵令嬢の立場なんか捨ててやる! 王子なんか知りませんわ! 田舎でのんびり暮らします!

処理中です...