上 下
5 / 16

クラス分け

しおりを挟む
我が校では科目によって一部、能力別にクラスを分けて授業が行われる。


英語・古文・漢文がひとまとめの能力別クラス(文系)。
数学・化学・物理がひとまとめの能力別クラス(理系)。
社会科は各自が選択することになっていて、選択肢は地理・世界史・日本史。クラス分けは能力別ではないが、選択制のためミックス。

その他の倫理・体育・美術・音楽・現代国語は本来のクラスごとの授業となる。何故現代国語だけが能力別クラスではなかったのかは疑問だが、これは高3から文系科目に振り分けられるらしい。


特待生はそれなりの人数がいたが、能力別のクラス分けには無関心な生徒が大半のようで、アイツも例に漏れていなかった。

僕はあいにくそうではなかったので全く違う環境の中で授業を受けていたのだが、何を言いたいかと言うと、右斜め前の席から解放された授業を受けることができた、ということだ。

なので四六時中アイツと顔を合わせることではない。朝と帰りのホームルームは避けられないが、週に2コマの倫理と現代国語、週に3コマの体育、週に1コマの音楽と美術。1日に多くても2つまでしか授業は被ることはない。

しかも、右斜め前の席順になるのはホームルームだけで、授業中は席替えのシステムがある。



倫理の授業。
僕は後ろから3列目、右から2列目の席。どこの席だろうが、アイツから解放されるということがいかにフリーであるかを実感できた。それくらい、オリエンテーション以来アイツは何かしらちょっかいを出してくる。


ただ、場所なんて実際は関係なかったことを痛感させられた。


アイツは一番後ろで右から3列目の席だった。授業が始まったばかりの頃こそ何もないが、だんだん慣れてきたある日。


後ろから何かが頭に頭に当たった。
後ろを振り返っても異変はない。また何かが頭に当たった。後ろを振り返る。今度はアイツが向こうを向きながらどうやらニヤけている。はぁん、そういうことね。

よくありそうな、ちぎった消しゴムを投げられていた。ガキか。こういうのは無視するに限る。が、無視をしてもずっと止む気配がない。


「ねぇ、やめてくんない?」

「は?何もしてませんけど~?」
ジェスチャーの後、舌を出して「バーカ、ベェー」とやる顔が憎らしくて仕方ない。


その後、消しゴムが少なくなったのか、紙をちぎって丸めたものに変わった。



...延々と続くんだろうか...



だんだんとイライラしてきた僕は、先生が板書をして黒板を向いている時にアイツの席まで行き、思いっきりアイツの頭を叩いた。


その時アイツの頭に叩き込んだ平手が、僕の初めての制裁だった。


「痛ぇ、、何すんだよ!」



その声に先生が振り向き「どうしました?」と尋ねられ「すみません。この人、ちぎった消しゴムとかずっと投げてきてて授業受けるのを邪魔してくるんです~」


「ダメですよ、そんなことしちゃ。もうしないようにね」と先生はアイツに言い、監視されていることを察知してか「ほとんど」消しゴムを投げてくることは「ほとんど」なくなった。
しおりを挟む

処理中です...