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誰がKY?
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宏次は、中学3年生。いつものように登校して、クラスの自分の席に座っていると、猛が寄ってきた。二人は幼稚園のころからの知り合いで、いつも遊んできた。そこにもう一人の友達がいて、名前を優という。
この三人は、いわゆる親友といえるほど、仲が良い同級生だ。
そんな猛が、宏次に話しかけてきた。
「昨日、優と一緒に帰ったんだ」
宏次と猛は、本来は一緒に帰ることになっていた。
「昨日はごめん。クラスの仕事があって、遅くなっちゃった」
どうやら宏次は忙しく、猛は優と帰ったようだ。
「優が言ってたけど、宏次、数学のノートを優から借りてるんだって」
「え~そうだっけ。ぜんぜん覚えてないなあ」
急に言われても、宏次はすっかり忘れている。
「あっそうなんだ、でも優かなり困ってたぞ」
「それなら直接言ってくれればいいのに」
猛に告げ口するなんて、宏次は語意を強めた。
「俺もそう思うけど、優は優で気を遣ってるんだってさ」
なぜか宏次のイライラは、次第に増してきた。
「何に気を遣ってるんだよ。俺たち親友のはずだよな」
自分のいないところで、何が話されていたかと考えただけでも、気が気でない。
「俺も言ったよ。きっと宏次のやつ、忘れてるんじゃないかってね。でも言ってたぞ。宏次に言わないのは、KYだからだって」
えっノート返していなにのは、俺が空気が読めてないってことか?
「何、KYって?俺が空気が読めないとでも言いたいのか?」
怒りを抑えながら、一応確認してみた。すると意外な答えが返ってきた。
「逆、空気読んだんだって。勝は宏次に言わないことが親切とでも思って。だから言えなかったみたい。KYなんてうまいこと言うなって。二人で腹を抱えて大笑いしたよ」
空気読んだ?それじゃ、まるで優が俺に気遣ってくれたとでもいいたいのか
その言葉を聞いて、宏次はかなり複雑な気持ちになった。
覚えてないけど、借りたのは事実。言い出しづらかったのかも。でも、自分がいないところで、笑いながらそんな 話を出すなんて。何かこちらが、わざといやがらせしてるようじゃないか
宏次は考えれば考えるほどイライラ募ってきた。もうどうもこうも、感情を押さえることができない。
次の日の朝、すでに宏次と猛が登校してきていて、楽しそうに推しのアイドルについて話していた。
そこに優がやって来て、二人のもとに近寄ってくる。
「おはよう」
昨日の宏次と猛の会話を知らない優は、全く気にするそぶりも見せず、笑いながら接してくる。そんな振る舞いに、宏次は無性に腹が立ってきた。
なんだコイツ 陰でこそこそ俺のことを笑ってたくせに
宏次は、その日一日がどのように過ぎたことを、あまり覚えていない。ただ、宏次が優から借りたノートが、宏次の机のから出てきたという事実だけが存在した。
「おい、帰ろうぜ」
放課後、いつものように優が、宏次と猛とで一緒に帰ろうと誘ってきた。その言葉を聞いて、怒り心頭の宏次だったが、絞り出すように言葉を発する。
「ごめん・・・返すの忘れてて」
宏次は、優から借りていたノートを返し、頭を下げた。恥ずかしかったが、しっかりと謝り、けじめだけはつけておこうだけ心に決めていた。
そして、
「猛、帰るぞ」
と言うと、二人で教室から出て行った。優は事態が飲み込めず、去りゆく二人を見つめるしかなかった。
その日をさかいに、三人が一緒に帰る姿は見られなくなった。
優がその理由を知ったのは、数日経ってからのこと。モヤモヤ感がなくならない宏次が、思い切って優に話すことにしたのだった。
借りてたのは本当に忘れてたこと
直接言ってほしかったこと
自分のいないところで話され、どこか笑われていたと感じていたこと
KYという言葉が出てきて、何で恩着せがましく言われなきゃいけないかと思ったこと
それほど頭にきてたのに、優が何食わぬ顔で接してきたこと
宏次は思いの丈を、すべて吐き出した。するとじっと聞いていた優がポツリとつぶやく。
何だ、そんなことで
その瞬間、二人の関係は完全に切れてしまった。
ノートを借りた本人なのに逆ギレした宏次
宏次が本心打ち明けたに「何で、そんなこと」とつぶやいた優
言わなくてもいいノートの件を宏次に告げた猛
KYは誰?
この三人は、いわゆる親友といえるほど、仲が良い同級生だ。
そんな猛が、宏次に話しかけてきた。
「昨日、優と一緒に帰ったんだ」
宏次と猛は、本来は一緒に帰ることになっていた。
「昨日はごめん。クラスの仕事があって、遅くなっちゃった」
どうやら宏次は忙しく、猛は優と帰ったようだ。
「優が言ってたけど、宏次、数学のノートを優から借りてるんだって」
「え~そうだっけ。ぜんぜん覚えてないなあ」
急に言われても、宏次はすっかり忘れている。
「あっそうなんだ、でも優かなり困ってたぞ」
「それなら直接言ってくれればいいのに」
猛に告げ口するなんて、宏次は語意を強めた。
「俺もそう思うけど、優は優で気を遣ってるんだってさ」
なぜか宏次のイライラは、次第に増してきた。
「何に気を遣ってるんだよ。俺たち親友のはずだよな」
自分のいないところで、何が話されていたかと考えただけでも、気が気でない。
「俺も言ったよ。きっと宏次のやつ、忘れてるんじゃないかってね。でも言ってたぞ。宏次に言わないのは、KYだからだって」
えっノート返していなにのは、俺が空気が読めてないってことか?
「何、KYって?俺が空気が読めないとでも言いたいのか?」
怒りを抑えながら、一応確認してみた。すると意外な答えが返ってきた。
「逆、空気読んだんだって。勝は宏次に言わないことが親切とでも思って。だから言えなかったみたい。KYなんてうまいこと言うなって。二人で腹を抱えて大笑いしたよ」
空気読んだ?それじゃ、まるで優が俺に気遣ってくれたとでもいいたいのか
その言葉を聞いて、宏次はかなり複雑な気持ちになった。
覚えてないけど、借りたのは事実。言い出しづらかったのかも。でも、自分がいないところで、笑いながらそんな 話を出すなんて。何かこちらが、わざといやがらせしてるようじゃないか
宏次は考えれば考えるほどイライラ募ってきた。もうどうもこうも、感情を押さえることができない。
次の日の朝、すでに宏次と猛が登校してきていて、楽しそうに推しのアイドルについて話していた。
そこに優がやって来て、二人のもとに近寄ってくる。
「おはよう」
昨日の宏次と猛の会話を知らない優は、全く気にするそぶりも見せず、笑いながら接してくる。そんな振る舞いに、宏次は無性に腹が立ってきた。
なんだコイツ 陰でこそこそ俺のことを笑ってたくせに
宏次は、その日一日がどのように過ぎたことを、あまり覚えていない。ただ、宏次が優から借りたノートが、宏次の机のから出てきたという事実だけが存在した。
「おい、帰ろうぜ」
放課後、いつものように優が、宏次と猛とで一緒に帰ろうと誘ってきた。その言葉を聞いて、怒り心頭の宏次だったが、絞り出すように言葉を発する。
「ごめん・・・返すの忘れてて」
宏次は、優から借りていたノートを返し、頭を下げた。恥ずかしかったが、しっかりと謝り、けじめだけはつけておこうだけ心に決めていた。
そして、
「猛、帰るぞ」
と言うと、二人で教室から出て行った。優は事態が飲み込めず、去りゆく二人を見つめるしかなかった。
その日をさかいに、三人が一緒に帰る姿は見られなくなった。
優がその理由を知ったのは、数日経ってからのこと。モヤモヤ感がなくならない宏次が、思い切って優に話すことにしたのだった。
借りてたのは本当に忘れてたこと
直接言ってほしかったこと
自分のいないところで話され、どこか笑われていたと感じていたこと
KYという言葉が出てきて、何で恩着せがましく言われなきゃいけないかと思ったこと
それほど頭にきてたのに、優が何食わぬ顔で接してきたこと
宏次は思いの丈を、すべて吐き出した。するとじっと聞いていた優がポツリとつぶやく。
何だ、そんなことで
その瞬間、二人の関係は完全に切れてしまった。
ノートを借りた本人なのに逆ギレした宏次
宏次が本心打ち明けたに「何で、そんなこと」とつぶやいた優
言わなくてもいいノートの件を宏次に告げた猛
KYは誰?
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