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同窓会 4(正義はどこに)
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万引きした少年を追いかけ探しあてた場所には、なんとあの同級生の水樹がいた。その偶然の出会いにも水樹は動じることはない。
「岸先さん、ここで何をしてるの?」
キョトンとした顔をした水樹は、逆に問い返してきた。
「佐藤君こそ何でここに?」
「何でって、こちらこそ聞きたいよ!」
聖人の偽らざる叫びだった。すると子供の1人が聖人に毒づいてきた。
「お前誰だ?俺たちの仲間か?」
「清剛、お止め。それより今日の収穫をお出し」
清剛と呼ばれた少年は、ポケットからシャープペンシルの芯、チューインガムそしてマニキュアを出した。次に水樹は、こちらをの様子を伺っていた少女に声をかけた。
「よし、じゃあ次は恵麻」
恵麻と呼ばれた少女が、ためらいながら机の上に鏡とSDカードを並べた。
「何だ、二つだけか?しょうがない」
その後は、同じようにそこにいた子供たちが机上に物を並べだした。中には何も出せずに泣き出しそうな子がいる。聖人は今目の前で起きている奇妙な行動に戸惑いを隠せない。
「もしかして、それらって万引きしたもの?」
「そう、だから何なの?」
悪びれることなくそう答える水樹に、聖人はあきれてしまう。それでも、
「人の物を盗むなんて良くないよ。それにこんな小さい子にさせるなんて」
と、この女性に通じるかも分からず、聖人も言葉を返した。すると水樹は鋭い目つきでこちらを睨みながら話し出してきた。
「どうせこの子たちのこと知らないでしょ?そう、みんな身寄りがない子ばかり。ある子は親の虐待から逃げてきてたり、ある子は母親から育児放棄され養護施設から逃げてきたりと。みんな自分で生きていかなきゃいけないの。誰の手も借りずにね。そりゃやってることはダメだってことくらい私だって知ってる。それでも生きる術が必要なの。過酷な自然界では、獲物は自分の手でつかみ取るしかない」
無茶苦茶な話も、理路整然と話されるとどこか真実に聞こえてくる。それでも聖人は、過ちを正そうと訴えかけたが、水樹の更なる言葉が聖人を混乱に落とし込んでいく。
「じゃあ聞くわ、何で人の物を盗んじゃいけないの?」
えっ何で?なんでって言われても 盗むって人に迷惑をかけるじゃない
今まで当たり前と思ってきたことを改めて問われても、聖人は口ごもってしまう。
とにかくダメなものはダメなの!
さらに水樹はたたみかけてくる。
「百歩譲ってそうだとしても、この子たちに生きる力をつけなきゃなんないの。それともあなたが面倒を見てくれるとでもいうの?」
そときだった。
バシーン
いきなり大きな音がした。と同時に聖人は気を失ってしまう。思いっきり後頭部を何かで殴られた。
彼が再び目を覚ましたのは、見知らぬ病院のベッドの上。
「先生、患者さんが意識を取り戻されました」
聖人の耳元で叫ぶ看護師に、医師が症状を確認してくる。
「いや良かった。あなたは3日前に病院に運ばれてから、ずっと意識を失ったままでした」
医師の説明に聖人も状況がつかめてきた。がしかし、なぜここにいるかは覚えていない。
「さあお名前を聞かせてください」
そのとき聖人ははたと気づいた。
「佐藤ですが、俺ってどこにいたんですか?GCH、CHG?」
どうやら、水樹とのあの地下室で起きたことのすべての記憶を、失ってしまったことは確かだ。
この信じられない出来事をさかいに、聖人の運命はさらに揺れ動いていく。
「岸先さん、ここで何をしてるの?」
キョトンとした顔をした水樹は、逆に問い返してきた。
「佐藤君こそ何でここに?」
「何でって、こちらこそ聞きたいよ!」
聖人の偽らざる叫びだった。すると子供の1人が聖人に毒づいてきた。
「お前誰だ?俺たちの仲間か?」
「清剛、お止め。それより今日の収穫をお出し」
清剛と呼ばれた少年は、ポケットからシャープペンシルの芯、チューインガムそしてマニキュアを出した。次に水樹は、こちらをの様子を伺っていた少女に声をかけた。
「よし、じゃあ次は恵麻」
恵麻と呼ばれた少女が、ためらいながら机の上に鏡とSDカードを並べた。
「何だ、二つだけか?しょうがない」
その後は、同じようにそこにいた子供たちが机上に物を並べだした。中には何も出せずに泣き出しそうな子がいる。聖人は今目の前で起きている奇妙な行動に戸惑いを隠せない。
「もしかして、それらって万引きしたもの?」
「そう、だから何なの?」
悪びれることなくそう答える水樹に、聖人はあきれてしまう。それでも、
「人の物を盗むなんて良くないよ。それにこんな小さい子にさせるなんて」
と、この女性に通じるかも分からず、聖人も言葉を返した。すると水樹は鋭い目つきでこちらを睨みながら話し出してきた。
「どうせこの子たちのこと知らないでしょ?そう、みんな身寄りがない子ばかり。ある子は親の虐待から逃げてきてたり、ある子は母親から育児放棄され養護施設から逃げてきたりと。みんな自分で生きていかなきゃいけないの。誰の手も借りずにね。そりゃやってることはダメだってことくらい私だって知ってる。それでも生きる術が必要なの。過酷な自然界では、獲物は自分の手でつかみ取るしかない」
無茶苦茶な話も、理路整然と話されるとどこか真実に聞こえてくる。それでも聖人は、過ちを正そうと訴えかけたが、水樹の更なる言葉が聖人を混乱に落とし込んでいく。
「じゃあ聞くわ、何で人の物を盗んじゃいけないの?」
えっ何で?なんでって言われても 盗むって人に迷惑をかけるじゃない
今まで当たり前と思ってきたことを改めて問われても、聖人は口ごもってしまう。
とにかくダメなものはダメなの!
さらに水樹はたたみかけてくる。
「百歩譲ってそうだとしても、この子たちに生きる力をつけなきゃなんないの。それともあなたが面倒を見てくれるとでもいうの?」
そときだった。
バシーン
いきなり大きな音がした。と同時に聖人は気を失ってしまう。思いっきり後頭部を何かで殴られた。
彼が再び目を覚ましたのは、見知らぬ病院のベッドの上。
「先生、患者さんが意識を取り戻されました」
聖人の耳元で叫ぶ看護師に、医師が症状を確認してくる。
「いや良かった。あなたは3日前に病院に運ばれてから、ずっと意識を失ったままでした」
医師の説明に聖人も状況がつかめてきた。がしかし、なぜここにいるかは覚えていない。
「さあお名前を聞かせてください」
そのとき聖人ははたと気づいた。
「佐藤ですが、俺ってどこにいたんですか?GCH、CHG?」
どうやら、水樹とのあの地下室で起きたことのすべての記憶を、失ってしまったことは確かだ。
この信じられない出来事をさかいに、聖人の運命はさらに揺れ動いていく。
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