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刻まれた記憶 3(Next80年)
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記念館解体の日を迎えた。区役所、工事関係、地元住民、それに歴代の卒業生と思われる人など数十名もの人々が集まって来て、作業の様子を目に焼き付けようとしている。
これから岡島市立桜川中学校の校舎の一部解体工事を執行します
役所の型どおりの言葉を合図に、ブルドーザーが動き始める。2時間ほど経って、あっという間に更地へと変わってくのと交換に、桜川中の良心が静かに消えていった。
放課後、何もなくなった跡地を、孝彦と宏一がしっかりと踏みしめている。
「記念館はなくなって、どこか心にぽっかりと穴が空いたようだね」
「華ばあちゃんの言葉が何か身にしみてくるっていうか。何か俺たちにできることは?」
「だったら桜の木を植えるのってどう?」
孝彦からの突然の提案に、宏一に断る理由などない。
「偶然、俺も同じ事考えてた。それも二十三本から成る桜並木にしよう」
「学校に掛け合ってみるか、まあダメでもクラウディングファンドがあるし」
壮大な“サクラプロジェクト”が、二人の若者の手により今動き出す。
まさに桜花爛漫の桜川が楽しみだ。
どんなに時代が移り過ぎても、守らなくてはいけないものがある。
これから岡島市立桜川中学校の校舎の一部解体工事を執行します
役所の型どおりの言葉を合図に、ブルドーザーが動き始める。2時間ほど経って、あっという間に更地へと変わってくのと交換に、桜川中の良心が静かに消えていった。
放課後、何もなくなった跡地を、孝彦と宏一がしっかりと踏みしめている。
「記念館はなくなって、どこか心にぽっかりと穴が空いたようだね」
「華ばあちゃんの言葉が何か身にしみてくるっていうか。何か俺たちにできることは?」
「だったら桜の木を植えるのってどう?」
孝彦からの突然の提案に、宏一に断る理由などない。
「偶然、俺も同じ事考えてた。それも二十三本から成る桜並木にしよう」
「学校に掛け合ってみるか、まあダメでもクラウディングファンドがあるし」
壮大な“サクラプロジェクト”が、二人の若者の手により今動き出す。
まさに桜花爛漫の桜川が楽しみだ。
どんなに時代が移り過ぎても、守らなくてはいけないものがある。
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