ああ神様!1(面談の真実)

101の水輪

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ああ神様!1(面談の真実)

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 年が明け、三年生にとって勝負の学期である。冬休み中の頑張りが、この受験に勝ち抜くろいわれているが、宮原中三年二組の生徒はどのように過ごしたのだろうか。新学期に入り、授業はさすがに以前のような乱れはなくなってきたが、今までの積み重ねが乏しく内容について行けない生徒が多くいる。まさに学習格差。ただこの差は、宮原中学校に特化したものではなく、全国の公立中学校のほとんどが抱える悩みといえる。もっというと、三年生になったから分からなくなったのでなく、中学一、二年生、もっといえば、数学などは小学校の算数からの積み残されてるのが現状だ。

 いままさに、二組では進路のための第三回保護者面談が行われようとしている。

「塚本、どこを希望してんだ。公立か私立か?」
「俺、どこでもいいよ。入れれば」
「何言ってんだ、どこかに希望あるだろ。お母さんの方は、どのように考えておられますか?」
「いえ私は別に。本人が行きたければどこでも」
「ほら塚本、お母さんはお前の希望を優先するって。任されてるんだぞ」
 まずはパターン①。『任せる』をキーワードにほったらかしておきながら、結果が出なかいと本人を責めるパターン。

「笹本は就職か。本当にそれでいいのか?」
「どうせ勉強嫌いだもん。すぐにでも金儲けしたいんだ」
「何言ってんのタクジ、高校ぐらい出とかなくちゃ世間が相手にしないわよ」
「うっせーなあ、バイトでも何でもすっから」
 これがパターン②。中学校ではやんちゃしてて、学力が身に付いておらず、本当は高校へ行きたいが、素直に言い出せないパターンとなる。このパターンの多くは、最後の最後で、高校へ行きたいと泣きついてくる。
 
「先生うち経済的に公立しかやれないんです。どこかないですか?」
「どんなことに興味あるんですか?」
「だから公立ならどこでも。そんな贅沢いえないことは、てこの子だって分かってますよ。ねえサトル」
 パターン③。公立ならどこでもいいというパターン。本人よりも、親が決めてしまう。

「先生、うちの子国語が悪いんですよ。どんな本読めばいいですか?」
「社会科が苦手でねえ。暗記は不得意な方だから」
「数学出来ないのは考えなければいけないからですか」
「家でも勉強しないですよ。なんとか言ってやってください」
 パターン④。各教科に対する偏見が満ちているパターンだ。何かさえすれば、すぐに学力が身に付くと考えてしまう。学問に王道なし。

「だからいつも言ってるんじゃない。あれだけ勉強しろと」
「親がこれだから成績よくなるわけないじゃん」
「だれに向かって言ってんだよ」
「まあまあお母さんもサトシ君も落ち着いて」
 そしてパターン⑤。家での話し合いを十分してないため、面談でいきなり親子ゲンカを始めてしまうパターン。出て行くときは、互いに知らん顔して出てきている。

「とても順調にきているよ。このままの調子でがんばられたら希望校も夢でないでしょう」
「でしょう先生。オサムちゃん、だからママが言ってるじゃない」 
「えーと、あのー」
「先生どうでしょう。ランクをもう二段ほど上げて受験するのは」
最後がパターン⑥。母親が一方的に受験校を決めるパターンとなる。かといって本人もさほど抵抗せず従おうとします。おそらく生活全てがそうなのだろう。

「いよいよ私立受験が間近になった。もうこれ以上何しろというのかと思うけど最後の最後の追い込みだ。気を抜くなよ」
「先生、もう聞き飽きた。早く決まりてー」
「早く決めたいなあ。いつも言ってるように」
と、生徒たちが声を揃える。そして受験界では次の言葉がよく語られきた。

 受験は個人戦 受験勉強は団体戦

 勉強に困ってるやついたらみんなで助け合うんだぞ

 担任教師は、なぜか鼻高々で教室を出て行った。
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