46 / 47
番外編
ループ、? ⑦
しおりを挟む
無事、婚約は成された。断る理由は勿論ないからだ。
元々義母のループでは、私達は仲の良い婚約者で夫婦だったのだから、問題はない。
一度国に帰って婚約の報告をした後、今度は婚約者としてこちらに居を移す準備をしてくるのだとか。
私も離宮を私達用に変更する手続き等しなくてはならない。
「やはり、ノヴァ王子に決めたな」
「当たり前です。愛し合っておられたお二人なのですから」
本人目の前にして、言うのやめてもらっていいですかね?
「知っててニマニマ笑っていたのは、どこの夫婦です?」
拗ねて文句を言ってやる。
「気まずくなっては駄目だと思ったので・・・。ごめんなさい」
素直に謝るのは、やはり義母だけ。
「元の鞘に戻ったのだから、よかったじゃないか」
「それは結果が上手くいったからですよね?」
悪びれもせず、隣の義母にイチャつき、諫められる父をザマァミロと心の中で罵りながら部屋を後にする。
公務と離宮の改装で暇はない。
ノヴァが来るまでに離宮の方は完璧に終わらせておきたい。
ランスロットを連れて、最近慣れた道を早足で駆け抜けた。
「お久しぶりでこざいます」
ノヴァが正式な婚約者としてやってきた。
前回の見合いの日とは違い、美しい笑顔で挨拶をこなす。
「急な往復の長旅は大変だったろう。挨拶はこれくらいにして、リチャードと離宮でゆっくりするといい」
父上、あからさまです。
証拠に、義母に足を抓られて、いい気味だ。
「では、お言葉に甘えます。ノヴァ、行こう」
「はい。両陛下、失礼致します」
丁寧に頭を下げたノヴァを連れ、離宮へと戻る。
数日前から私の居室もこちらへと移してある。
「私の部屋はここ。ノヴァは隣だ」
「綺麗な内装ですね。好みです」
「気に入ってもらえて良かった。ここの内装だけは、私が考えた」
「え?そうなのですか?ありがとうございます」
あれ?惚れた弱みか?嬉しそうな笑顔のノヴァがかなり可愛いく見えるぞ?
「ノヴァ」
「はい」
「すまない、今まで不安だっただろう?」
「正直、不安でした。今回は好かれるどころか、嫌われたと思ったら・・・怖くて・・・」
震える声に、思わず抱き締める。
「少しでも可能性があるなら、縋りたくて・・・でも、もし貴方にす・・・好きな人が居たら・・・って・・・」
それ以上言わせたくなくて、キスで唇を塞ぐ。
「んっ・・・」
「前の私が愛したのはノヴァだけなのだろ?」
「でも・・・」
「ノヴァ?」
「あ、愛してくださってました」
「なら、今回も愛さないとな」
ヒョイと抱き上げると、丁度よく寝室までの扉が何故か開いていた。
気の利く侍従兼近衛騎士だ。
元々義母のループでは、私達は仲の良い婚約者で夫婦だったのだから、問題はない。
一度国に帰って婚約の報告をした後、今度は婚約者としてこちらに居を移す準備をしてくるのだとか。
私も離宮を私達用に変更する手続き等しなくてはならない。
「やはり、ノヴァ王子に決めたな」
「当たり前です。愛し合っておられたお二人なのですから」
本人目の前にして、言うのやめてもらっていいですかね?
「知っててニマニマ笑っていたのは、どこの夫婦です?」
拗ねて文句を言ってやる。
「気まずくなっては駄目だと思ったので・・・。ごめんなさい」
素直に謝るのは、やはり義母だけ。
「元の鞘に戻ったのだから、よかったじゃないか」
「それは結果が上手くいったからですよね?」
悪びれもせず、隣の義母にイチャつき、諫められる父をザマァミロと心の中で罵りながら部屋を後にする。
公務と離宮の改装で暇はない。
ノヴァが来るまでに離宮の方は完璧に終わらせておきたい。
ランスロットを連れて、最近慣れた道を早足で駆け抜けた。
「お久しぶりでこざいます」
ノヴァが正式な婚約者としてやってきた。
前回の見合いの日とは違い、美しい笑顔で挨拶をこなす。
「急な往復の長旅は大変だったろう。挨拶はこれくらいにして、リチャードと離宮でゆっくりするといい」
父上、あからさまです。
証拠に、義母に足を抓られて、いい気味だ。
「では、お言葉に甘えます。ノヴァ、行こう」
「はい。両陛下、失礼致します」
丁寧に頭を下げたノヴァを連れ、離宮へと戻る。
数日前から私の居室もこちらへと移してある。
「私の部屋はここ。ノヴァは隣だ」
「綺麗な内装ですね。好みです」
「気に入ってもらえて良かった。ここの内装だけは、私が考えた」
「え?そうなのですか?ありがとうございます」
あれ?惚れた弱みか?嬉しそうな笑顔のノヴァがかなり可愛いく見えるぞ?
「ノヴァ」
「はい」
「すまない、今まで不安だっただろう?」
「正直、不安でした。今回は好かれるどころか、嫌われたと思ったら・・・怖くて・・・」
震える声に、思わず抱き締める。
「少しでも可能性があるなら、縋りたくて・・・でも、もし貴方にす・・・好きな人が居たら・・・って・・・」
それ以上言わせたくなくて、キスで唇を塞ぐ。
「んっ・・・」
「前の私が愛したのはノヴァだけなのだろ?」
「でも・・・」
「ノヴァ?」
「あ、愛してくださってました」
「なら、今回も愛さないとな」
ヒョイと抱き上げると、丁度よく寝室までの扉が何故か開いていた。
気の利く侍従兼近衛騎士だ。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
賢者となって逆行したら「稀代のたらし」だと言われるようになりました。
かるぼん
BL
********************
ヴィンセント・ウィンバークの最悪の人生はやはり最悪の形で終わりを迎えた。
監禁され、牢獄の中で誰にも看取られず、ひとり悲しくこの生を終える。
もう一度、やり直せたなら…
そう思いながら遠のく意識に身をゆだね……
気が付くと「最悪」の始まりだった子ども時代に逆行していた。
逆行したヴィンセントは今回こそ、後悔のない人生を送ることを固く決意し二度目となる新たな人生を歩み始めた。
自分の最悪だった人生を回収していく過程で、逆行前には得られなかった多くの大事な人と出会う。
孤独だったヴィンセントにとって、とても貴重でありがたい存在。
しかし彼らは口をそろえてこう言うのだ
「君は稀代のたらしだね。」
ほのかにBLが漂う、逆行やり直し系ファンタジー!
よろしくお願い致します!!
********************
愛して、許して、一緒に堕ちて・オメガバース【完結】
華周夏
BL
Ωの身体を持ち、αの力も持っている『奏』生まれた時から研究所が彼の世界。ある『特殊な』能力を持つ。
そんな彼は何より賢く、美しかった。
財閥の御曹司とは名ばかりで、その特異な身体のため『ドクター』の庇護のもと、実験体のように扱われていた。
ある『仕事』のために寮つきの高校に編入する奏を待ち受けるものは?
薬師は語る、その・・・
香野ジャスミン
BL
微かに香る薬草の匂い、息が乱れ、体の奥が熱くなる。人は死が近づくとこのようになるのだと、頭のどこかで理解しそのまま、身体の力は抜け、もう、なにもできなくなっていました。
目を閉じ、かすかに聞こえる兄の声、母の声、
そして多くの民の怒号。
最後に映るものが美しいものであったなら、最後に聞こえるものが、心を動かす音ならば・・・
私の人生は幸せだったのかもしれません。※「ムーンライトノベルズ」で公開中
嫌われ悪役令息に転生したけど手遅れでした。
ゆゆり
BL
俺、成海 流唯 (なるみ るい)は今流行りの異世界転生をするも転生先の悪役令息はもう断罪された後。せめて断罪中とかじゃない⁉︎
騎士団長×悪役令息
処女作で作者が学生なこともあり、投稿頻度が乏しいです。誤字脱字など等がたくさんあると思いますが、あたたかいめで見てくださればなと思います!物語はそんなに長くする予定ではないです。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
とある隠密の受難
nionea
BL
普通に仕事してたら突然訳の解らない魔法で王子の前に引きずり出された隠密が、必死に自分の貞操を守ろうとするお話。
銀髪碧眼の美丈夫な絶倫王子 と 彼を観察するのが仕事の中肉中背平凡顔の隠密
果たして隠密は無事貞操を守れるのか。
頑張れ隠密。
負けるな隠密。
読者さんは解らないが作者はお前を応援しているぞ。たぶん。
※プロローグだけ隠密一人称ですが、本文は三人称です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる