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番外編
ループ、? ④
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見合い当日。
身分が王子というだけで別に何をするでもない。
幼少の頃から知っているから趣味好みを態々確認するでもない。
強いて言うなら、仮に婚約者となった場合、貴族間ではなく国が関わってくる為、政治や交易的な話になる。
小休憩を挟んだ今の時間。
ランスロットのみ側に置いて少し整理してみる。
「う~ん・・・」
「殿下」
「何だ?」
「あまり、そんなお顔をされ続けるのは・・・」
「そんな顔?」
「いつもの笑顔を忘れておられます」
「マジか」
「言葉遣い」
「すまん。何か色々考えてしまって・・・」
「ノヴァ王子の目的ですか?」
「そう。目的があって見合いをしに来たのは本人が認めたが・・・その目的が分からん」
それに、義母の言うループの時の自分の婚約者の存在。
「こんな事なら、誰でもいいから婚約者を選んでおけばよかったか」
「それは・・・」
思い描く理想の妃が見つからなかった為に、誰も選ばずここまで来てしまった。
今更ながら、少しの後悔が胸を占める。
「はぁ・・・」
「気が乗りませんか?ノヴァ王子は良い方だと思いますが・・・」
「そうだな。目的さえ無ければ」
「無ければ婚約を考えていただけるのですか?」
突然の会話の介入者はノヴァ王子。
どうやら休憩していた部屋の前を通った時に聞こえたらしい。
「申し訳ありません。盗み聞きをする気はなかったのですが・・・」
「構わないよ。で?今、ここに入って来たという事は、理由を教えてくれるのかな?」
「はい。リチャード殿下を不快にしてまで隠す理由はありませんから」
「では、席に戻ろうか。仮にも見合い中だしね」
スルリとノヴァ王子の手を取る。
エスコートのつもりだったが、少しの強張りが伝わって来た。
「すまない」
「いえ!あの・・・お願いします」
離してしまった手を慌てて取られ、嫌ではないのならとそのまま繋いで部屋を後にした。
改めて、見合い再開・・・な雰囲気は何処へやら?
「ノヴァ王子、無理して話す必要はない。だから、当初の目的の見合いを・・・」
「いえ。お見合いが終わったらお話しする約束でしたから、今でも変わりないかと」
「そう」
少しの沈黙。
そして、ノヴァ王子は話し始めた。
「リチャード王子は前世や過去見といった事を信じますか?」
「ん?」
何か、最近まで似た事が身近で起きていた様な・・・。
「前世?過去見?占いかな?」
「いえ。あの・・・これから話す事は私にとっての事実です。ですが、リチャード殿下が信じられないと思われたら・・・」
そこで話すのを止めますと悲しげに言うノヴァ王子に、事前に許可を得ていた話をしようと思った。
「ノヴァ王子。貴方の言いたい事は信じる。実は私も似た様な事が身近で起きたのだ」
「・・・王妃様ですよね」
「調べたのか?」
「いえ。私の話す内容が王妃様と関係無いわけではないからです」
義母と関係ある、とはどういう事だ?
警戒心を露わにして、ノヴァ王子に向き合った。
身分が王子というだけで別に何をするでもない。
幼少の頃から知っているから趣味好みを態々確認するでもない。
強いて言うなら、仮に婚約者となった場合、貴族間ではなく国が関わってくる為、政治や交易的な話になる。
小休憩を挟んだ今の時間。
ランスロットのみ側に置いて少し整理してみる。
「う~ん・・・」
「殿下」
「何だ?」
「あまり、そんなお顔をされ続けるのは・・・」
「そんな顔?」
「いつもの笑顔を忘れておられます」
「マジか」
「言葉遣い」
「すまん。何か色々考えてしまって・・・」
「ノヴァ王子の目的ですか?」
「そう。目的があって見合いをしに来たのは本人が認めたが・・・その目的が分からん」
それに、義母の言うループの時の自分の婚約者の存在。
「こんな事なら、誰でもいいから婚約者を選んでおけばよかったか」
「それは・・・」
思い描く理想の妃が見つからなかった為に、誰も選ばずここまで来てしまった。
今更ながら、少しの後悔が胸を占める。
「はぁ・・・」
「気が乗りませんか?ノヴァ王子は良い方だと思いますが・・・」
「そうだな。目的さえ無ければ」
「無ければ婚約を考えていただけるのですか?」
突然の会話の介入者はノヴァ王子。
どうやら休憩していた部屋の前を通った時に聞こえたらしい。
「申し訳ありません。盗み聞きをする気はなかったのですが・・・」
「構わないよ。で?今、ここに入って来たという事は、理由を教えてくれるのかな?」
「はい。リチャード殿下を不快にしてまで隠す理由はありませんから」
「では、席に戻ろうか。仮にも見合い中だしね」
スルリとノヴァ王子の手を取る。
エスコートのつもりだったが、少しの強張りが伝わって来た。
「すまない」
「いえ!あの・・・お願いします」
離してしまった手を慌てて取られ、嫌ではないのならとそのまま繋いで部屋を後にした。
改めて、見合い再開・・・な雰囲気は何処へやら?
「ノヴァ王子、無理して話す必要はない。だから、当初の目的の見合いを・・・」
「いえ。お見合いが終わったらお話しする約束でしたから、今でも変わりないかと」
「そう」
少しの沈黙。
そして、ノヴァ王子は話し始めた。
「リチャード王子は前世や過去見といった事を信じますか?」
「ん?」
何か、最近まで似た事が身近で起きていた様な・・・。
「前世?過去見?占いかな?」
「いえ。あの・・・これから話す事は私にとっての事実です。ですが、リチャード殿下が信じられないと思われたら・・・」
そこで話すのを止めますと悲しげに言うノヴァ王子に、事前に許可を得ていた話をしようと思った。
「ノヴァ王子。貴方の言いたい事は信じる。実は私も似た様な事が身近で起きたのだ」
「・・・王妃様ですよね」
「調べたのか?」
「いえ。私の話す内容が王妃様と関係無いわけではないからです」
義母と関係ある、とはどういう事だ?
警戒心を露わにして、ノヴァ王子に向き合った。
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