23 / 47
ループ、22
しおりを挟む
「何です?」
問いかけても答えない。
「誰からです?」
これにも答えない。
「誰からのもので、目的も分からない手紙を受け取る義理はないですよね?」
少し強い口調で咎めると、困った顔をして彼は口を開いた。
「会えるまで名前を告げるなと言われております」
「では、何故私に?」
「理由はお伺いしておりません。ただ、お渡しする様にと」
「今渡されると言う事は、国王様がおられると都合が悪い物なのですか?」
「存じ上げません」
はぁ、と溜息を吐く。知らない、存じないの一点張り。
イラつく。
「では、受け取りを拒否します」
「いえ、受け取って頂きます」
無理矢理手を取り手紙を握らせてくる。
「ちょっと‼︎」
「申し訳ありません」
深いお辞儀をする彼の態度は切羽詰まった感じがする。
仕方がない。命令されたか?仕方ない、一応受け取っておくか。
「今、その場で読んでいただけますか?」
「え?何故?」
「・・・」
あ~・・・。それも命令ですね。
渋々中を改めると、一枚のカードが出て来た。
『先日の謝罪の為、お時間を頂きたい。そこにいる使用人が案内しますので、是非ともおいで下さい』
名前がないので、王弟か第2王子か・・・。
「別に謝罪は結構です、とお伝え下さい」
「・・・申し訳ありません。必ずご案内する様にと厳命を受けております」
「国王様を待つ事は?」
「出来ません。陛下が居られると、ご案内できませんので」
「はあ・・・。わかりました。護衛の方は連れても構いませんよね?」
「・・・分かりました。では、ご案内致します」
真っ青になりながらも前を向いて歩き出す彼について行く。
チラリと姿を捉えた護衛の方に目配せをすると、向こうからも了解の合図が出た。
これで少しは安心だろう。
重くなる足取りで案内される場所へと嫌々向かう事になってしまって。
問いかけても答えない。
「誰からです?」
これにも答えない。
「誰からのもので、目的も分からない手紙を受け取る義理はないですよね?」
少し強い口調で咎めると、困った顔をして彼は口を開いた。
「会えるまで名前を告げるなと言われております」
「では、何故私に?」
「理由はお伺いしておりません。ただ、お渡しする様にと」
「今渡されると言う事は、国王様がおられると都合が悪い物なのですか?」
「存じ上げません」
はぁ、と溜息を吐く。知らない、存じないの一点張り。
イラつく。
「では、受け取りを拒否します」
「いえ、受け取って頂きます」
無理矢理手を取り手紙を握らせてくる。
「ちょっと‼︎」
「申し訳ありません」
深いお辞儀をする彼の態度は切羽詰まった感じがする。
仕方がない。命令されたか?仕方ない、一応受け取っておくか。
「今、その場で読んでいただけますか?」
「え?何故?」
「・・・」
あ~・・・。それも命令ですね。
渋々中を改めると、一枚のカードが出て来た。
『先日の謝罪の為、お時間を頂きたい。そこにいる使用人が案内しますので、是非ともおいで下さい』
名前がないので、王弟か第2王子か・・・。
「別に謝罪は結構です、とお伝え下さい」
「・・・申し訳ありません。必ずご案内する様にと厳命を受けております」
「国王様を待つ事は?」
「出来ません。陛下が居られると、ご案内できませんので」
「はあ・・・。わかりました。護衛の方は連れても構いませんよね?」
「・・・分かりました。では、ご案内致します」
真っ青になりながらも前を向いて歩き出す彼について行く。
チラリと姿を捉えた護衛の方に目配せをすると、向こうからも了解の合図が出た。
これで少しは安心だろう。
重くなる足取りで案内される場所へと嫌々向かう事になってしまって。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
賢者となって逆行したら「稀代のたらし」だと言われるようになりました。
かるぼん
BL
********************
ヴィンセント・ウィンバークの最悪の人生はやはり最悪の形で終わりを迎えた。
監禁され、牢獄の中で誰にも看取られず、ひとり悲しくこの生を終える。
もう一度、やり直せたなら…
そう思いながら遠のく意識に身をゆだね……
気が付くと「最悪」の始まりだった子ども時代に逆行していた。
逆行したヴィンセントは今回こそ、後悔のない人生を送ることを固く決意し二度目となる新たな人生を歩み始めた。
自分の最悪だった人生を回収していく過程で、逆行前には得られなかった多くの大事な人と出会う。
孤独だったヴィンセントにとって、とても貴重でありがたい存在。
しかし彼らは口をそろえてこう言うのだ
「君は稀代のたらしだね。」
ほのかにBLが漂う、逆行やり直し系ファンタジー!
よろしくお願い致します!!
********************
愛して、許して、一緒に堕ちて・オメガバース【完結】
華周夏
BL
Ωの身体を持ち、αの力も持っている『奏』生まれた時から研究所が彼の世界。ある『特殊な』能力を持つ。
そんな彼は何より賢く、美しかった。
財閥の御曹司とは名ばかりで、その特異な身体のため『ドクター』の庇護のもと、実験体のように扱われていた。
ある『仕事』のために寮つきの高校に編入する奏を待ち受けるものは?
薬師は語る、その・・・
香野ジャスミン
BL
微かに香る薬草の匂い、息が乱れ、体の奥が熱くなる。人は死が近づくとこのようになるのだと、頭のどこかで理解しそのまま、身体の力は抜け、もう、なにもできなくなっていました。
目を閉じ、かすかに聞こえる兄の声、母の声、
そして多くの民の怒号。
最後に映るものが美しいものであったなら、最後に聞こえるものが、心を動かす音ならば・・・
私の人生は幸せだったのかもしれません。※「ムーンライトノベルズ」で公開中
嫌われ悪役令息に転生したけど手遅れでした。
ゆゆり
BL
俺、成海 流唯 (なるみ るい)は今流行りの異世界転生をするも転生先の悪役令息はもう断罪された後。せめて断罪中とかじゃない⁉︎
騎士団長×悪役令息
処女作で作者が学生なこともあり、投稿頻度が乏しいです。誤字脱字など等がたくさんあると思いますが、あたたかいめで見てくださればなと思います!物語はそんなに長くする予定ではないです。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
とある隠密の受難
nionea
BL
普通に仕事してたら突然訳の解らない魔法で王子の前に引きずり出された隠密が、必死に自分の貞操を守ろうとするお話。
銀髪碧眼の美丈夫な絶倫王子 と 彼を観察するのが仕事の中肉中背平凡顔の隠密
果たして隠密は無事貞操を守れるのか。
頑張れ隠密。
負けるな隠密。
読者さんは解らないが作者はお前を応援しているぞ。たぶん。
※プロローグだけ隠密一人称ですが、本文は三人称です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる