周回(ループ)令息は断罪お断り致します‼︎

蒼葉

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ループ、21

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 本日、国王とのお茶会です。
 向かい合う間にあるテーブルにはケーキスタンドと、国王が選んだらしい紅茶。
 サッパリとした味わいの中に少しの甘さ。好みかも。

「学園に早く行ける様に手を打っている最中だ。テストも後日受けられる様学園長に言ってある」

 そう。休学期間に進級の為のクラス分けテストがあったのだ。
 これを受けないと、まず進級出来ない。
 どうしようかと悩んでる中、国王の助け舟が出された。

「有難う御座います。どうしようかと思っている所でした」

「そうか。王家ウチから派遣した家庭教師はどうだ?」

 そう。家庭教師の件は、聞きつけた国王が結構レベルの高い家庭教師を公爵家に派遣した。
 しかも、委任状付きで。

「学園と同じレベルで授業をして頂いております。これで、クラスメイトに置いていかれないで済みます」

「では、テストも問題なくクリア出来るな」

「いえ、結果次第です」

 過去に受けたからと言って、油断して赤点真っしぐらになったら目も当てられない。
 家庭教師に習った場所は、その日のうちに復習する様にしている。

「人に教えるのが上手い者を選んでおいた。よく学ぶといい」

「はい。有難う御座います」

 国王が言う通り、教え上手でスルスル頭の中に入り込んでくる。
 過去まで習って来た勉強とは何だったのか。
 けど、国王の言う通りもしかしたらテストで高成績になるかも・・・と、淡い期待をしてしまった。




 小一時間経った時。王城の家令がそっと現れて国王に耳打ちをする。
 少し眉間に皺を寄せた表情のまま、言葉を発した。

「書類に不備が出たらしい。少し席を外すが・・・まだ茶に付き合ってくれるだろう?」

 帰るな、と言う事ですね。はいはい。

「お待ちしております。早く仕事に向かって差し上げてください」

 私の返事に微笑んだ国王は家令を連れて城へと戻って行った。
 一人残された私は周りの花壇へと目線を向ける。
 季節ごとに植え替えるのか、綺麗な花が咲き乱れていた。

「花を見てもいいですか?」

 近くに居た使用人に確認を取ると良いとの答え。

 見るくらいなら咎められないだろうし、テーブルの近くだ。
 居場所を知らせておけば問題ない。

「じゃあ・・・」

「オルガスト様」

 使用人に呼ばれ、何事か振り返るとそっと封筒を差し出して来た。
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