周回(ループ)令息は断罪お断り致します‼︎

蒼葉

文字の大きさ
上 下
21 / 47

ループ、20

しおりを挟む
 本日より休学。
 予定になかったので、家庭教師を呼ぼうにも急に決まらない。
 取り敢えず、決まるまでは鍛錬しよう。そうしよう。

「今日から宜しくお願いします」

 キールに教えを請うために礼をする。

「まぁ・・・状況が状況ですし。くれぐれも怪我のない様にお願いします」

「防衛の仕方は熟練まで上げたいかな?」

「熟練なんて、ないです」

「あれぇ?」

「リオン様・・・」

 訓練場には面白半分で入ってはいけない。怪我するからね。
 咎める目つきで私を見るキールに苦笑いをする。

「御免なさい。真面目にします」

「ホント、冗談抜きでお願いしますね。擦り傷一つ付いただけでもお叱りを受けそうなのに・・・」

「父様には私がちゃんと納得してもらうから安心してよ」

「わかりました。では、おさらいとして走り込みしましょうか」

「そこから⁉︎」

「基本ですからね。これは大事です。さぁ、行きますよ」

 渋る私の手を取り、駆け足を始めたキールに促されて走り出した。



 え?訓練場走るんじゃなかったの?
 何で屋敷の周り走ったのかな?

「き、キール?」

 ハアハアと肩で息を吐く私の横では、平然と立ってこちらを見ていたキール。
 鍛え方の差ですか?

「鍛え方の差です」

「思考を、読まないで、貰えるか、な・・・」

 フゥフゥ吐く息が治らない。
 騎士って本当に体力あるんだなぁと感心する。

「リオン様。これくらいでへばっていては逃げ切れませんよ?」

 やっと整い始めた息を一度大きく吸って吐く。

「逃げ切る前提なんだね」

「防衛はです」

「へぇ」

 聞いた事ないな。自論かな?

「まぁいいや。次はどうするの?」

「少し休憩を取ったのち、軽く素振りしましょう」

「因みに、その素振りは何回やるのかな?」

「500を3セット」

「ん⁉︎き、休憩挟んでいいんだよね?」

「仕方ない。再開初日なので、休憩入れましょう」

「・・・有難う御座います」

 ガクリと項垂れて、熟練者を目指すのは止めておこうと思った。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

君と秘密の部屋

325号室の住人
BL
☆全3話 完結致しました。 「いつから知っていたの?」 今、廊下の突き当りにある第3書庫準備室で僕を壁ドンしてる1歳年上の先輩は、乙女ゲームの攻略対象者の1人だ。 対して僕はただのモブ。 この世界があのゲームの舞台であると知ってしまった僕は、この第3書庫準備室の片隅でこっそりと2次創作のBLを書いていた。 それが、この目の前の人に、主人公のモデルが彼であるとバレてしまったのだ。 筆頭攻略対象者第2王子✕モブヲタ腐男子

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

その瞳の先

sherry
BL
「お前だから守ってきたけど、もういらないね」 転校生が来てからすべてが変わる 影日向で支えてきた親衛隊長の物語 初投稿です。 お手柔らかに(笑)

【旧作】美貌の冒険者は、憧れの騎士の側にいたい

市川パナ
BL
優美な憧れの騎士のようになりたい。けれどいつも魔法が暴走してしまう。 魔法を制御する銀のペンダントを着けてもらったけれど、それでもコントロールできない。 そんな日々の中、勇者と名乗る少年が現れて――。 不器用な美貌の冒険者と、麗しい騎士から始まるお話。 旧タイトル「銀色ペンダントを離さない」です。 第3話から急展開していきます。

悪役令嬢は修道院を目指しますーなのに、過剰な溺愛が止まりません

藤原遊
恋愛
『運命をやり直す悪役令嬢は、やがて愛されすぎる』 「君がどんな道を選ぼうとも、俺は君を信じ続ける。」 処刑された悪役令嬢――それがリリアナ・ヴァレンシュタインの最期だった。 しかし、神の気まぐれで人生をやり直すチャンスを得た彼女は、自らの罪を悔い、穏やかに生きる道を選ぶ。修道女として婚約を解消する未来を望んだはずが、彼女の変化を見た周囲は「何が彼女をそこまで追い詰めたのか」と深く誤解し、過保護と溺愛を隠さなくなっていく。 「俺が守る。君が守りたいものすべてを、俺も守る。」 そんな中、婚約者のルシアン殿下もまた彼女を見守り続ける。冷静沈着な王太子だった彼は、いつしか彼女のために剣を振るい、共に未来を築きたいと願うようになっていた。 やがてリリアナは、王国を揺るがす陰謀に巻き込まれながらも、それを乗り越える力を得る。そして最後に殿下から告げられた言葉――。 「リリアナ、俺と結婚してくれ。」 「わたくしでよろしければ、喜んでお受けします。」 繰り返される困難を経て、彼女が辿り着いたのは溺愛たっぷりのハッピーエンドだった。

表情筋が死んでいる

白鳩 唯斗
BL
無表情な主人公

処理中です...