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ループ、15
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王子達が居ないだけで、平和だ。
学園の休憩スペースには、それぞれに子息達が楽しくお喋りをしている。
専ら、恋愛に関して。
よくネタが尽きないなぁ。
あのお茶会で、第2王子に見込みがないと思ったのだろう。
第1王子も婚約に興味がないのは周知の事実。
だからなのか、通り過ぎる時聞こえて来たのは隣国の王太子の話。
彼も未だに婚約者が居ないらしく、他国に公務で赴く時、婚約者候補も探しているのだとか。
「王族って大変だねぇ」
他人事の様に呟く。
噂話は少々惹かれるが、混ざる気はない。
とばっちりは御免だから。
呼び止められる前に通り過ぎるのがいいと、少し速度を上げて通り過ぎた。
「ねぇ」
授業が終わり、帰り支度を手早く済まし馬車の乗り場へと急ぐ道々で嫌な声が聞こえた。
そのまま素通りすると、今度は腕を掴まれる。
「呼んでるのに無視?」
無理矢理振り向かされると、案の定ユーリがそこに居た。
「呼ばれた覚えはないよ」
思ったより強い力で掴まれているらしく手が振り解けない。
「離して貰えるかな」
「話があるんだけど」
「聞こえなかった?離せと言ったんだけど?」
「僕は話があるんだけど?」
「知らないよ、そんなの。いいから離して」
「分からないかなぁ。僕が、話があるって、言って・・・」
普段の可愛らしさとは正反対の、醜悪な顔をこちらに向けている。
だいたい、彼は何故ここに居るのか。
男爵家の彼は専用の馬車を持たない。
ここは貴族専用の馬車乗り場だから、来る必要はない。
しかも、お茶会の所為で彼も自宅謹慎を言い渡されているはず。
学園にいる意味とは・・・。
身の危険を感じ、距離を取ろうとした瞬間・・・誰かがユーリから引き離してくれると同時に背後に隠してくれた。
「リチャード様‼︎」
え?第1王子?
ユーリの叫び声で庇ってくれる人物を見上げると、本当に第1王子本人だった。
「何をしている?君は例の男爵家の者だろう?国王より自宅謹慎を命じられているはずだが?」
「あ、えと・・・。お友達のリオン様に会いに・・・」
「友達?いつから?先日の茶会では、そんな素振りはなかったが?」
「誤解です‼︎本当にお友達で・・・」
「分かりやすい偽りは結構。誰か、彼を男爵家に送り届けろ」
王子の護衛の一人がすかさずユーリの腕を掴み、無理矢理この場所から連れ出す様に歩き出し、それに合わせられなかった彼は引き摺られてそのまま行ってしまった。
学園の休憩スペースには、それぞれに子息達が楽しくお喋りをしている。
専ら、恋愛に関して。
よくネタが尽きないなぁ。
あのお茶会で、第2王子に見込みがないと思ったのだろう。
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だからなのか、通り過ぎる時聞こえて来たのは隣国の王太子の話。
彼も未だに婚約者が居ないらしく、他国に公務で赴く時、婚約者候補も探しているのだとか。
「王族って大変だねぇ」
他人事の様に呟く。
噂話は少々惹かれるが、混ざる気はない。
とばっちりは御免だから。
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「ねぇ」
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そのまま素通りすると、今度は腕を掴まれる。
「呼んでるのに無視?」
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思ったより強い力で掴まれているらしく手が振り解けない。
「離して貰えるかな」
「話があるんだけど」
「聞こえなかった?離せと言ったんだけど?」
「僕は話があるんだけど?」
「知らないよ、そんなの。いいから離して」
「分からないかなぁ。僕が、話があるって、言って・・・」
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だいたい、彼は何故ここに居るのか。
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