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ループ、12

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 国王の後ろには父様が。

「着替えは終わったか?」

「えっ⁉︎あ、はい。申し訳御座いません」

 何故こっちに現れたのか分からない国王に慌てた。
 入室を促すと、部屋へ入るなりジッと見つめられる。

「似合っている」

「・・・っ。あ、有難う御座います」

 何故か国王に言われるとくすぐったい感じがする。

 私の容姿は白に近い銀色の髪。
 これは父様譲り。
 それと、アメジストの瞳。
 これは母様譲り。

 今日は目立たないつもりでダークに近いグレー色の礼服に、装飾品は最低限に抑えていた。
 けど、城で用意されたのは落ち着いたブルー色の礼服。
 レースと刺繍が所々に使われ、とても上品。
 装飾品も、アメジストの髪飾りにサファイアのタイピン。

 父様の好み指示だな。
 マリウスが綺麗に髪を整えて髪飾りを飾ってくれると、国王が満足げに微笑んだ。

「私の息子達は着飾り足りない。だが、リオンは着飾り甲斐がある。もう少し装飾品を足せば更に美しくなるな」

「陛下。リオンは私の息子です。絶対にあげませんよ」

「ケチだな。可愛くもなくむさ苦しい息子より、可愛く綺麗な息子の方が断然いいではないか」

「可愛く、綺麗なのは当然です。ですから」

 母様の息子でもありますよ、父様。
 それ言っちゃうと母様激怒ですよ~。

「目の保養と心の休息の為に登城する訳には・・・」

「息子を陛下のお手付き扱いになさるので?」

執務の休憩ほんの少しの時間だけでも・・・」

国王陛下カイル・・・」

 底冷えしそうな声で父様が国王の名を呼ぶ。
 元々二人は幼馴染だそうで、国王即位迄は名前で呼び合っていたのだとか。

「駄目か・・・」

 肩を落として、物凄く残念がる。

「父様・・・」

「リオン。甘い顔をしてはいけないよ」

「着替えを用意して頂いたのと、客室をお借りした恩はあります」

自分の息子王子の不始末の責任を取るのは当然だと思うけれど?」

「父様」

「分かった、分かった。陛下、息子に感謝して下さい」

「有難う、リオン」

 ニコニコと極上の笑顔で私に礼を述べる国王。
 いやいや、簡単に頭下げ過ぎでしょう。

「息子の犠牲で陛下の執務力が上がる事を期待しております」

「わかっている。リオン、知らせは宰相フレンに直接知らせる様にする」

 若造の私との息抜きで楽しめるのだろうかと不安ではあるが、国王の望みだ、聞くしかない。

「楽しみにしております」

 そう笑顔で答えておいた。



 国王に退城の挨拶をし、まだ仕事の残る父様と別れてやっと帰路についた。
 馬車の中で今日の事を振り返る。

(お茶会は、毎回催されていた。これは間違いない。でも、今まで一度も国王が会場に現れるなんて事無かったよね・・・。少しループから外れてきてる?)

 そうなら嬉しい。
 
 前回までは、顔合わせが済んだ後、王弟の指示頼みで王子の隣で侍らされていた。
 まるで、もう婚約者だぞと言わんばかりに。
 でも、今回は回避できた。
 友達ですらない。
 いい方向に向かっているのではないだろうか。

 いや、油断は禁物だ。

 反動で良くない事が起きる可能性もある。
 暫くはこういったイベントは無いはずだから、学園での事に注意しといた方がいい。
 王子とユーリ馬鹿二人が揃うし。

「王子は謹慎中に学園に来る事出来るんだろうか?」

「無理なのでは?学園に来られなくなっても、王家にはお抱えの家庭教師が用意されているでしょうし」

「あ、そうだね。じゃあ、王子に会う事は暫くないか」

 ちょっと安心。

「それより、リオン様。御身体は大丈夫ですか?」

「ん?大丈夫だよ?寒気もないし」

「少しでも急変したら、おっしゃってください」

「はあい」

 ここは素直に返事をしておこう。
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