自称病弱の姉に婚約者を奪われたけど、もう気にしない

蒼葉

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第3章

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 今後の方針が決まりました。
 危険を承知でマット様を帝国に秘密裏に派遣なさるとの事です。
 これはリディア皇子の案です。
 勿論、護衛も兼ねる王家の影も数名付けるとの事ですが、それでも足りないくらい危険です。

 行かれる条件として、護衛術と防御術と結界術は必須だと魔術師長様に進言されたとかで特訓中なのだそうです。
 頑張って下さい。

 私はと言うと、殿下と共にリディア皇子と学園内の『魅了魔術を掛けられた人』を探し出し解呪後の経過と掛かっていた間の出来事の聞き取りを行いました。

 大抵の方々はあまり記憶に残っておられず、手がかり無しで残念な結果でした。
 まぁ、後遺症が無かったのは幸いです。

「帝国程酷い使い方をしていなかったので、そこは安心しました」

 心からホッとした表情のリディア皇子。
 恐らく、結果が出るまで過去の出来事がずっと引っかかっておられたのでしょう。

「ターシャと娘のターミアの二人が実行犯だったからな・・・多人数を相手に出来なかったのだろう」

 パーティーや夜会も、頻繁に招待されるわけでもありませんしね。

「そのお二人は、どういった方々なのですか?」

 リディア皇子のお言葉に私が固まっていると、殿下がそっと肩を抱いて摩ってくださいました。

「リリア・・・」

「大丈夫です。ありがとうございます、殿下。その質問には私がお答えいたします」

「いや・・・言いづらいなら答えなくて構わないのですよ?」

「いえ。解決の為なら、知っておいて貰いたいのです。リディア皇子でしたら、粗方ご存知かと思いますが・・・」

 公爵家にいた当初の二人の話は、もう終わった事なのにまだ心に細い針で突き刺す様に痛みます。
 ですが、また公爵家ウチの様なご家庭を増やすわけにもいかず、全て話しました。
 お父様とターシャの出会いから始まり、公爵夫人として嫁入りし、その際にターミアが連れられて来た事。
 婚約者ウィリアムがターミアに心変わりした事など、色々。
 今にして思えば、おかしな事だらけだったのに、何故疑問に思わなかったのか。

「お話を聞くと、リリアローズ嬢にも多少魅了魔術の影響があったのでは無いかと思います」

「私に?」

「えぇ。でなければ、婚約者が他の令嬢を優先する事は基本許されません。不貞を疑われ、婚約破棄に発展すれば両家間の亀裂や世間体の問題も出て来ます。愛する人が現れたなら、話し合いで婚約を白紙にするなり方法はあります。それを容認している時点でおかしいのですよ」

「婚約者の為に身を引く方もおられると聞きます」

「それは余程婚約者の幸せを願っている方の行動ではないでしょうか?大抵は怒り狂って婚約破棄です」

 怒り狂って婚約破棄・・・経験がおありなのでしょうか?リディア皇子の目が剣呑な光を宿してます。

「経験からくる話かな?」

「で、殿下⁉︎」

「はは。いいのですよ、リリアローズ嬢。その通りです、フレン王子。私も魅了魔法の被害者です」

 突然のリディア皇子の告白に殿下と二人で吃驚してしまいました。
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