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第3章
間話 非業の魔女 ①
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「何ですって⁉︎」
目の前には私の大切な娘と悪役が似合いそうな貴族。
その貴族は娘を人質に、魔女が持つ魅了魔法で皇帝を骨抜きにしろと命じて来た。
魔女達にもルールというものが存在する。
強い力は諍いを呼び起こし、大地を穢す。
だから、国を持たず、人間とは関わりを持たずに慎ましやかにやって来た。
なのに・・・。
「母様・・・ごめんなさい」
「・・・いいのよ。大方、コイツが卑怯な手を使ってアンタを捕らえたんでしょ」
「人聞き悪いなぁ。ちょっと、人助けを求めただけじゃないか」
「人の娘にナイフをチラつかせておきながら、何をぬかして・・・」
「いいのか?その可愛い娘が傷付いても?顔に筋一本跡があるだけで・・・行き遅れか貰い手も無くなるな?試すか?」
クツクツ笑う男の声が癪に触る。
「お前が娘に手を掛ける前に燃やし尽くしてやる事くらい、朝飯前よ?」
「なら、もっとくっついておかないとな~」
肩を抱き寄せていた手が腕に変わり、拘束するように娘の体を抱き締める。
「さぁ、どうする?」
「いやぁ‼︎」
ベロリと娘の頬を舐め始める貴族を今すぐにでもブチ殺してやりたい。
「若い女は結構好まれるんだよな~。特に、変態嗜好者に♪」
「やめなさい‼︎変態‼︎」
「え~酷いなぁ。こぉんなに丁寧に扱ってあげてるのにさぁ。で、どうする?」
ギラリとこちらを見る目つきが言葉に反して危険極まりない。
夫を病気で亡くし身を寄せ合って生きて来た愛娘を、どうして見殺しにできようか。
「・・・絶対、殺しはやらないわよ」
「構わないよ。元々殺しの依頼じゃ無いからね。で?どうやる?」
「その前に、娘を返しなさい」
「い・や♪君らが逃げたら終わりじゃん?人質として、連れて行くよ?」
さも当然のように吐き出す言葉に堪忍袋の緒が切れそうになるも、娘を死に向かわせるわけにもいかない。
全てに諦め、魔女は男の言いなりになるしかなかった。
魔女がまずやらされたのは、皇家主催を主とした高位貴族のパーティーや夜会に参加だった。
人間と関わってこなかった魔女にとって苦痛のなにものでもなかったが、人質がいる以上文句は言えない。
薄っぺらい笑顔を貼り付け、貴族の女共の自慢や騙し合いの会話に何の意味があるのか。
内心舌打ちをし、貴婦人の如く会話に参加した。
魔女達は、関わりがなくても国々の情報は持っていた。
もしもの時、何も知らなかったでは後悔する事になるからだ。
婦人達が流行り廃りの会話に花が咲く横で、違うグループの婦人達に流行の予言じみた内容を口にすると、初めは疑う彼女らも現実になれば魔女の話に耳を傾け、何回目かパーティーで魔女を中心に派閥が出来上がるようになっていた。
「よくやっていな」
久々に貴族に呼び出された魔女は不機嫌を隠しもせず、話を早々に促す。
「何の用?言われた通りにしているのだから、呼び出すのはやめてくれる?」
「まぁ、そんな事言うなって。久々の再会だろ?」
そう言って振り向いた男の後ろから愛娘がそろりと出て来た。
「母様‼︎」
「大丈夫?酷い事されてない?」
「大丈夫、部屋に閉じ込められている以外は何もされてない」
「よくないけど、よかった。無体な事されたら急所蹴りな」
「フフ。わかった」
「さて、不穏な会話は終わりだよ」
男が指を鳴らすと静かに執事らしき男が現れ、娘を連れて部屋から出て行った。
「報告を聞こうか?」
憎たらしい男の顔面を殴りたいのを我慢して、取り敢えず婦人達の中に潜り込む事に成功したと告げる所から始めた。
目の前には私の大切な娘と悪役が似合いそうな貴族。
その貴族は娘を人質に、魔女が持つ魅了魔法で皇帝を骨抜きにしろと命じて来た。
魔女達にもルールというものが存在する。
強い力は諍いを呼び起こし、大地を穢す。
だから、国を持たず、人間とは関わりを持たずに慎ましやかにやって来た。
なのに・・・。
「母様・・・ごめんなさい」
「・・・いいのよ。大方、コイツが卑怯な手を使ってアンタを捕らえたんでしょ」
「人聞き悪いなぁ。ちょっと、人助けを求めただけじゃないか」
「人の娘にナイフをチラつかせておきながら、何をぬかして・・・」
「いいのか?その可愛い娘が傷付いても?顔に筋一本跡があるだけで・・・行き遅れか貰い手も無くなるな?試すか?」
クツクツ笑う男の声が癪に触る。
「お前が娘に手を掛ける前に燃やし尽くしてやる事くらい、朝飯前よ?」
「なら、もっとくっついておかないとな~」
肩を抱き寄せていた手が腕に変わり、拘束するように娘の体を抱き締める。
「さぁ、どうする?」
「いやぁ‼︎」
ベロリと娘の頬を舐め始める貴族を今すぐにでもブチ殺してやりたい。
「若い女は結構好まれるんだよな~。特に、変態嗜好者に♪」
「やめなさい‼︎変態‼︎」
「え~酷いなぁ。こぉんなに丁寧に扱ってあげてるのにさぁ。で、どうする?」
ギラリとこちらを見る目つきが言葉に反して危険極まりない。
夫を病気で亡くし身を寄せ合って生きて来た愛娘を、どうして見殺しにできようか。
「・・・絶対、殺しはやらないわよ」
「構わないよ。元々殺しの依頼じゃ無いからね。で?どうやる?」
「その前に、娘を返しなさい」
「い・や♪君らが逃げたら終わりじゃん?人質として、連れて行くよ?」
さも当然のように吐き出す言葉に堪忍袋の緒が切れそうになるも、娘を死に向かわせるわけにもいかない。
全てに諦め、魔女は男の言いなりになるしかなかった。
魔女がまずやらされたのは、皇家主催を主とした高位貴族のパーティーや夜会に参加だった。
人間と関わってこなかった魔女にとって苦痛のなにものでもなかったが、人質がいる以上文句は言えない。
薄っぺらい笑顔を貼り付け、貴族の女共の自慢や騙し合いの会話に何の意味があるのか。
内心舌打ちをし、貴婦人の如く会話に参加した。
魔女達は、関わりがなくても国々の情報は持っていた。
もしもの時、何も知らなかったでは後悔する事になるからだ。
婦人達が流行り廃りの会話に花が咲く横で、違うグループの婦人達に流行の予言じみた内容を口にすると、初めは疑う彼女らも現実になれば魔女の話に耳を傾け、何回目かパーティーで魔女を中心に派閥が出来上がるようになっていた。
「よくやっていな」
久々に貴族に呼び出された魔女は不機嫌を隠しもせず、話を早々に促す。
「何の用?言われた通りにしているのだから、呼び出すのはやめてくれる?」
「まぁ、そんな事言うなって。久々の再会だろ?」
そう言って振り向いた男の後ろから愛娘がそろりと出て来た。
「母様‼︎」
「大丈夫?酷い事されてない?」
「大丈夫、部屋に閉じ込められている以外は何もされてない」
「よくないけど、よかった。無体な事されたら急所蹴りな」
「フフ。わかった」
「さて、不穏な会話は終わりだよ」
男が指を鳴らすと静かに執事らしき男が現れ、娘を連れて部屋から出て行った。
「報告を聞こうか?」
憎たらしい男の顔面を殴りたいのを我慢して、取り敢えず婦人達の中に潜り込む事に成功したと告げる所から始めた。
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