自称病弱の姉に婚約者を奪われたけど、もう気にしない

蒼葉

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第2章

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 殿下のお話は・・・ある意味想定内だそうです。
 彼女達は、帝国に逃げ込んだと情報が入ってきたのです。

「これ以上は、無理か」

「その様ですね」

「父上からは、王国での調査の打ち切りを命じられた」

「・・・そうですか。とはいえ、妻が申し訳ございません」

「いや。王国は無理だけど・・・帝国の調査は止められていないから、そのままだけどね?」

「え?で、殿下・・・それは・・・」

「あれ?これで終わるとでも思った?」

「い、いや・・・しかし・・・」

「ここまで我が国を引っ掻き回してくれたんだ。ね」

 黒い笑みが見えます・・・殿下。

「あんな物が流通しないようにしないと、その内世界がとんでもない事になると思わない?」

 魅了魔術一つで、今回のような貴族を狙って行われた罪。
 他国にて横行すれば、戦争だって引き起こされる恐れがあります。
 今はまだ、地位狙いだけで済んでいますが・・・考えるだけで恐ろしい。

「と言うわけで、残りのの取調べだけが残っているんだ」

 けど・・・となぜかいきなり殿下のテンションが下がりました。

の性格・・・なんとかならないのか?公爵」

 アレ、とはターミアですね。
 きっと、公爵家でチヤホヤされていた名残のようなものなので、取調べ官に対して不遜な態度なのでしょう。

「話は通じない。使用人や下女が現れたら命令する。まだ公爵令嬢気取りなのかな?」

 お父様から廃嫡された時点で、彼女は平民としての身分しかないはずです。
 それを自覚していないのでしょうね。

「厳しくしていただいても問題ないかと。酷いと言われるかもしれませんが、私の実子ではありません。実の親が見放している時点で、アレを庇う必要はないのです」

 庇うどころか、ターミアを置いて逃げた時点で切り捨てたのでしょう。
 なにをどう責め立てられようが、彼女自身で切り抜けるしかありません。

「あまり、内情に詳しくはなさそうだけど・・・もう少し厳しくしてみるか。せめて、奴等が何処へ逃げ込んだかくらいは知っていて欲しいところだけど」

 そうなれば、後は帝国側への身柄引渡し交渉だけで済むからと呟かれました。
 それだけで済むのでしょうか?
 しらを切るなら、帝国側も知らぬ存ぜぬで彼等を最も簡単に引き渡してくれるかもしれませんが。

 何にせよ、彼等の行方がわからない事には解決できません。
 引き続き調査をなさるそうなので、その結果次第ということになりました。

 はぁ・・・頭が痛い。

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