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第2章

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 夜会当日。
 殿は、パートナーを務める事でした。
 朝早くからお迎えが来て拉致られ、あれよあれよと準備を進める王妃様付きの侍女達。
 ドレス、真新しいですね。サイズもピッタリ。
 誰が誰の為に用意したのか、怖くて聞けません。
 首周りや耳を飾る装飾品は・・・殿下の瞳のお色でした。
 やり過ぎではないでしょうか?

「ドレスも装飾品も私がデザインして作らせたから、リリアローズにとても似合っている」

 まさかの殿下プロデュース・・・。

「念のために聞くけど、体術の経験は?」

「護身術を少々、マリオに習いました」

「マリオ・・・。仲、良すぎないか?」

「そうでしょうか?マリオは従者兼執事となる予定らしいので、常に側におりますが・・・」

「そう。まぁ、夜会コレが終わったらどうとでもなるか」

「殿下?」

「なんでもない。時間までまだあるから、父上達の所に行こうか」

 そう言って手を差し出されます。
 重ねた手のひらが触れると柔らかく握られ、強くない力で私を準備のために使わせていただいた客間から連れ出されました。





「まぁ‼︎まぁまぁまぁ‼︎可愛いわ‼︎リリア‼︎」

 只今、熱烈歓迎を王妃様から受けております。
 ダッシュで突撃され、ギュウギュウ全身で締め上げられております。
 い、息が尽きかけそうです。

「母上、リリアローズを離して下さい。死相が出てます」

「まぁ‼︎御免なさい、リリア。余りにも可愛過ぎて・・・抱き締め足りないわ」

「これ以上は遠慮して下さい。侍女長、母上せいで少し着崩れたから、直してあげて」

「はい、殿下。さぁ、リリアローズ様、少しあちらに行きましょう」

 侍女長に部屋の隅にある衝立へと連れられてドレスの着崩れを直していただきました。

「殿下の助けで命拾いなさいましたね」

「えぇ。本気で締め上げられて昇天しそうでした」

「力の限り・・・でしたね。お体は大丈夫ですか?痛い所などは?」

「大丈夫です。丈夫だけが取り柄なので」

 怪我も病気も何一つ罹ったことはありません、健康体です。

「今夜は、ご覚悟をなさって下さいね」

「え?覚悟とは?」

 ウフフと意味ありげな笑顔で侍女長にサムズアップされました。
 ターシャ達の目論見を解決するための偽りのパートナー役に、何の覚悟がいるのでしょう?
 頭に『?』を浮かべたまま、時間まで王家の方々と過ごす事になりました。





 さぁ。夜会の時間がやってきました。

 魅了の術でターシャはお父様を嵌め、逃げ出した先で今度はターミアが貴族子息を落とし始めた。
 もう、公爵家だけで済まされる件ではなくなってしまいました。
 二人は自覚しているのでしょうか?
 それらは既に、として取り扱われている事に。
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