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第2章
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帝国は、はるか昔から我が国の領土を欲していると聞き及んでいます。
広大で資源あふれるこの地は、国民全員を豊かにしてきました。
王家の方々も、勤勉であり、頂点に立つ歴代の国王陛下は全員賢王と呼ばれる程です。
打って変わって、帝国の皇帝は私利私欲に走り、国民は困窮していると聞き及んでいます。
亡命する方々も年々増えているとか。
「本格的に我が国に手を伸ばしてきたか」
陛下のお言葉に皆が頷きます。
「帝国から呪術玉がどういった経緯で我が国に流れて着いたかの調査。それと並行して件の子息がいつそれを手に入れたか。調べねばならん」
「父上、どれくらいの貴族が呪術玉の餌食になっているかも調べなければ」
「そうだな。フレン、そちらはお前に任せる」
「はい」
「公爵は子息について調べよ。帝国の方は潜入している影に調べさせよう」
テキパキと割り振り、迅速に対応するすお姿はまさしく賢王です。
「国民には被害が出ておらんのだな?」
「我が公爵家では、使用人の何名かが掛かっておりましたが、来て頂いた魔術師殿のおかげで事なきを得ました。それを踏まえて申し上げますと、男爵家の者達も恐らく術に落ちているでしょう」
国民を大切になさっている陛下と殿下のお顔が曇ります。
「マーベルはフレンと共に貴族及び国民の調査だ」
「御意」
数日後、途中経過の報告を上げる為集まるよう厳命され、今日はお開きとなりました。
調査に参加しない私は日常生活に戻りました。
陛下からの命はありませんが、お父様から学園でも異変が起きたら知らせる様にお願いされました。
学園で魅了の症状が現れたのなら、それは十中八九姉の仕業・・・となるでしょう。
姉はおじ専でないらしいので。
「お聞きになられました?」
学園の廊下を歩いていると、そんな声が聞こえてきました。
どうやら近くでご令嬢達が立ち話をしているようです。
「最近、スラット様が学園においでになられていないとか」
スラットと言えば、ウィリアムですね。
学園に来ていないとは・・・どうしたのでしょう?
「学園長直々に邸に様子を見に行かれた様ですわ」
「それで、どうだったのです?」
「お会いできなかったそうです」
「まぁ。どうなさったのでしょう・・・」
姉の件がなければ、ウィリアムは人に好かれる好青年でした。
勿論、婚約期間中もかなりのラブレターを貰っていました。
渡す方もどうかと思いますが、断らずに貰うウィリアムもどうかと呆れた記憶があります。
「ご両親も部屋からお出にならないスラット様をご心配なさっているとか」
出てこない?何故?
「あの。少し宜しいでしょうか?」
たまらず声を掛けると、ご令嬢達が私を見て唖然としておられました。
「あ、リリアローズ様・・・」
「いきなり申し訳ございません。今、ウィリアム様のお話をされておられましたよね」
「はい。あの・・・」
「お気遣いありがとうございます。もう婚約者ではないのでご安心下さい。ただ、幼馴染としてお聞きしたいのですが・・・彼は部屋から出て来ないのですか?出て来れないのではなく?」
「詳しくは分かりませんが、教員室に用があって行った時に学園長が他の先生方に仰っていたのを聞いてしまって・・・確かにそう仰っておられました」
「詳しいお話は学園長にお聞きしないと分かりませんね」
「はい。申し訳・・・」
「貴女の所為ではありませんので、そう畏まらないで下さい」
重ねて謝罪するご令嬢を気の毒に思い、すぐさまその場を辞する旨を伝えて学園長を探しに足を踏み出しました。
広大で資源あふれるこの地は、国民全員を豊かにしてきました。
王家の方々も、勤勉であり、頂点に立つ歴代の国王陛下は全員賢王と呼ばれる程です。
打って変わって、帝国の皇帝は私利私欲に走り、国民は困窮していると聞き及んでいます。
亡命する方々も年々増えているとか。
「本格的に我が国に手を伸ばしてきたか」
陛下のお言葉に皆が頷きます。
「帝国から呪術玉がどういった経緯で我が国に流れて着いたかの調査。それと並行して件の子息がいつそれを手に入れたか。調べねばならん」
「父上、どれくらいの貴族が呪術玉の餌食になっているかも調べなければ」
「そうだな。フレン、そちらはお前に任せる」
「はい」
「公爵は子息について調べよ。帝国の方は潜入している影に調べさせよう」
テキパキと割り振り、迅速に対応するすお姿はまさしく賢王です。
「国民には被害が出ておらんのだな?」
「我が公爵家では、使用人の何名かが掛かっておりましたが、来て頂いた魔術師殿のおかげで事なきを得ました。それを踏まえて申し上げますと、男爵家の者達も恐らく術に落ちているでしょう」
国民を大切になさっている陛下と殿下のお顔が曇ります。
「マーベルはフレンと共に貴族及び国民の調査だ」
「御意」
数日後、途中経過の報告を上げる為集まるよう厳命され、今日はお開きとなりました。
調査に参加しない私は日常生活に戻りました。
陛下からの命はありませんが、お父様から学園でも異変が起きたら知らせる様にお願いされました。
学園で魅了の症状が現れたのなら、それは十中八九姉の仕業・・・となるでしょう。
姉はおじ専でないらしいので。
「お聞きになられました?」
学園の廊下を歩いていると、そんな声が聞こえてきました。
どうやら近くでご令嬢達が立ち話をしているようです。
「最近、スラット様が学園においでになられていないとか」
スラットと言えば、ウィリアムですね。
学園に来ていないとは・・・どうしたのでしょう?
「学園長直々に邸に様子を見に行かれた様ですわ」
「それで、どうだったのです?」
「お会いできなかったそうです」
「まぁ。どうなさったのでしょう・・・」
姉の件がなければ、ウィリアムは人に好かれる好青年でした。
勿論、婚約期間中もかなりのラブレターを貰っていました。
渡す方もどうかと思いますが、断らずに貰うウィリアムもどうかと呆れた記憶があります。
「ご両親も部屋からお出にならないスラット様をご心配なさっているとか」
出てこない?何故?
「あの。少し宜しいでしょうか?」
たまらず声を掛けると、ご令嬢達が私を見て唖然としておられました。
「あ、リリアローズ様・・・」
「いきなり申し訳ございません。今、ウィリアム様のお話をされておられましたよね」
「はい。あの・・・」
「お気遣いありがとうございます。もう婚約者ではないのでご安心下さい。ただ、幼馴染としてお聞きしたいのですが・・・彼は部屋から出て来ないのですか?出て来れないのではなく?」
「詳しくは分かりませんが、教員室に用があって行った時に学園長が他の先生方に仰っていたのを聞いてしまって・・・確かにそう仰っておられました」
「詳しいお話は学園長にお聞きしないと分かりませんね」
「はい。申し訳・・・」
「貴女の所為ではありませんので、そう畏まらないで下さい」
重ねて謝罪するご令嬢を気の毒に思い、すぐさまその場を辞する旨を伝えて学園長を探しに足を踏み出しました。
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