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第2章
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私達が現れると、足音を聞いていたのか人物が顔を上げます。
食事は支給されてる筈なので、気疲れなのでしょうか、憔悴しきった顔をなさっておいででした。
「お前がターシャを診たという医者か?」
「私は・・・言われた通りに、診察記録に記入を、しただけで・・・こんな・・・こんな・・・」
「言われた通りと言ったな?誰に言われた?」
「知らない・・・私は何も知らないんだ・・・」
それ以降、お父様の言葉に反応を見せず、ずっと『私は知らない』と繰り返しておられます。
「本当に知らないのか?」
やり取りを黙って見ておられた殿下が疑問を投げかけます。
私でさえ、彼は事情説明を受けていると思います。
でなければ、いくら何でも公爵家当主の子であるという偽りの診察記録は出せません。
国に出生記録、保管されますからね。
もし、虚偽申告なら医師免許剥奪はおろか、ご家族も牢で過ごさねばなりません。
それだけ、お医者様は貴重で大変な地位のあるお仕事なのです。
詐欺まがいな事に肩入れすれば、待っているのは重い罪状、そして処罰。
それがわかっているから、彼は項垂れているのでしょう。
「洗いざらい白状すれば、罪が軽くなるかもしれないぞ?」
殿下の一言で、医師様はノロノロと顔を上げられ、少しだけ目に光を宿されました。
「それは、本当ですか?」
「話す内容にもよるが、口添えは約束してやろう」
少し思案した後、彼は了承して話し始めました。
医師様の話は殿下やお父様の懸念通り、最終目的は王族の誰かに義母または姉を嫁がせる事でした。
公爵家に二人が入れた事により、商会長の御子息は欲が出たのか、より位の上である王家に狙いを定めた様でした。
その為、言い方は悪いですが、姉は男性をたらし込む技を磨く為ウィリアムを狙ったのではないでしょうか。
イチコロでしたしね、彼。
今後の方針として、まずは王家の周辺に術に掛かっている方がおられるかを調べる事。
おられた場合は解呪を試みる。
そして、男爵家と商会長の御子息への監視。
人手が足りていないので、国王陛下へ人員を回していただくようにお願いするそうです。
「まさか、ここまで事が大きくなるとは・・・」
お父様が頭を抱えます。
この国だけでなく、全世界で『魅了』と名のつく術や物は禁忌なのです。
数百年前に一度、他国で魅了魔法を持っていた女性が今回の様に金持ちや貴族を狙って贅沢三昧の暮らしをなさっていたそうです。
その時に、王族にまで手を出す寸前で発覚して捕らえられたと聞きます。
魔法師や魔術師は希少な存在。
故に、その女性は魅了の力をご自身の魅力だと偽って隠していたそうです。
「取り敢えず、二人の人相や特徴は呪術にかかっていない貴族達に伝えてある。安易に近づかないとは思うが・・・」
保証はない、と殿下が呟かれます。
興味本位で近づく人は居ますからね。
「旦那様」
突然、部屋へのノックと同時にセバスチャンが扉を開けて顔を覗かせる。
「どうした?」
「それが、たった今王城から手紙が届きまして・・・」
「手紙?」
王城からと聞き、殿下が反応をみせられました。
「私が改めよう。公爵、いいか?」
「どうぞ」
セバスチャンから受け取った手紙を開けて、中身を引き出す。
さっと読まれた殿下は私達を見回して口を開いた。
「父上がお呼びだ」
食事は支給されてる筈なので、気疲れなのでしょうか、憔悴しきった顔をなさっておいででした。
「お前がターシャを診たという医者か?」
「私は・・・言われた通りに、診察記録に記入を、しただけで・・・こんな・・・こんな・・・」
「言われた通りと言ったな?誰に言われた?」
「知らない・・・私は何も知らないんだ・・・」
それ以降、お父様の言葉に反応を見せず、ずっと『私は知らない』と繰り返しておられます。
「本当に知らないのか?」
やり取りを黙って見ておられた殿下が疑問を投げかけます。
私でさえ、彼は事情説明を受けていると思います。
でなければ、いくら何でも公爵家当主の子であるという偽りの診察記録は出せません。
国に出生記録、保管されますからね。
もし、虚偽申告なら医師免許剥奪はおろか、ご家族も牢で過ごさねばなりません。
それだけ、お医者様は貴重で大変な地位のあるお仕事なのです。
詐欺まがいな事に肩入れすれば、待っているのは重い罪状、そして処罰。
それがわかっているから、彼は項垂れているのでしょう。
「洗いざらい白状すれば、罪が軽くなるかもしれないぞ?」
殿下の一言で、医師様はノロノロと顔を上げられ、少しだけ目に光を宿されました。
「それは、本当ですか?」
「話す内容にもよるが、口添えは約束してやろう」
少し思案した後、彼は了承して話し始めました。
医師様の話は殿下やお父様の懸念通り、最終目的は王族の誰かに義母または姉を嫁がせる事でした。
公爵家に二人が入れた事により、商会長の御子息は欲が出たのか、より位の上である王家に狙いを定めた様でした。
その為、言い方は悪いですが、姉は男性をたらし込む技を磨く為ウィリアムを狙ったのではないでしょうか。
イチコロでしたしね、彼。
今後の方針として、まずは王家の周辺に術に掛かっている方がおられるかを調べる事。
おられた場合は解呪を試みる。
そして、男爵家と商会長の御子息への監視。
人手が足りていないので、国王陛下へ人員を回していただくようにお願いするそうです。
「まさか、ここまで事が大きくなるとは・・・」
お父様が頭を抱えます。
この国だけでなく、全世界で『魅了』と名のつく術や物は禁忌なのです。
数百年前に一度、他国で魅了魔法を持っていた女性が今回の様に金持ちや貴族を狙って贅沢三昧の暮らしをなさっていたそうです。
その時に、王族にまで手を出す寸前で発覚して捕らえられたと聞きます。
魔法師や魔術師は希少な存在。
故に、その女性は魅了の力をご自身の魅力だと偽って隠していたそうです。
「取り敢えず、二人の人相や特徴は呪術にかかっていない貴族達に伝えてある。安易に近づかないとは思うが・・・」
保証はない、と殿下が呟かれます。
興味本位で近づく人は居ますからね。
「旦那様」
突然、部屋へのノックと同時にセバスチャンが扉を開けて顔を覗かせる。
「どうした?」
「それが、たった今王城から手紙が届きまして・・・」
「手紙?」
王城からと聞き、殿下が反応をみせられました。
「私が改めよう。公爵、いいか?」
「どうぞ」
セバスチャンから受け取った手紙を開けて、中身を引き出す。
さっと読まれた殿下は私達を見回して口を開いた。
「父上がお呼びだ」
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