12 / 54
第2章
1
しおりを挟む
義母と姉は、沙汰が出るまで拘束するとお父様
に知らされた。
私としては、姉にちゃんと教師をつけて、勉学や淑女教育を施して立派な後継になってもらった方が良い気がするするのですが・・・。
何にせよ、学園へ行く許可がおりました。
但し、護衛付きで。
セバスチャンの息子である執事見習いのマリオが側に付いてくれています。
護衛、必要ですか?
「マリオ」
「何でしょう?リリアローズ様」
「私の護衛などしなくて良いのですよ?」
「え?絶対に必要ですよね?」
「え?必要ですか?」
「はい。必要です。いつ、何時、ターシャ様の仲間がリリアローズ様を狙うか分かりませんから」
「お義母様の仲間とは?」
あー・・・そこからかぁ。とマリオが顔を覆って嘆きます。
義母が何やら悪い事をしたのは聞きました。
どうやら、先日の一件に繋がるのだとか。
まだまだ余罪が出るらしいので安全対策なのです。
だから私に護衛のマリオを付けられたのですが、公爵家を出る私を誰が何の目的で何かをするにはメリットがありません。
「リリアローズ様は公爵家を出ませんよ?」
マリオ、超能力者でしょうか?
「顔見れば分かります」
表情のコントロールに定評があるのですが。
「まだ本決まりではないですが、リリアローズ様付きの執事になる予定なので、主人の感情、体調、行動などの観察は常に気を付けています」
久々に、ポカンとマリオの顔を見てしまいました。
淑女として、はしたないです。
「家を出る私には・・・」
「リリアローズ様は、ずーっと公爵家の御令嬢です。もしかして、ご当主様が許可を出されるとお思いですか?」
「駄目と言われています・・・」
「ほら。だから護衛も執事も必要なものです。安心して護られてください」
「・・・はい」
皆は何故姉ではなく私を公爵家に留まらせようとすろのだろう。
腹違いとは言え、姉は姉。
当然、公爵家を継ぐのは姉で、いずれ婿を取る。
だから、私は何処かへ嫁ぐしかなかったのですが、先日の婚約破棄で傷物の行方は後妻か働き手として公爵家を出なければなりません。
それを申し上げているのですが・・・伝わりません。
「リリアローズ嬢」
ふむ、と伝える手段を模索している時、後ろから男性にしては涼やかな声が聞こえてきました。
最儀礼を取るマリオから推測するに、公爵家より上の位の方ですね。
だとしたら、お一人しか居られません。
「フレン王太子殿下。ごきげんよう」
学園なので軽くカーテシーを披露する。
「やっと登校できたんだね」
「ご心配おかけ致しました」
「体調を崩していないなら一安心だね、マリオ」
「はい」
「でね。母上がリリアローズ嬢を心配していて・・・申し訳ないのだけど、これを受け取ってもらえるかな?」
真っ白な生地に金の模様が描かれた美しい封筒を私に向かって殿下が差し出す。
「これは?」
「母上からの、お茶会の招待状」
一介の貴族令嬢に、ここまで気に掛けていただいているとは。
「どうだろう?」
「私としては、お受けしたいのですが・・・父に聞いてみないと分かりません」
「まぁ、そうだろうね・・・」
この言い回しは、殿下も先日の件をご存知なのでしょうか?
「受けてもらえたら母上も喜ぶ。勿論、私も参加するから気兼ねはいらないよ」
気遣い必須、来ました。
「では、今夜にでも父に聞いてお返事させていただきます」
「わかった。良い返事を期待してるよ」
ヒラリと手を振り、元来た道を帰って行かれる姿を見送り、もう一度招待状を見やった。
に知らされた。
私としては、姉にちゃんと教師をつけて、勉学や淑女教育を施して立派な後継になってもらった方が良い気がするするのですが・・・。
何にせよ、学園へ行く許可がおりました。
但し、護衛付きで。
セバスチャンの息子である執事見習いのマリオが側に付いてくれています。
護衛、必要ですか?
「マリオ」
「何でしょう?リリアローズ様」
「私の護衛などしなくて良いのですよ?」
「え?絶対に必要ですよね?」
「え?必要ですか?」
「はい。必要です。いつ、何時、ターシャ様の仲間がリリアローズ様を狙うか分かりませんから」
「お義母様の仲間とは?」
あー・・・そこからかぁ。とマリオが顔を覆って嘆きます。
義母が何やら悪い事をしたのは聞きました。
どうやら、先日の一件に繋がるのだとか。
まだまだ余罪が出るらしいので安全対策なのです。
だから私に護衛のマリオを付けられたのですが、公爵家を出る私を誰が何の目的で何かをするにはメリットがありません。
「リリアローズ様は公爵家を出ませんよ?」
マリオ、超能力者でしょうか?
「顔見れば分かります」
表情のコントロールに定評があるのですが。
「まだ本決まりではないですが、リリアローズ様付きの執事になる予定なので、主人の感情、体調、行動などの観察は常に気を付けています」
久々に、ポカンとマリオの顔を見てしまいました。
淑女として、はしたないです。
「家を出る私には・・・」
「リリアローズ様は、ずーっと公爵家の御令嬢です。もしかして、ご当主様が許可を出されるとお思いですか?」
「駄目と言われています・・・」
「ほら。だから護衛も執事も必要なものです。安心して護られてください」
「・・・はい」
皆は何故姉ではなく私を公爵家に留まらせようとすろのだろう。
腹違いとは言え、姉は姉。
当然、公爵家を継ぐのは姉で、いずれ婿を取る。
だから、私は何処かへ嫁ぐしかなかったのですが、先日の婚約破棄で傷物の行方は後妻か働き手として公爵家を出なければなりません。
それを申し上げているのですが・・・伝わりません。
「リリアローズ嬢」
ふむ、と伝える手段を模索している時、後ろから男性にしては涼やかな声が聞こえてきました。
最儀礼を取るマリオから推測するに、公爵家より上の位の方ですね。
だとしたら、お一人しか居られません。
「フレン王太子殿下。ごきげんよう」
学園なので軽くカーテシーを披露する。
「やっと登校できたんだね」
「ご心配おかけ致しました」
「体調を崩していないなら一安心だね、マリオ」
「はい」
「でね。母上がリリアローズ嬢を心配していて・・・申し訳ないのだけど、これを受け取ってもらえるかな?」
真っ白な生地に金の模様が描かれた美しい封筒を私に向かって殿下が差し出す。
「これは?」
「母上からの、お茶会の招待状」
一介の貴族令嬢に、ここまで気に掛けていただいているとは。
「どうだろう?」
「私としては、お受けしたいのですが・・・父に聞いてみないと分かりません」
「まぁ、そうだろうね・・・」
この言い回しは、殿下も先日の件をご存知なのでしょうか?
「受けてもらえたら母上も喜ぶ。勿論、私も参加するから気兼ねはいらないよ」
気遣い必須、来ました。
「では、今夜にでも父に聞いてお返事させていただきます」
「わかった。良い返事を期待してるよ」
ヒラリと手を振り、元来た道を帰って行かれる姿を見送り、もう一度招待状を見やった。
10
お気に入りに追加
467
あなたにおすすめの小説
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
【本編完結】番って便利な言葉ね
朝山みどり
恋愛
番だと言われて異世界に召喚されたわたしは、番との永遠の愛に胸躍らせたが、番は迎えに来なかった。
召喚者が持つ能力もなく。番の家も冷たかった。
しかし、能力があることが分かり、わたしは一人で生きて行こうと思った・・・・
本編完結しましたが、ときおり番外編をあげます。
ぜひ読んで下さい。
「第17回恋愛小説大賞」 で奨励賞をいただきました。 ありがとうございます
短編から長編へ変更しました。
62話で完結しました。
王命を忘れた恋
水夏(すいか)
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる