自称病弱の姉に婚約者を奪われたけど、もう気にしない

蒼葉

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第1章

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「取り敢えず、ターミア様が本当に旦那様のお子様であるかという証明をしないといけません」 

「そうだな。これだけ関係者がいると怪しくなる。現に、ここからここまでは私と頻繁に会っていた友人達だ」

 お父様がリストの名前をなぞる。
 よく友人と会食などに行かれていたお父様と会っていたという事は、義母ターシャとも出会っていたことになる。
 ターゲットに、勿論されていただろう。
 しかし、格上のお父様が現れたことにより彼等を上手く誘導して、取り入れる様に動いたに違いない、とセバスチャンが言い放つ。

「調べた結果、旦那様の交友関係でここまでの方々がすでに籠絡されていたかと」

 トントンとお父様がなぞられた名前を指さす。

「奴らが会っていた頻度はわかるか?」

「一番多いのが・・・この方です」

 一人の名前が記されたそれは、とある男爵家の現当主。
 分け隔てのないお父様は男爵家だからと差別はなさらない。
 だから、お父様も友人として親しくしていたし、私も何度かお会いした。

「別邸にも度々訪れていたと、男爵家の使用人から証言も得ています」

「・・・仕事が早いな」

「リリアローズ様の為ですので」

「そ、そうか」

 侍女長の入れてくれた紅茶を飲みながら、口を挟まず黙って話を聞いていた。
 纏めると、義母は結婚詐欺紛いな事を繰り返していて、男爵様に辿り着いた。
 その男爵様を使ってご友人方を籠絡。
 で、その中の高位貴族のお父様の後妻におさまった。

「お義母様は公爵家を乗っ取りたかったのですか?」

「そうではないのでしょう。ご自分は公爵夫人、ターミア様は侯爵夫人。悠々自適の贅沢三昧・・・とでも思ったのでは?」

「それでいいのでは?私は家を出ますので、問題ないかと」

「駄目だと言っただろう?私の娘はリリアローズだけだ」

「ですが、お姉様がお父様の娘でないという証拠はまだないでしょう?」

「見つけてみせます」

 どこから出る自信なの?

「頑張ってください。あと、遅くなりましたが学園に行ってきます」

「学園の方へ、お休みの連絡をさせていただきました」

 いつの間に?

「そう。ありがとうございます。でしたら、着替えて参ります」

「そうしなさい。あぁ、後で服飾店にでも行こうか」 

 お父様が謎の提案をしてきました。

「何故です?何か問題でも?」

「大ありだ。リリアローズの服がない!」

「え?ありますよ?ワンピースですが」

「足りないだろう。数枚でどうする?」

「今までやってこれましたよ?」

「・・・」

 何故悲しそうなお顔をなさるのでしょう。
 数枚でも事足りていました。
 だから、大丈夫だと申し上げましたのに。

「父様の我儘だ。付き合っておくれ」

「・・・わかりした。では、用意をいたしますね」

「エントランスで待っているよ」

 パッと笑顔が戻り、お父様は軽やかな足取りで部屋を後にし、残った私は暫し首を傾げる状態が続いた。
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