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第1章
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自室の扉を開ける。
当然、誰も居ない。
私には専属の侍女が居ないから。
だから、自分の事は自分で、なのだ。
奥にあるクローゼットに向かうと、扉を開け数枚のワンピースの中の一着を取り、制服からそれに着替える。
軽くてふんわりとした綿のワンピース。
私はそれしか持ってない。
ドレスも装飾品も、何も無い。
ほぼ空のクローゼットを閉め、セバスチャンが花瓶を持って来てくれるのを待つ。
「プレゼントなんですって。久しぶりだから、嬉しいわ」
色褪せず、枯れることのない綺麗な花。
ずっと夢中になって見ていたら、ノックの音がしていた。
「あ、ごめんなさい。どうぞ」
「失礼致します。リリアローズ様、花瓶をお待ち致しました」
「ベッド脇のテーブルに置いて下さい」
「こちらでよろしいですか」
「えぇ・・・。えっと、セバスチャン?」
「なんでしょう?」
「花瓶、大きすぎないかしら?」
彼が持って来たのは普通の大きい花瓶。
二輪では、有り余る。
「いえ。これでよろしいのですよ」
そう言うのと同時に手を二度打つ。
それを合図に何人もの侍女や使用人達が部屋へと入って来た。
「な、なに?」
「「「「「リリアローズお嬢様、お誕生日おめでとうございます」」」」」
全員が一斉に差し出したのは、色々な造花の花一輪。
「これで、この花瓶が役に立ちますね」
微笑む家令。微笑む侍女や使用人達。
やっと、皆んなが祝ってくれているという事実を実感して来て涙が零れた。
「あ、りがとう、ございます・・・」
皆んなから渡された造花の花は抱え切れない程の量。
私が一度受け取ったそれを侍女長が綺麗に花瓶に生けてくれる。
色鮮やかになった花達は、殺風景な部屋に彩りを加えてくれた。
「フフ。部屋から出なくても、ここに花があるから癒されますね」
「お嬢様・・・」
「侍女長、綺麗に飾ってくださってありがとうございます」
「いえ。お嬢様、やはり誰か一人侍女をお付けになられた方が・・・」
「駄目よ。皆さん、お姉様のお世話で忙しいでしょう?私は自分の事は自分で出来ますから・・・」
気にしないで、と笑うと、皆が表情を暗くする。
「あ、え、ごめんなさい。あの、本当に・・・」
「では、せめて私にお世話をさせてくださいませ」
「侍女長。貴女もセバスチャンと同じくらい忙しいでしょう?私なら大丈夫ですよ」
皆んなから貰った花達。これさえあれば頑張れる。
「ね?」
安心させる様に笑ってみせる。
「・・・もしもの時は、絶対におっしゃって下さい」
「わかりました。ありがとうございます」
不満げに、でも納得してくれた。
もう一度皆に花の礼をして業務に戻ってもらう様にお願いをした。
生きてきた今までで一番の嬉しいハプニング。
決して忘れない。
当然、誰も居ない。
私には専属の侍女が居ないから。
だから、自分の事は自分で、なのだ。
奥にあるクローゼットに向かうと、扉を開け数枚のワンピースの中の一着を取り、制服からそれに着替える。
軽くてふんわりとした綿のワンピース。
私はそれしか持ってない。
ドレスも装飾品も、何も無い。
ほぼ空のクローゼットを閉め、セバスチャンが花瓶を持って来てくれるのを待つ。
「プレゼントなんですって。久しぶりだから、嬉しいわ」
色褪せず、枯れることのない綺麗な花。
ずっと夢中になって見ていたら、ノックの音がしていた。
「あ、ごめんなさい。どうぞ」
「失礼致します。リリアローズ様、花瓶をお待ち致しました」
「ベッド脇のテーブルに置いて下さい」
「こちらでよろしいですか」
「えぇ・・・。えっと、セバスチャン?」
「なんでしょう?」
「花瓶、大きすぎないかしら?」
彼が持って来たのは普通の大きい花瓶。
二輪では、有り余る。
「いえ。これでよろしいのですよ」
そう言うのと同時に手を二度打つ。
それを合図に何人もの侍女や使用人達が部屋へと入って来た。
「な、なに?」
「「「「「リリアローズお嬢様、お誕生日おめでとうございます」」」」」
全員が一斉に差し出したのは、色々な造花の花一輪。
「これで、この花瓶が役に立ちますね」
微笑む家令。微笑む侍女や使用人達。
やっと、皆んなが祝ってくれているという事実を実感して来て涙が零れた。
「あ、りがとう、ございます・・・」
皆んなから渡された造花の花は抱え切れない程の量。
私が一度受け取ったそれを侍女長が綺麗に花瓶に生けてくれる。
色鮮やかになった花達は、殺風景な部屋に彩りを加えてくれた。
「フフ。部屋から出なくても、ここに花があるから癒されますね」
「お嬢様・・・」
「侍女長、綺麗に飾ってくださってありがとうございます」
「いえ。お嬢様、やはり誰か一人侍女をお付けになられた方が・・・」
「駄目よ。皆さん、お姉様のお世話で忙しいでしょう?私は自分の事は自分で出来ますから・・・」
気にしないで、と笑うと、皆が表情を暗くする。
「あ、え、ごめんなさい。あの、本当に・・・」
「では、せめて私にお世話をさせてくださいませ」
「侍女長。貴女もセバスチャンと同じくらい忙しいでしょう?私なら大丈夫ですよ」
皆んなから貰った花達。これさえあれば頑張れる。
「ね?」
安心させる様に笑ってみせる。
「・・・もしもの時は、絶対におっしゃって下さい」
「わかりました。ありがとうございます」
不満げに、でも納得してくれた。
もう一度皆に花の礼をして業務に戻ってもらう様にお願いをした。
生きてきた今までで一番の嬉しいハプニング。
決して忘れない。
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