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第十六章 犯罪組織を追え
第二百二十話 呪いは返せた…らしい
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「取り敢えず、腕時計をいじってみますか」
イズミはフラウリアから腕時計を受け取ると、自身の腕時計と見比べる。
時間はそこまでズレていないし、パッと見た違いはインデックスが光っているか否かくらいである。
軽く振ってみても変化は無い。
ガラスを何度か優しく爪で叩いたが、特に気になる反応は無い。
竜頭を一段階…ノンデイトなのでそこまで…引き出すと、インデックスの光り方に変化があった。
紫色の光が王冠部の1箇所のみになり、分針が赤く点滅しだしたのだ。
一度時針と分針を王冠の位置に合わせると、分針の点滅が点灯に変わる。
ゆっくりと動かしてみると、分針が通過したインデックスが赤く点灯する。
王冠の位置まで戻すとインデックスの点灯も消え、分針を1周させてみるとインデックスが順番に点灯し、王冠の位置に分針が戻ると王冠以外のインデックスは消灯した。
「これは…返す対象者の人数を設定しているのではないでしょうか?」
「…かもしれない」
フラウリアは少し考え込むと、イズミにピースサインを見せる。
「隷属魔法を発動した術者と、それを指示した主謀者の2名を想定して返してみましょう。それも報告に加え、魔族の情報網を駆使して返された者達を探します。呪い返しでどのような症状が出るのか分かりませんから、探し出すのは困難かもしれませんが」
「2人か…」
分針を2時のインデックスまで移動させ、竜頭を戻す。
分針の光が消えると、王冠の位置を通過した秒針が赤く点灯した。
イズミとフラウリアが秒針の動きを食い入るように見つめていると、秒針が1周した瞬間、秒針のインデックスが消灯し、普通の時間を刻みだした。
「マスター。手動での呪い返しが完了したようです」
マスタングからの報告を聞いた2人は、腕時計とマスタングを交互に見る。
イズミはマスタングに確認を取る。
「…手動の設定があったのか?」
「能力付与は自動にて設定しました」
「では、何故今回は出来たのでしょうか?」
「試作品ですので、調査が必要です」
至極当然な疑問だったが、それを調べるのも含めて試作品なのかもしれない。
自動巻き(手巻き機能付き)みたいなニュアンスなのだろうか?
何にせよ、その辺りは調べないと分からないので、アーリアの調査に期待しよう。
「手動操作ってのは、分かりづらいな」
イズミはフラウリアに時間を修正し直した腕時計を返すと、2人はベリアに任せていた子供達の看病に戻っていった。
数日はまともな食事を取れていない子供達に、いきなり固い黒パンや保存食のジャーキーは厳しいと判断し、先ずは温かいスープを食べさせる。
皆で手分けして食べさせていると、子供達は弱弱しいが声を出せる事が分かった。
「今は無理して喋らなくて良い。今日はゆっくり休んでくれ」
そう言って皆に毛布をかけてやると、子供達が眠りに付くのを見守った。
ロムレスは一連の流れを再確認した後、大急ぎで本部へと飛んでいった。
明日の朝には到着すると言っていたが、そんなハードワークで大丈夫なのだろうかと心配になる。
「他人の心配より、今は自分達と子供達だな」
イズミはアサルトライフルを肩に担ぐと、マスタングの側で休憩をする。
ベリアは木の上から周囲の警戒を続け、フラウリアは子供達に気を配っている。
明日にはフラウリアの呼んだ知り合いが来るのだ。
それまで踏ん張れれば良い。
長い夜になると思っていたが、案外すんなりと太陽が昇って来た。
完全なる徹夜になってしまったが、コレばかりは仕方が無いと割り切り、自分達と子供達用の朝食を準備し始めた。
イズミはフラウリアから腕時計を受け取ると、自身の腕時計と見比べる。
時間はそこまでズレていないし、パッと見た違いはインデックスが光っているか否かくらいである。
軽く振ってみても変化は無い。
ガラスを何度か優しく爪で叩いたが、特に気になる反応は無い。
竜頭を一段階…ノンデイトなのでそこまで…引き出すと、インデックスの光り方に変化があった。
紫色の光が王冠部の1箇所のみになり、分針が赤く点滅しだしたのだ。
一度時針と分針を王冠の位置に合わせると、分針の点滅が点灯に変わる。
ゆっくりと動かしてみると、分針が通過したインデックスが赤く点灯する。
王冠の位置まで戻すとインデックスの点灯も消え、分針を1周させてみるとインデックスが順番に点灯し、王冠の位置に分針が戻ると王冠以外のインデックスは消灯した。
「これは…返す対象者の人数を設定しているのではないでしょうか?」
「…かもしれない」
フラウリアは少し考え込むと、イズミにピースサインを見せる。
「隷属魔法を発動した術者と、それを指示した主謀者の2名を想定して返してみましょう。それも報告に加え、魔族の情報網を駆使して返された者達を探します。呪い返しでどのような症状が出るのか分かりませんから、探し出すのは困難かもしれませんが」
「2人か…」
分針を2時のインデックスまで移動させ、竜頭を戻す。
分針の光が消えると、王冠の位置を通過した秒針が赤く点灯した。
イズミとフラウリアが秒針の動きを食い入るように見つめていると、秒針が1周した瞬間、秒針のインデックスが消灯し、普通の時間を刻みだした。
「マスター。手動での呪い返しが完了したようです」
マスタングからの報告を聞いた2人は、腕時計とマスタングを交互に見る。
イズミはマスタングに確認を取る。
「…手動の設定があったのか?」
「能力付与は自動にて設定しました」
「では、何故今回は出来たのでしょうか?」
「試作品ですので、調査が必要です」
至極当然な疑問だったが、それを調べるのも含めて試作品なのかもしれない。
自動巻き(手巻き機能付き)みたいなニュアンスなのだろうか?
何にせよ、その辺りは調べないと分からないので、アーリアの調査に期待しよう。
「手動操作ってのは、分かりづらいな」
イズミはフラウリアに時間を修正し直した腕時計を返すと、2人はベリアに任せていた子供達の看病に戻っていった。
数日はまともな食事を取れていない子供達に、いきなり固い黒パンや保存食のジャーキーは厳しいと判断し、先ずは温かいスープを食べさせる。
皆で手分けして食べさせていると、子供達は弱弱しいが声を出せる事が分かった。
「今は無理して喋らなくて良い。今日はゆっくり休んでくれ」
そう言って皆に毛布をかけてやると、子供達が眠りに付くのを見守った。
ロムレスは一連の流れを再確認した後、大急ぎで本部へと飛んでいった。
明日の朝には到着すると言っていたが、そんなハードワークで大丈夫なのだろうかと心配になる。
「他人の心配より、今は自分達と子供達だな」
イズミはアサルトライフルを肩に担ぐと、マスタングの側で休憩をする。
ベリアは木の上から周囲の警戒を続け、フラウリアは子供達に気を配っている。
明日にはフラウリアの呼んだ知り合いが来るのだ。
それまで踏ん張れれば良い。
長い夜になると思っていたが、案外すんなりと太陽が昇って来た。
完全なる徹夜になってしまったが、コレばかりは仕方が無いと割り切り、自分達と子供達用の朝食を準備し始めた。
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