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第十五章 ハルハンディア共和国
第二百四話 酒好きに絡まれた
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「いらっしゃい!」
店の扉を開くと中は魔法の明かりがついており、薄暗さも感じない程だった。
客層は様々で、人間もドワーフもエルフも魔族も普通に飲食を楽しんでいる。
「一人席が埋まっているので、相席になりますが宜しいですか?」
店員の説明を聞いたイズミは相席のテーブルまで移動すると、軽く挨拶をして椅子に座る。
テーブルに着いていたのは、エルフ族のカップルとドワーフが1人だった。
「人間族ね。珍しい服装ね」
談笑中だったエルフ族がイズミを見ると、挨拶がてら声を掛けてきた。
「大切な一張羅でして」
イズミが返事をすると、店員がオーダーの確認にやって来た。
「何にいたしますか?」
「この国に来て間もなくてね。オススメはありますか?」
「先日入荷したドワーフ酒が良いですね。そのままで飲みますか?」
店員からの確認が気になったので、取り敢えず聞いてみる。
「そのままでは強過ぎてね。何かアレンジがあるのですか?」
「はい!最新のアレンジレシピがあります」
店員が笑顔で答えるので、取り敢えずそれと軽く摘める料理を頼んだ。
店員が去るのを見送ると、ドワーフの男が酒瓶をグビッと飲んでイズミを睨見つける。
「ドワーフ酒は元々ドワーフ族用だからな。人間や獣人が飲むにはちと強いだろうに」
ドワーフの言葉を聞いたエルフ族も頷く。
「エルフ族でも二日酔いをする者がおりますからね」
どうやらドワーフ酒の強さはドワーフ族以外の種族には、非常に強いと言う認識のようだ。
「それは飲み方が悪いんじゃ」
ドワーフの男がそう言うと、小さなグラスを取り出して酒を注いだ。
「最初はこの位から飲んで、身体の調子を確かめるのが良い」
グラスに注がれている量は、およそ30mlくらいである。
カクテルでもその位なので、説明としてすんなりと頭に入って来た。
「おまたせしました!ドワーフ酒のアレンジと、焼きナッツと店長自慢のジャーキーです」
店員が持って来た酒を見て、イズミは一瞬思考が停止した。
それは、どう見ても昨日の店でオーダーした酒と同じアレンジだったのだ。
「これは…」
「店長が酒屋仲間から聞いたレシピだそうです。店長が大急ぎで氷魔法を使える者を雇ったんですよ」
そこまで聞いたイズミは、取り敢えず一口飲む。
昨日飲んだのと殆ど同じだが、果物の使い方がこの店の方が贅沢に思える。
「これなら私でも飲めますね」
作り笑顔で店員にお礼を言うと、店員は別の客のオーダーを取りに移動していった。
「コレなら美味しく飲めますよね、ドワーフの方からすると邪道ですか?」
エルフ族の女性が赤ワインを飲みながら、ドワーフの男に話を振った。
「ふん!邪道と言いたくなる気持ちも分からんでもない。じゃが作り上げた酒を、その者が満足出来る飲み方で飲む。それが1番よ」
「店からすると、酒の減りが少なくなるのと地元や周辺地域で採れた果物を使えるので利点は大きいですね」
ドワーフとエルフの会話を聞きつつ、小皿に乗っている焼きナッツを食べる。
久しぶりのナッツである。
元いた世界でも余り進んで購入する事は無かったが、酒の席では摘んでいた記憶が蘇る。
「これに使われているドワーフ酒は…」
「2級品だな。1級品以上は中規模以上の都市でしか見かけん」
「いつかは1級品も飲んでみたいですね」
イズミは純粋な興味もあり、ボソッと言葉に出してしまった。
「なんじゃ、2級品じゃ満足出来ぬか?」
「純粋な興味ですよ。2級品では強過ぎる酒の匂いが、1級品ではどうなっているのか気になりましてね」
ドワーフの男の目が鋭くなり、イズミは酒を飲む手を止める。
「気になるか?」
「興味はあります」
ドワーフはジッとイズミを観察すると、持っていた酒瓶をテーブルに置いた。
「お前さん。名前は?」
「イズミです」
「イズミだな。イズミは何故、アレンジレシピの酒を出された時、動きが止まったのだ?」
ドワーフの男は酒をガブ飲みしているだけでは無かったようで、しっかりとエルフ族やイズミの動きを観察していたようだ。
「…目新しい飲み方に、少し戸惑っただけですよ」
イズミは取り敢えずはぐらかした。
変に答えると面倒になりかねないと判断したのだ。
「ほう。飲んだ時の反応は、まるで経験者のそれだったが」
「様になってました?」
軽くとぼけて見せたが、ドワーフには通じていないようだった。
店の扉を開くと中は魔法の明かりがついており、薄暗さも感じない程だった。
客層は様々で、人間もドワーフもエルフも魔族も普通に飲食を楽しんでいる。
「一人席が埋まっているので、相席になりますが宜しいですか?」
店員の説明を聞いたイズミは相席のテーブルまで移動すると、軽く挨拶をして椅子に座る。
テーブルに着いていたのは、エルフ族のカップルとドワーフが1人だった。
「人間族ね。珍しい服装ね」
談笑中だったエルフ族がイズミを見ると、挨拶がてら声を掛けてきた。
「大切な一張羅でして」
イズミが返事をすると、店員がオーダーの確認にやって来た。
「何にいたしますか?」
「この国に来て間もなくてね。オススメはありますか?」
「先日入荷したドワーフ酒が良いですね。そのままで飲みますか?」
店員からの確認が気になったので、取り敢えず聞いてみる。
「そのままでは強過ぎてね。何かアレンジがあるのですか?」
「はい!最新のアレンジレシピがあります」
店員が笑顔で答えるので、取り敢えずそれと軽く摘める料理を頼んだ。
店員が去るのを見送ると、ドワーフの男が酒瓶をグビッと飲んでイズミを睨見つける。
「ドワーフ酒は元々ドワーフ族用だからな。人間や獣人が飲むにはちと強いだろうに」
ドワーフの言葉を聞いたエルフ族も頷く。
「エルフ族でも二日酔いをする者がおりますからね」
どうやらドワーフ酒の強さはドワーフ族以外の種族には、非常に強いと言う認識のようだ。
「それは飲み方が悪いんじゃ」
ドワーフの男がそう言うと、小さなグラスを取り出して酒を注いだ。
「最初はこの位から飲んで、身体の調子を確かめるのが良い」
グラスに注がれている量は、およそ30mlくらいである。
カクテルでもその位なので、説明としてすんなりと頭に入って来た。
「おまたせしました!ドワーフ酒のアレンジと、焼きナッツと店長自慢のジャーキーです」
店員が持って来た酒を見て、イズミは一瞬思考が停止した。
それは、どう見ても昨日の店でオーダーした酒と同じアレンジだったのだ。
「これは…」
「店長が酒屋仲間から聞いたレシピだそうです。店長が大急ぎで氷魔法を使える者を雇ったんですよ」
そこまで聞いたイズミは、取り敢えず一口飲む。
昨日飲んだのと殆ど同じだが、果物の使い方がこの店の方が贅沢に思える。
「これなら私でも飲めますね」
作り笑顔で店員にお礼を言うと、店員は別の客のオーダーを取りに移動していった。
「コレなら美味しく飲めますよね、ドワーフの方からすると邪道ですか?」
エルフ族の女性が赤ワインを飲みながら、ドワーフの男に話を振った。
「ふん!邪道と言いたくなる気持ちも分からんでもない。じゃが作り上げた酒を、その者が満足出来る飲み方で飲む。それが1番よ」
「店からすると、酒の減りが少なくなるのと地元や周辺地域で採れた果物を使えるので利点は大きいですね」
ドワーフとエルフの会話を聞きつつ、小皿に乗っている焼きナッツを食べる。
久しぶりのナッツである。
元いた世界でも余り進んで購入する事は無かったが、酒の席では摘んでいた記憶が蘇る。
「これに使われているドワーフ酒は…」
「2級品だな。1級品以上は中規模以上の都市でしか見かけん」
「いつかは1級品も飲んでみたいですね」
イズミは純粋な興味もあり、ボソッと言葉に出してしまった。
「なんじゃ、2級品じゃ満足出来ぬか?」
「純粋な興味ですよ。2級品では強過ぎる酒の匂いが、1級品ではどうなっているのか気になりましてね」
ドワーフの男の目が鋭くなり、イズミは酒を飲む手を止める。
「気になるか?」
「興味はあります」
ドワーフはジッとイズミを観察すると、持っていた酒瓶をテーブルに置いた。
「お前さん。名前は?」
「イズミです」
「イズミだな。イズミは何故、アレンジレシピの酒を出された時、動きが止まったのだ?」
ドワーフの男は酒をガブ飲みしているだけでは無かったようで、しっかりとエルフ族やイズミの動きを観察していたようだ。
「…目新しい飲み方に、少し戸惑っただけですよ」
イズミは取り敢えずはぐらかした。
変に答えると面倒になりかねないと判断したのだ。
「ほう。飲んだ時の反応は、まるで経験者のそれだったが」
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