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第十五章 ハルハンディア共和国
第二百二話 酒は少しでも美味しく飲みたい
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馬車置場で話を続けていると、トレットがミクランセンを呼び出した。
「ミクランセン、私の馬車は何時出せます?」
「今日の夜迄には整備が終わりますので、最短で明日の朝一番となります」
「私はイズミ様達の案内も兼ねて、明日からノズベルデン火山へ向かいます。部下にも伝えておいて下さい」
目の前でトントン拍子に話が進んでゆく。
トレットはマスタングの後部座席の狭さを理解し、自分用の馬車での移動を選んだのだ。
ある意味、賢明な判断である。
話し込んでいた結果、日が傾き始めていたのだ。
トレットの口利きで宿屋と飯屋兼酒場を紹介されたので、ベリアのカーネリアの共に食事を摂る事にした。
「くぅ!2級品でもドワーフ印の酒は強いな!イズミも飲んだらどうだ?」
早速ベリアが旅路では余り食べられない魔物肉のステーキと、ガラス製のグラスに注がれた無色透明な酒を飲んでいる。
ドワーフ印の酒には特級、1級、2級品とあるらしく、田舎町や少し大きい程度の町には主に2級品が流通し、稀に1級品が商人の手で運ばれるが、かなりお高くて貴族用らしい。
特級品は最早王族クラスやそれに近い貴族くらいしか飲めないそうだ。
上機嫌で話すベリアが小振りな酒瓶をイズミへ向ける。
「酒は強くないのだが」
ものは試しと言わんばかりに、ベリアがショットグラスに酒を注ぐので、まずは香りを確かめる。
エタノール臭が悪目立ちしていて、香りだけでも頭痛のする粗悪なウォッカを掴まされた気分になった。
その気分は、酒を口に含み舌の上で転がしても変わらなかった。
「俺にはキツいな」
イズミは何とか飲みきると、酒場を見渡し他の客が何を飲み食いしているのかをそれとなくチェックしてみる。
飲んでいる物は数種類あるようだが、酒はコレとエールみたいなのの2種類のようだった。
見ているとウェイターのような仕事をしている魔族らしき方と目が合った。
その魔族はススッとイズミ達が座っているテーブルへとやって来る。
「ご注文は?」
「この酒を美味しく飲むオススメはありますか?」
「…ドワーフ印の蒸留酒は人間には強いだけで、美味しく飲むのは難しいかも」
「そうですか」
もう少し胃にも肝臓にも優しい飲み方は出来ないものかと思案していると、ふと試してみたい事が浮かんで来た。
「こんなのは頼めますか?グラスに細かく砕いた氷を入れ、ショットグラス1杯分の蒸留酒とグラスに8割くらい水を入れる。酸っぱい果物を絞って出た果汁を入れて少し混ぜる」
「やった事は無いので、聞いてきます」
ウェイターの魔族は音もなくススッと店の奥へ移動して行った。
そんなやりとりをしている隣で、ベリアとカーネリアは普通に食事をしている。
カーネリアは酒ではなく、野菜スープに七味を振りかけて飲んでいる。
余程七味唐辛子が気に入っているようだ。
「おまたせしました」
気配も無くイズミの背後からやって来たウェイターに驚つつ、運ばれた酒を確認する。
氷魔法を使える者が店にいるのがレアなのかは何とも言えないが、見た目からして大分マシな飲み物になったように思える。
一口飲んでみると独特な臭いは消えていないが、酸味のある果物の汁で良い感じに抑えられたようだ。
「うん。これなら俺でも飲めそうだ」
「それは良かった」
ウェイターが他の客の方へ向かったのを確認し、もう一口飲む。
炭酸水があればと思ったが、それは高望みし過ぎだろう。
「イズミ、それは美味いのか?」
ベリアがイズミの頼んだ見慣れぬ飲み物をジッとみつめる。
試しに飲ませてみると、ベリアの尻尾がブンブンと揺れる。
「おぉ!?飲みやすい!酒の強さを程良く下げ、果物の汁の酸っぱさも良い。氷で冷やしたのも相まって最高に美味いぞ!いくらでも飲める!」
高評価のようでイズミは安心したのだが、それは少々早過ぎた。
周囲の客の視線が、ベリアが持っているグラスへと向けられていたのだ。
店内にいた客がこぞって注文をし始め、酒場の従業員達が大忙しになっていた。
酒を何とか飲む為に元いた世界でのカクテルを思い出した結果ではあるが、店としては利益が出ているのかが心配になりつつ、イズミは会計を済ませて宿の部屋への別れて行った。
「ミクランセン、私の馬車は何時出せます?」
「今日の夜迄には整備が終わりますので、最短で明日の朝一番となります」
「私はイズミ様達の案内も兼ねて、明日からノズベルデン火山へ向かいます。部下にも伝えておいて下さい」
目の前でトントン拍子に話が進んでゆく。
トレットはマスタングの後部座席の狭さを理解し、自分用の馬車での移動を選んだのだ。
ある意味、賢明な判断である。
話し込んでいた結果、日が傾き始めていたのだ。
トレットの口利きで宿屋と飯屋兼酒場を紹介されたので、ベリアのカーネリアの共に食事を摂る事にした。
「くぅ!2級品でもドワーフ印の酒は強いな!イズミも飲んだらどうだ?」
早速ベリアが旅路では余り食べられない魔物肉のステーキと、ガラス製のグラスに注がれた無色透明な酒を飲んでいる。
ドワーフ印の酒には特級、1級、2級品とあるらしく、田舎町や少し大きい程度の町には主に2級品が流通し、稀に1級品が商人の手で運ばれるが、かなりお高くて貴族用らしい。
特級品は最早王族クラスやそれに近い貴族くらいしか飲めないそうだ。
上機嫌で話すベリアが小振りな酒瓶をイズミへ向ける。
「酒は強くないのだが」
ものは試しと言わんばかりに、ベリアがショットグラスに酒を注ぐので、まずは香りを確かめる。
エタノール臭が悪目立ちしていて、香りだけでも頭痛のする粗悪なウォッカを掴まされた気分になった。
その気分は、酒を口に含み舌の上で転がしても変わらなかった。
「俺にはキツいな」
イズミは何とか飲みきると、酒場を見渡し他の客が何を飲み食いしているのかをそれとなくチェックしてみる。
飲んでいる物は数種類あるようだが、酒はコレとエールみたいなのの2種類のようだった。
見ているとウェイターのような仕事をしている魔族らしき方と目が合った。
その魔族はススッとイズミ達が座っているテーブルへとやって来る。
「ご注文は?」
「この酒を美味しく飲むオススメはありますか?」
「…ドワーフ印の蒸留酒は人間には強いだけで、美味しく飲むのは難しいかも」
「そうですか」
もう少し胃にも肝臓にも優しい飲み方は出来ないものかと思案していると、ふと試してみたい事が浮かんで来た。
「こんなのは頼めますか?グラスに細かく砕いた氷を入れ、ショットグラス1杯分の蒸留酒とグラスに8割くらい水を入れる。酸っぱい果物を絞って出た果汁を入れて少し混ぜる」
「やった事は無いので、聞いてきます」
ウェイターの魔族は音もなくススッと店の奥へ移動して行った。
そんなやりとりをしている隣で、ベリアとカーネリアは普通に食事をしている。
カーネリアは酒ではなく、野菜スープに七味を振りかけて飲んでいる。
余程七味唐辛子が気に入っているようだ。
「おまたせしました」
気配も無くイズミの背後からやって来たウェイターに驚つつ、運ばれた酒を確認する。
氷魔法を使える者が店にいるのがレアなのかは何とも言えないが、見た目からして大分マシな飲み物になったように思える。
一口飲んでみると独特な臭いは消えていないが、酸味のある果物の汁で良い感じに抑えられたようだ。
「うん。これなら俺でも飲めそうだ」
「それは良かった」
ウェイターが他の客の方へ向かったのを確認し、もう一口飲む。
炭酸水があればと思ったが、それは高望みし過ぎだろう。
「イズミ、それは美味いのか?」
ベリアがイズミの頼んだ見慣れぬ飲み物をジッとみつめる。
試しに飲ませてみると、ベリアの尻尾がブンブンと揺れる。
「おぉ!?飲みやすい!酒の強さを程良く下げ、果物の汁の酸っぱさも良い。氷で冷やしたのも相まって最高に美味いぞ!いくらでも飲める!」
高評価のようでイズミは安心したのだが、それは少々早過ぎた。
周囲の客の視線が、ベリアが持っているグラスへと向けられていたのだ。
店内にいた客がこぞって注文をし始め、酒場の従業員達が大忙しになっていた。
酒を何とか飲む為に元いた世界でのカクテルを思い出した結果ではあるが、店としては利益が出ているのかが心配になりつつ、イズミは会計を済ませて宿の部屋への別れて行った。
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