異世界無宿

ゆきねる

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第十三章 陰謀の気配

第百六十七話 銃弾で歓迎しよう

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イズミのかけているメガネには、侵入者6名の魔力がぼんやりと青色見えている。

魔力が多い程、その色が濃くなってる気がする。

木の裏に身を潜め、マグナムのハンマーをゆっくりと起こす。
カチリと控えめな音が鳴ると、侵入者の1人が動きを止めた。

どうやら耳が良い奴が居るようだ。
あるいは、勘が鋭いのか。

魔力も濃い青色だったので、イズミはその反応に目掛けて1発目を撃ち込んだ。

ドゥーン!

轟音と共に発砲炎で居場所がバレる。
2発目を撃つ前に、相手からの反撃があった。

バシバシッ!バシバシッ!

木に何かがぶつかる音が響いた。
男の悲鳴と合わせて、リーダーらしき者の指示を出す。

「散開!」

1人は撃たれた者の治療の為か、近くに防御魔法を張って何かをし始める。

イズミは地面をローリングしつつ、散開した侵入者の1人を目で追う。
相手の動きが止まったタイミングで、イズミは呼吸を止めてマグナムを撃った。

男の悲鳴が聞こえるが、倒れてはいない。
どうやら致命傷では無いようだ…

イズミは急いで立ち上がると、身を屈めつつ移動をする。
反撃をしてくる様子では無かったので、他の侵入者をメガネで探した。

「はぁっ!」

イズミの後方1メートルも無い所に、魔法攻撃が撃ち込まれた。
イズミの足に攻撃の被害を受けた木の皮の破片がぶつかる。

「音がしないってのは、厄介だな」

メガネに映る反応が右へと動く。
イズミはマグナムを反応の中心…から少し右側を意識して引き金に指をかけた。

「ぎゃぁ!?」

女の悲鳴が聞こえた。
どうやら先の攻撃は女のものだったようだ。

イズミは静かに後方へ移動して、マグナムの弾込めをしておく。
魔法反応は近付いて来てはいないが、イズミの捜索に集中しているのかもしれない。

「ふぅ…よし」

マグナムをショルダーホルスターに仕舞い、バッグからアサルトライフルを取り出した。

マガジンを挿し込んで初弾を装填する。
セレクターをフルオートに切り替え、しっかりとハンドガードを押さえ込む体勢を取った。

パシュパシュパシュパシュ!

サプレッサーで減音された銃声と共に、魔法反応が変な動きをして、地面に倒れ込むと同時に反応が消えた。

「…残り1人、いや2人だったな」

イズミはメガネで魔力反応を確かめる。
1人は相変わらず負傷した者の治療を続けていて、残りの1人は距離を取って此方の様子見をしている。

ガッ!

イズミの隠れている木に何かが当たる音がした。
ゆっくりと顔を出してみると、ロングボウでも使ったかのような矢が刺さっている。

木に隠れてから、匍匐で別の木へと移動する。
これで相手が撃ち込んで来たら、相手は夜目が利くと判断出来る。

ガッ!

移動した木に矢が刺さる音がした。
これで決定だ、相手は夜目が利く。
相手からの射線が通っているのならば、こちらからも反撃は可能だ。

木の陰でアサルトライフルを持ち直してから、身体をなるべく隠しつつ狙いをつける。
木を盾として利用するついでに、依託射撃に使わせてもらうのだ。

セレクターを単発に切り替え、呼吸を整えて引き金に指をかけた。

パシュ!
ガッ!

サプレッサー越しの射撃音と同時に、矢が木に刺さる音が聞こえる。

叫び声などは聞こえない。
外してしまったかもしれない。

呼吸を整えてから、再度射撃をしようと準備をする。

「アイスジャベリン!」

遠くからそんな声と共に、侵入者へ攻撃をする。
ゾルダが到着したのだ。

「イズミ、大丈夫か?」

ベリアがイズミの後ろから小声で話しかけてきた。

「!?ベリアか、脅かさないでくれ心臓に悪い…あぁ、大丈夫だ。怪我もしていない」

ベリアの接近に気付かなかったイズミは、思わずライフルを向けそうになったが、そこは抑える事が出来た。

アサルトライフルをバッグに仕舞い戦況の報告をすると、ベリアは生きている侵入者を捕らえると言って走り去った。

その足音は全く聞こえない。

「ベリアが侵入者側じゃなくて良かったぜ」

「…全くです」

イズミのボヤきに、マスタングが同意した。
ベリアが敵側だったら、今頃イズミはとっ捕まっているか殺されているだろう。

そう考えると、背筋にゾクッと寒気がやって来た。
後でベリアに美味しい料理でもご馳走しようかと、イズミは考え始めていた。
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