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第十二章 辺境伯領にて
第百六十二話 氷像
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アイテムボックスを入手したイズミは、早速装備類の収納を試していた。
スペックを把握しておけば、必要に応じて中身を変える必要が有ると考えたからだ。
結論から言うと、イズミの使う武装は収納出来た。
ショットガン、アサルトライフル、マシンガンを各1艇ずつ予備の弾薬もたんまり収納が出来た。
その上で食料の類を収納する余裕もあった。
もう少し武器を収納する事も出来たが、食料の収納量が微妙になったので、ここまでにしておいた。
一通りの確認を済ませたイズミは、ゾルダが訓練をしている広場へ向かった。
「今日も訓練か?」
「勿論だとも。訓練せずに魔法が上達するのは、ごく一部の天才だけだ」
ゾルダが氷の槍を同時に6本実体化させる。
その槍を風魔法で土魔法で作られた壁に向かって撃ち込んだ。
「並みの魔物や人間相手なら、それで十分じゃないか?」
「…Sランク冒険者の上澄み相手には厳しいな。彼奴等は規格外だからな」
そんな会話をしていたら、エレナとベリアがやって来た。
「おはようございます」
「あぁ、おはよう」
簡単な挨拶をして、2人は朝の訓練を始める。
ベリアは魔改造ククリナイフに魔力を流し込み、風魔法で刃の延長をしているようだ。
エレナは氷魔法の使い方を、手順を確認しながら練習をしている。
氷の剣と盾を作るまではスムーズに出来ているように見えたが、エレナは満足していないようだった。
「…エレナは剣術も訓練を?」
「恥ずかしながら、体力作りとして始めたばかりです」
「魔法で代わりに戦ってくれる兵隊は作れないのか?」
イズミは自分が考える氷魔法の戦闘方法を説明してみた。
「ゾルダは戦闘経験が豊富だから、近接戦闘も出来る。対するエレナはまだ不慣れだ…だから、接近戦にならない戦闘スタイルを確立するんだ」
地面に簡単な絵を描いた。
まず巨大な氷像を作り、相手に近づき難い印象を与える。
次に氷像の周囲に大量の氷槍を作る。
最後に相手に対して氷槍を投げまくる。
自分は氷の盾や防具、氷像を使って身を守る。
「…こんな感じかな。格好良いだろ?」
イズミは自分の考えるロマン全開な戦闘スタイルを語った。
周囲を見ると、みんな呆れ顔であった。
「イズミさん、凄いのは分かるのですが…まだ氷魔法にも慣れていなくて」
エレナはイズミから目を逸らしつつ答える。
「これは私でも無理だな…魔力が足りない」
ゾルダが苦笑しつつ言った。
「エレナだったら、多分出来るぞ…マスタングが手を貸したからな。まずやってみようぜ」
イズミはエレナの肩を叩き、実践させてみる。
「氷像は女神像に似せれば想像しやすいだろう。大きさは…敵の戦意を削ぐ為にもなるべく巨大なのが良いな。屋外戦を想定して」
「女神像ですか?それなら王都で見た事があります」
エレナが集中して魔法を使う。
最初に巨大な水球が現れ、エレナの前で形を変え始めた。
水球が4メートル位の高さになったが、イズミからするともう少し高さが欲しい。
「エレナ、もう少し大きく出来るか?」
「分かりました」
水球がもう一回り大きくなった。
そこから人の形になった水球に氷魔法を使う。
完全に凍り付いたのを確認して、エレナは息を吐いた。
「…どうでしょうか?」
「初めてにしては、かなり上出来だと思うぞ」
イズミが氷像の顔だろう部分を見上げつつ答えた。
細部はまだ荒削りに感じるが、それは今後の課題として取り組めばよいのだ。
「これが戦闘時に突然現れ、大量の氷槍を飛ばしてくると考えると…恐ろしいな」
ゾルダすら恐ろしいと感じるのならば、余裕で合格だろう。
自分でもここまでの巨大像を目の前にしたら、一旦は引くだろう。
「すっげー!」
目を輝かせて感激しているベリアが、尻尾をブンブンと振りながら像をあちこちから見ていた。
「エレナ、魔力の消費はどうだ?」
「…全然消費してないです。象の形を作る方に集中する方が疲れます」
この様子ならば、エレナが規格外の存在にまで成長するのも遠くないだろう。
そう思いながら、イズミはエレナの背中を見つめた。
スペックを把握しておけば、必要に応じて中身を変える必要が有ると考えたからだ。
結論から言うと、イズミの使う武装は収納出来た。
ショットガン、アサルトライフル、マシンガンを各1艇ずつ予備の弾薬もたんまり収納が出来た。
その上で食料の類を収納する余裕もあった。
もう少し武器を収納する事も出来たが、食料の収納量が微妙になったので、ここまでにしておいた。
一通りの確認を済ませたイズミは、ゾルダが訓練をしている広場へ向かった。
「今日も訓練か?」
「勿論だとも。訓練せずに魔法が上達するのは、ごく一部の天才だけだ」
ゾルダが氷の槍を同時に6本実体化させる。
その槍を風魔法で土魔法で作られた壁に向かって撃ち込んだ。
「並みの魔物や人間相手なら、それで十分じゃないか?」
「…Sランク冒険者の上澄み相手には厳しいな。彼奴等は規格外だからな」
そんな会話をしていたら、エレナとベリアがやって来た。
「おはようございます」
「あぁ、おはよう」
簡単な挨拶をして、2人は朝の訓練を始める。
ベリアは魔改造ククリナイフに魔力を流し込み、風魔法で刃の延長をしているようだ。
エレナは氷魔法の使い方を、手順を確認しながら練習をしている。
氷の剣と盾を作るまではスムーズに出来ているように見えたが、エレナは満足していないようだった。
「…エレナは剣術も訓練を?」
「恥ずかしながら、体力作りとして始めたばかりです」
「魔法で代わりに戦ってくれる兵隊は作れないのか?」
イズミは自分が考える氷魔法の戦闘方法を説明してみた。
「ゾルダは戦闘経験が豊富だから、近接戦闘も出来る。対するエレナはまだ不慣れだ…だから、接近戦にならない戦闘スタイルを確立するんだ」
地面に簡単な絵を描いた。
まず巨大な氷像を作り、相手に近づき難い印象を与える。
次に氷像の周囲に大量の氷槍を作る。
最後に相手に対して氷槍を投げまくる。
自分は氷の盾や防具、氷像を使って身を守る。
「…こんな感じかな。格好良いだろ?」
イズミは自分の考えるロマン全開な戦闘スタイルを語った。
周囲を見ると、みんな呆れ顔であった。
「イズミさん、凄いのは分かるのですが…まだ氷魔法にも慣れていなくて」
エレナはイズミから目を逸らしつつ答える。
「これは私でも無理だな…魔力が足りない」
ゾルダが苦笑しつつ言った。
「エレナだったら、多分出来るぞ…マスタングが手を貸したからな。まずやってみようぜ」
イズミはエレナの肩を叩き、実践させてみる。
「氷像は女神像に似せれば想像しやすいだろう。大きさは…敵の戦意を削ぐ為にもなるべく巨大なのが良いな。屋外戦を想定して」
「女神像ですか?それなら王都で見た事があります」
エレナが集中して魔法を使う。
最初に巨大な水球が現れ、エレナの前で形を変え始めた。
水球が4メートル位の高さになったが、イズミからするともう少し高さが欲しい。
「エレナ、もう少し大きく出来るか?」
「分かりました」
水球がもう一回り大きくなった。
そこから人の形になった水球に氷魔法を使う。
完全に凍り付いたのを確認して、エレナは息を吐いた。
「…どうでしょうか?」
「初めてにしては、かなり上出来だと思うぞ」
イズミが氷像の顔だろう部分を見上げつつ答えた。
細部はまだ荒削りに感じるが、それは今後の課題として取り組めばよいのだ。
「これが戦闘時に突然現れ、大量の氷槍を飛ばしてくると考えると…恐ろしいな」
ゾルダすら恐ろしいと感じるのならば、余裕で合格だろう。
自分でもここまでの巨大像を目の前にしたら、一旦は引くだろう。
「すっげー!」
目を輝かせて感激しているベリアが、尻尾をブンブンと振りながら像をあちこちから見ていた。
「エレナ、魔力の消費はどうだ?」
「…全然消費してないです。象の形を作る方に集中する方が疲れます」
この様子ならば、エレナが規格外の存在にまで成長するのも遠くないだろう。
そう思いながら、イズミはエレナの背中を見つめた。
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