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第十一章 新たな相棒
第百四十四話 旅の同行者
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ベリアの暴走が落ち着く頃には、夜が明け始めていた。
宿屋の朝食を取ってから、衛兵の詰所に顔を出してみた。
昨夜捕らえた奴等の話しを聞ければと思ったのだ。
「全員自殺した?」
「あぁ、全員毒を飲んでな。勿論、俺達がやった訳ではないぞ!牢屋に入れてからは誰も入れちゃいないってのに、朝方様子を見に来たら全員がコレよ」
流石に朝から仏様を見る気分にはならなかったが、他に情報は無いかだけ確認した。
「何か身元の分かる物はあったか?」
「この辺りでは見ない装備だな…衛兵隊では分からないから、その辺は冒険者ギルドと連携を取って調べるつもりだ」
現状では手掛かりなしなので、イズミは大人しく宿屋へと戻った。
部屋に入ると、床で寝ているベリアを見てからマスタングへ報告をする。
「マスタング、昨夜の奴等は皆死んだそうだ。生き残っているとしたら、馬車で逃げた奴等だけだな」
「恐らくですが、他領の貴族の差し金かと。マスターの活躍は良くも悪くも目立ちますので、手中に収めたいと企む者がいてもおかしくはありません」
椅子に座り水を飲みながら、今後の事を考える。
「奴等の親玉が分かれば、俺から挨拶に伺うのだがな」
「現状では難しいかと…まずは旅を続けましょう」
マスタングの考えに同意したイズミは、身体を伸ばしてから床に寝ているベリアを起こした。
まだ寝ぼけているベリアに、衛兵の所で聞いた話を伝える。
「ふーん。情報を吐く前に死ぬって事は、少なくとも傭兵では無いね」
自前の食料を食べているベリアを見ながら、イズミは次の町へ向かう準備を始めた。
「ま、俺は気にせずに旅を続けるさ」
「アタイも付いて行って良いか?なんか面白そうだし。礼も受け取ってないし」
ふてぶてしいドヤ顔みたいな表情でベリアが言った。
イズミは少し考えてから、マスタングへ相談をする。
「マスタング聞いてたか?ベリアが旅に同行したいんだとよ」
「…一度スキャンしますので、助手席へ座らせて下さい」
イズミは宿屋から出ると、ベリアをマスタングまで案内する。
マスタングのルーフ上には、黒猫が1匹横になっていた。
「あ!この子が昨日奴等の事を教えてくれたんだ」
ありがとな、とベリアが黒猫の頭頂部を撫でる。
にゃーと鳴いて撫でられる黒猫を見ながら、イズミは助手席のドアを開けた。
武器を後部座席に置かせてから、助手席に座らせてドアを閉める。
「スキャンを開始します」
マスタングのスキャンは1分ほどで終わった。
「マスター。彼女の身体能力と武器が釣り合っておりません」
マスタングは開口一番にそう言った。
旅を共にするならば、適した装備が必要だと言う事だ。
でなければ、戦闘で苦労することになる。
「健康状態は良好ですが、食生活は乱れ気味です。ベリア様を旅を共にするのであれば、以下の道具を揃える事を推奨します」
イズミが運転席側のドアを開けて、モニターを確認する。
モニターにはブラシや爪研ぎ、武器や装備類がまとめられていた。
割とお金が掛かりそうな一覧だった。
「どうした?」
マスタングから降りたベリアが武器を取り出そうとしたので、イズミはベリアの武器を見せてもらう事にした。
「その武器、ちょっと見せてくれ」
「ん」
投げ渡された武器を確認する。
持ち手部分は魔物の角で作られていて、革を巻いて滑りにくくしてあった。
鞘から抜くと刃は分厚く、斬るも投げるも出来そうな頑丈さがあるように見える。
例えるならば、刃渡り50cmのククリナイフだ。
雑ながらも戦いに耐えられる手入れはされているようだった。
「この武器に思い入れとかあるか?」
「特には無いな」
あっさりと答えたベリアを見ながら、マスタングに改造案を聞いてみた。
「魔石とドラゴンの爪と上質な剣と一緒に、その武器をトランクへ入れてください」
「…分かった。ちょいと買い出しに行ってくるよ」
イズミは金貨がたんまり入った布袋を取り出してから、町の武器屋を目指して歩き始めた。
その後ろを、ベリアが面白そうに付いていく。
宿屋の朝食を取ってから、衛兵の詰所に顔を出してみた。
昨夜捕らえた奴等の話しを聞ければと思ったのだ。
「全員自殺した?」
「あぁ、全員毒を飲んでな。勿論、俺達がやった訳ではないぞ!牢屋に入れてからは誰も入れちゃいないってのに、朝方様子を見に来たら全員がコレよ」
流石に朝から仏様を見る気分にはならなかったが、他に情報は無いかだけ確認した。
「何か身元の分かる物はあったか?」
「この辺りでは見ない装備だな…衛兵隊では分からないから、その辺は冒険者ギルドと連携を取って調べるつもりだ」
現状では手掛かりなしなので、イズミは大人しく宿屋へと戻った。
部屋に入ると、床で寝ているベリアを見てからマスタングへ報告をする。
「マスタング、昨夜の奴等は皆死んだそうだ。生き残っているとしたら、馬車で逃げた奴等だけだな」
「恐らくですが、他領の貴族の差し金かと。マスターの活躍は良くも悪くも目立ちますので、手中に収めたいと企む者がいてもおかしくはありません」
椅子に座り水を飲みながら、今後の事を考える。
「奴等の親玉が分かれば、俺から挨拶に伺うのだがな」
「現状では難しいかと…まずは旅を続けましょう」
マスタングの考えに同意したイズミは、身体を伸ばしてから床に寝ているベリアを起こした。
まだ寝ぼけているベリアに、衛兵の所で聞いた話を伝える。
「ふーん。情報を吐く前に死ぬって事は、少なくとも傭兵では無いね」
自前の食料を食べているベリアを見ながら、イズミは次の町へ向かう準備を始めた。
「ま、俺は気にせずに旅を続けるさ」
「アタイも付いて行って良いか?なんか面白そうだし。礼も受け取ってないし」
ふてぶてしいドヤ顔みたいな表情でベリアが言った。
イズミは少し考えてから、マスタングへ相談をする。
「マスタング聞いてたか?ベリアが旅に同行したいんだとよ」
「…一度スキャンしますので、助手席へ座らせて下さい」
イズミは宿屋から出ると、ベリアをマスタングまで案内する。
マスタングのルーフ上には、黒猫が1匹横になっていた。
「あ!この子が昨日奴等の事を教えてくれたんだ」
ありがとな、とベリアが黒猫の頭頂部を撫でる。
にゃーと鳴いて撫でられる黒猫を見ながら、イズミは助手席のドアを開けた。
武器を後部座席に置かせてから、助手席に座らせてドアを閉める。
「スキャンを開始します」
マスタングのスキャンは1分ほどで終わった。
「マスター。彼女の身体能力と武器が釣り合っておりません」
マスタングは開口一番にそう言った。
旅を共にするならば、適した装備が必要だと言う事だ。
でなければ、戦闘で苦労することになる。
「健康状態は良好ですが、食生活は乱れ気味です。ベリア様を旅を共にするのであれば、以下の道具を揃える事を推奨します」
イズミが運転席側のドアを開けて、モニターを確認する。
モニターにはブラシや爪研ぎ、武器や装備類がまとめられていた。
割とお金が掛かりそうな一覧だった。
「どうした?」
マスタングから降りたベリアが武器を取り出そうとしたので、イズミはベリアの武器を見せてもらう事にした。
「その武器、ちょっと見せてくれ」
「ん」
投げ渡された武器を確認する。
持ち手部分は魔物の角で作られていて、革を巻いて滑りにくくしてあった。
鞘から抜くと刃は分厚く、斬るも投げるも出来そうな頑丈さがあるように見える。
例えるならば、刃渡り50cmのククリナイフだ。
雑ながらも戦いに耐えられる手入れはされているようだった。
「この武器に思い入れとかあるか?」
「特には無いな」
あっさりと答えたベリアを見ながら、マスタングに改造案を聞いてみた。
「魔石とドラゴンの爪と上質な剣と一緒に、その武器をトランクへ入れてください」
「…分かった。ちょいと買い出しに行ってくるよ」
イズミは金貨がたんまり入った布袋を取り出してから、町の武器屋を目指して歩き始めた。
その後ろを、ベリアが面白そうに付いていく。
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